将来を真剣に考えて進路選びを~七五三問題~

2010年5月21日

今回のエントリーは、これから進路を探す、あるいは今進路を探している途中の方すべてにお読みいただきたいものです。

「七五三問題」という言葉をご存じでしょうか?

簡単に言うと、就職してから3年以内に最初に勤めた会社を辞めてしまう割合が中卒で7割・高卒で5割・大卒で3割である、という問題です。国の調査結果を示した下のグラフにもありますように、中卒・高卒・大卒がそれぞれおよそ7割・5割・3割の割合であることが示されています。大卒に至っては、30%台半ばにまで達している年があることもわかります。

中卒・高卒・大卒別 3年以内離職率

離職する理由としては「自分に合わないから」ということが最も多く挙げられると思います。

就職活動段階での「仕事選び」で失敗した、ということが直接の原因になるのでしょうが、もっと前の段階の「大学での学問(学部・学科)選び」やもう少し手前の段階である「高校時代での文系・理系の選択」という時点でも問題が起こっていることも充分考えられます。

他の原因としては「職業人として社会で活躍するために必要な基礎的・基本的な資質や能力が備わっていない」というスキル面の問題もあると思われます。

しかし、問題はもっと深いところにあるのではないか?と思うのです。

最近、一昔前よく聞いた「キレる若者」という表現をあまり聞かなくなった気がします。その代わりに「最近の若者は無気力」ということをよく耳にします。

「キレる」と「無気力」。言葉の意味としては真逆とも言える2つの言葉ですが、両者に共通しているのは「理想と現実のギャップを目の前にしてとる行動」と考えられます。

「現実を充分理解できていない」ままで社会に出てしまい、対処スキルや相談する相手を持たないまま問題に直面し、結果として「現実から逃避する」形で退職する、という方が多いのではないでしょうか。

また、「しっかりとした勤労観・職業観を持てていない」という、仕事を選択する以前に身につけておくべき事柄が欠落しているため、職業の選択ミスやせっかく就職した後でも仕事が長続きしない、といった問題を引き起こしているのではないでしょうか。

これまでの進路指導では、中学・高校・大学入試においては「入れる学校を探す」こと、就職時には「入社できる企業を探す」という、一口で言うと「出口指導」が主流でした。

しかし、この数年で社会は激変しました。少子高齢化は言うまでもなく、グローバル化やIT化に代表される産業・経済構造の変化、雇用の多様化・流動化等・・・。社会が大きく変化してい る以上、進路指導もそれに対応した形になるよう見直す必要があると考えます。

進学する学校を選んだり、就職する企業を決める前に「自分自身がこれから先どう生きていくのか」を知り、そのために必要な知識やスキルを前もって得ておくべき時代になっているのです。

これから先、このブログでは定期的に進路・職業選びに役立つ情報をお届けしていこうと思います。具体的には、進路・職業を選ぶ際に重要視すべき事柄を整理したり、将来社会に出てから困らないよう小・中・高それぞれの段階で身につけておくべき能力をまとめたり、「働くってなに?」「どうやって将来設計をするの?」という問いの答えを引き出すヒントになるようなものを綴ったり、ということを考えています。