大学卒とその他学歴での給料・退職金の違い③

2011年2月14日 月曜日

大学卒とその他学歴での給料・退職金の違い①
大学卒とその他学歴での給料・退職金の違い②

に続くエントリーです。中高生の皆さんが大切な進路を決める前に必ず知っておいて欲しいことを、特にお給料などの「お金」の面に絞り、順を追ってご紹介しているシリーズです。①では高校・短大・大学などを卒業して会社に雇われて初めて受け取るお給料、つまり「初任給」の額が高校卒・高専短大卒・大学卒では大きく異なること をご紹介しました。②では、高校卒・高専短大卒・大学卒それぞれの「お給料の上がり具合」についてご紹介しました。

このシリーズ最終回となる今回は、会社を辞める際にもらえる「退職金」が大学卒・高専短大卒・高校卒それぞれでどの程度異なるのか、をご紹介します。

「まさか、会社を辞める時まで学歴が影響するの?」とお思いでしょう。しかし、実際に次の様なデータが存在しているのです。

次にご紹介するグラフは、大学卒の人が会社を辞める時にもらえる退職金を額を「100」としたときに、その他の学歴の方が同じように会社を辞める時にもらえる退職金の額を示したものです。出典は「ユースフル労働統計―労働統計加工指標集―2010」です。

2008年度退職金 学歴間格差

今回は中学卒のデータも合わせてご紹介していますが、残念ながら高専短大卒のデータがありませんので、上のデータから推理するしかありません。

大学卒を100とした際、高校卒は大学卒の7割程度の金額しかもらえていないことがわかります。今回は具体的な金額を挙げているわけではないので、ご注意ください。

また、今回データが無い高専短大卒ですが、これまでご紹介した「初任給」や「お給料の上がり幅」のどちらも「高校卒<高専短大卒<大学卒」となっていたことから、高専短大卒の退職金は大学卒の7割よりは多めにはもらえていることは確実でしょう。しかし、当然ながら大学卒の退職金額を上回ることはありえないでしょう。

このように、会社を辞める時にまで大学卒・高専短大卒・高校卒で大きな違いが出ているのです。

いかがでしたでしょうか。

漠然と「専門学校でいいや」とか「短大に行けたらそれでいい」と思っていた方にとってはかなりびっくりするようなデータだったと思います。高校卒業時点での進路選びが、その先の人生をこれほどまでに大きく変えるとは思いもよらなかったのではないでしょうか。

幸せな人生を送るためには、少しでも多くお給料をもらっている方が良いに越したことはありません。そのためには、これまでご紹介したデータを見ている限りでは大学卒が最も可能性が高いものと思われます。

今回を含む3回のエントリーでは、お給料をはじめとする「お金」の面から大学卒の将来の可能性の高さをご紹介しました。

やっぱり、将来のことを考えると大学に進学しておくことが一番安心できますね。

大学卒とその他学歴での給料・退職金の違い②

2011年2月8日 火曜日

大学卒とその他学歴での給料・退職金の違い①」の続きとなるエントリーです。中高生の皆さんが大切な進路を決める前に必ず知っておいて欲しいことを、特にお給料などの「お金」の面に絞り、順を追ってご紹介しているシリーズです。前回は高校・短大・大学などを卒業して会社に雇われて初めて受け取るお給料、つまり「初任給」の額が高校卒・高専短大卒・大学卒では大きく異なることをご紹介しました。

今回は、高校卒・高専短大卒・大学卒それぞれの「お給料の上がり具合」についてご紹介したいと思います。

2009年時点の年代別の1ヶ月のお給料をグラフ化したものを下に挙げています。男性・女性別にご紹介しています。出典は厚生労働省発行の「平成22年賃金構造基本統計調査結果(初任給)」です(それぞれの画像をクリックすると拡大します)。

2009年度学歴別賃金(男性)

2009年度学歴別賃金(女性)

男性のデータを基にお話しますと、30代前半では高校卒と大学卒で約6万円、高専短大卒と大学卒では約5万円の違いです。これだけでも「結構違うなー」と思うのですが、それより上の年代を見てみますと、大学卒のお給料はどんどん上昇している一方で、高校卒と高専短大卒のお給料はそれほど上がっていません。これによって、金額の差がどんどん開いているのがわかります。

50代後半にもなると、高校卒と大学卒では1ヶ月でなんと約17万円もの差が出ています!

男性同様、女性も年代が高くなるにつれて大学卒とその他の学歴のお給料の額の差が開いています。こちらも、50代後半になると高校卒と大学卒では1ヶ月で約16万円の差が出ています。

大学卒だと他の学歴と比べて初任給が高めでスタート出来るだけでなく、その先のお給料の上がり具合も他の学歴とは比べ物にならないものであることがわかりました。

次回のエントリーでは、会社を辞める時にもらえる「退職金」について、それぞれの学歴でどのような違いがあるのかをご紹介しようと思います。

大学卒とその他学歴での給料・退職金の違い①

2011年2月4日 金曜日

これから大学受験に向けて頑張っていこうと思っている高校生の皆さんで「将来どんな仕事に就くのか?」や「これから先どんな人生にしたいか」についてはっきりと、明確な考えを持っている人は非常に少ないでしょう。次の4月に中学3年生になって、いよいよ高校入試を迎える皆さんにいたってはそんなことを真剣に考えたことすらもない、という人がほとんどだと思います。

今中学生・高校生である皆さんが現段階ではっきりと、例えば「将来は○○になるんだ」という具体的な職業名を決めておく必要は(決まっているに越したことはないのですが)必ずしもありません。

それよりも大切なのは、これから先自分が「なりたい!」と思った職業に就けたり、「こんな人生を送りたい」と思ったりした時に、それらが実現出来る環境に自分が居られるように今から頑張っておくことです。

これから先、皆さんに待っている「人生最大の選択」の一つとして、次の3つから進路を選ぶということがあります。

「高卒で社会に出る」
「短大・専門学校に進学する」
「大学に進学する」

この3つが今後の皆さんの人生を分ける大きな「分岐点」と成り得ます。特に大きな分かれ目となるのが、卒業後に社会へ出た後の「お給料」の面です。

今回から数回に渡り、中高生の皆さんが大切な進路を決める前に必ず知っておいて欲しいことを、特にお給料などの「お金」の面に絞り、順を追ってご紹介したいと思います。

今回は、高校・短大・大学などを卒業して会社に雇われて初めて受け取るお給料、つまり「初任給」についてご紹介しましょう。

下のグラフでは、高校卒・高専短大卒・大学卒それぞれの過去10年間の初任給の額をグラフ化したものです。出典は厚生労働省発行の「平成22年賃金構造基本統計調査結果(初任給)」です(クリックすると拡大します)。

学歴別初任給推移(男女計)

ご覧のとおり、大学卒の初任給は20万円近くで推移しています。一方で高専短大卒は17万円前後、高校卒になると16万円にも届いていません。初任給時点で大学卒と高校卒でのお給料の差は実に4万円、年間にすると約50万円の差が出ます。

今回はご紹介していませんが、お給料でこれだけの差があるということは、ボーナスも大きな差があることが容易に予想できますね。そうすると、1年間のお給料・ボーナスの総額、いわゆる「年収」が全く違ってきます。

また、この状態が定年を迎えるまで続くわけですから、一生涯でもらえるお給料の総額の差は相当変わってくるでしょう。

ただ、学歴によってその先のお給料の額の上がり幅が異なっています。それについての詳しいことは次のエントリーでご紹介したいと思います。

前向きな考えを持って進路を選ぶ

2011年1月4日 火曜日

2011年になり、初めてのエントリーとなります。今年も「開成教育グループ 入試対策課ブログ 学校選びの道しるべ」をどうぞよろしくお願いします。

さて、新年最初の話題ですが、今受験に向けて頑張っている皆さん、これから進路を決めていこうとしている方々、すべての人に読んでほしい「進路選びの際のポイント」をご紹介します。

昨年の秋以降、いろいろな学校の説明会などにお邪魔してきましたが、その中のある学校の説明会で校長先生がご紹介下さいました数字を基にして、進路・職業選びに必要となる力をご紹介しましょう。

65.8%

一体何を表す数字なのでしょうか?

これは、日本の高校生のうち「自分をダメな人間だと思う」と思っている子の割合だそうです。

対して、中国の高校生たちのそれは「12.7%」ということだそうです。一般的に言いますと、他の国の方々と比較しても日本人は「奥ゆかしい」といいますか、遠慮がちな国民ですから、こういう調査をされると数字が高めに出るんだろうなぁ、とは思うのですが、それを差し引いたにしても圧倒的に日本の高校生の方が「自分自身をよく思えていない」ことが分かります。

これからの進路を選ぶ高校生たちがこういう状況というのは、あまり良くないものだと考えます。

進学であっても、就職であっても、将来の進路を選ぶ時には「自分にはどういう能力があるのか?」ということも含めて、「自分はどういう人間なのか?」ということを正確に把握しておかないと、現実の自分の姿と合致しない進路を選択してしまい、将来大きな問題を引き起こしてしまう可能性が出てきます。

例えば他の人から「面白いことをたくさん言う人だね」と言われると「自分って面白い人なのかー」という気持ちが大きくなり、これまで以上に普段の生活で面白いことを言う事を意識し始め、それ以外の行動も積極的になった、ということを経験された方もいるかもしれません。

逆に、例えば一生懸命勉強したのにテストで点数が取れず、親や先生から「ダメだなー」なんて言われると、「自分はダメなヤツなんだ」という気持ちが膨れ上がってきて、勉強が嫌いになるだけでなく、他のことも自信がなくなって積極的に行動できなくなる、ということを経験されたこともあるかもしれません。

どんな些細なことでもいいので「前向きな気持ち」を持ちつづけることが、いずれ他の面にも良い影響を与えるということがよく起こるのです。そのまた逆もありえる、ということもありますが・・・。

「将来○○みたいな仕事がしたい」
「○○の研究がしたい」
「○○大学に行きたい」

若い皆さんたちのことです。将来、いろいろな夢や希望が出てくるでしょう。その度ごとに「自分は○○が得意(好き)だし、もっと頑張ればきっと夢はかなう!」と信じ、前向きに行動するように心がけて下さい。

自分という人間がどういう人間であるかということを正確に把握しつつ、前向きな気持ちを持って行動できれば、正確な進路が選べるようになるでしょう。

今年1年、ぜひ「常に前向きな気持ちを持ち続ける」ことを意識しながら生活してみてください。

厳しい雇用・就職状況の中を生きる

2010年8月25日 水曜日

8月も下旬に入りましたが、厳しい暑さが収まる気配が一向にありません。そんな中、雇用環境も厳しい状況が続いております。今回のエントリーでは、雇用・就職に関する最近の新聞記事のいくつかをご紹介しつつ、

8月17日の日本経済新聞に以下のような記事が掲載されました(以下引用)。

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失業期間の長期化判明「1年以上」が118万人 4~6月労働力調査

総務省は17日、4~6月期の労働力調査/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E5E1EBE6E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX(詳細集計)を発表した。完全失業者349万人(月平均)のうち、失業期間が「1年以上」の失業者は118万人となり、前年同期に比べ21万人増えた。増加は7四半期連続。求人数が低迷し、職をみつけられない失業者が多いようだ。

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厳しい雇用情勢が続く中、失業期間の長期化に歯止めが掛からない状況となっています。

なお、この118万人という数ですが、データが存在する2002年以降で見てみますと、IT(情報技術)バブル崩壊後の2003年4~6月期(127万人)に次ぐ過去2番目の高水準、となっています。

失業期間別の内訳は次のようになっています。

・2年以上 前年同期比11万人増の62万人(過去2番目の多さ)
・1年以上2年未満 同10万人増の56万人
・6カ月以上1年未満 同7万人増の52万人
・3カ月以上6カ月未満 同11万人減の51万人
・3カ月未満 同26万人減の114万人

新規と短期の失業者は減少傾向となっているものの、失業期間の長期化が進む一方であることがわかります。

そのような厳しい雇用状況となっていますから、新規大卒者の就職活動も大変苦しいものとなっています。7月6日の読売新聞に以下のような記事が掲載されていました(以下引用)。

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就職留年7万9000人 読売調査推計

大卒予定7人に1人・・・「新卒」として再就活
卒業年限を迎えながら留年する学生が全国の大学で少なくとも7万9000人いると推計されることが、読売新聞の「大学の実力」調査で明らかになった。

根強い企業の「新卒一括採用」を背景に、就職が決まらず翌年に再び「新卒」として就職活動(就活)に臨む学生が急増している。卒業予定者数は約56万8000人で、7人に1人は留年している計算になり、就職戦線のさらなる激化を招いている。

卒業者含め「浪人」11万人
国の調査では、約3万1000人が、就職が決まらないまま卒業している。今回、明らかになった留年者約7万9000人を合わせると就職浪人は約11万人となり、その分、就職戦線が激化している計算になる。

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2010年2月時点の新卒就職内定率は約8割となっており、学生の5人に1人は就職できないことになっています。そのような過酷な状況下で少しでも有利に就職活動を進めたい、ということから、今年就職出来なかった学生はあえて卒業を1年見送って(=留年)「新卒」として再度就職活動を行う、ということを編み出した形です。

リーマンショック後、このような「就職氷河期」と呼ぶにはぴったりな状況が続いていますから、「やっぱり就職率が良い大学がいいなあ」と思う大学受験生が最近増えています。しかしその一方で、就職率などのデータについての計算・公開状況は各大学で大きく異なっており、選ぶ側となる受験生にとっては「共通のものさしで比較できない」という状況になっています。就職状況をはじめとする進路情報の公開を文部科学省が義務付ける、という記事が7月12日の産経新聞に掲載されていました(以下引用)。

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「就活」の成果も大学に公開義務付けへ

文部科学省は、大学などに対して、入学者数、卒業者数、就職者数などの進路情報の公開を、2011(平成23)年度から義務付けることにしました。実質的な「大学全入時代」に入り、大学の入り口と出口の情報を広く公開することにより、大学教育の質を保証していくことがねらいです。受験生や保護者にとっては、大学選びの参考資料が増えることになります。

大学進学希望者や保護者にとって最も気になるのが、「学生に関する情報」でしょう。具体的な中身は、収容定員、実際の学生数、卒業者数、(大学院などへの)進学者数、就職者数などとなっています。

ここで、「卒業者数なんて、今までも公開されているのでは」「就職状況などは、大学のパンフレットに載っているけど」などと、疑問に感じたかたもいることでしょう。ところが、実際の入学者数や卒業者数などを、一般に公開していない大学は、実は少なくないのです。また、卒業生の進路情報として就職状況などを載せていても、実際は採用内定者の延べ人数だったりして、学生の就職活動の成果をきちんと反映してないこともあります。就職者の実数などを、簡単には公開できない事情を抱えた大学もあります。学生数にしても、入学者数から4年後の卒業者数を引けば、どれだけの学生が中退や留年したかが、おおよそわかってしまいます。

文科省による入学者数、卒業者数、就職者数などの情報公開の義務付けは、大学の「入り口」と「出口」の部分の実態をできるだけ受験生や保護者に明らかにさせることを通じて、大学教育の質を維持・向上するよう大学側に努力を促すことが目的だと言ってよいでしょう。これまでも、大学設置基準などで、情報公開に努めるよう求めてはいたのですが、学校教育法施行規則ではっきりと情報公開が義務付けられたことにより、大学の進路情報の公開が一挙に進むことが予想されます。

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大学受験生にとっては、これらのデータが大学選びに大きな影響を与えることになるのは必至でしょう。

ただ、1つ気をつけてほしいのは、「就職率が高い大学=自分が希望する会社に入れる」ということではない、ということです(当然ですが)。

就職率が低い大学でも、在学中に自分をしっかり磨いておればどんな会社からも「ウチでぜひ!」と言ってもらえるでしょう。逆に、世間的には知らない人がいないような大学に在籍していても、自分に「これ」といったセールスポイントがなければ厳しい就職活動になるのは目に見えています。

先日、学生向けの就職フェアの風景がNHKのニュースで紹介されていました。その時の学生の言葉がとても印象的でしたのでご紹介したいと思います。

「どんな時代でも自分がしっかりやらないといけない。時代のせいとかにはしてられないので、がんばるしかない。」

時代のせいにするのではなく、現実を受け留めて、その中でいかにして自分らしい人生を選択していくか、と肯定的に捉えている姿が素晴らしいと感じました。

これを読んでいる若い皆さんたちには、どんな現実が待っていようとも突き進んでいけるような「本当の生きる力」を養いながら社会へ出る準備をしていってほしい、そう思います。また、それに向けて我々大人たちには何が出来るのか、を私も考えたいと思います。

進路・職業選びに必要な能力とは?②

2010年6月4日 金曜日

進路・職業選びの段階で身につけておいて欲しい力、についてお伝えしているこのシリーズ。これまでお送りしてきたのは以下の2つのエントリーです。

将来を真剣に考えて進路選びを~七五三問題~
進路・職業選びに必要な能力とは?①

今回は、様々な人間がいろいろな地域から集まる「大学」や「社会」といった広い世界に飛び込んだ時に人間関係をスムーズに上手く構築出来るよう、若いうちから準備しておいてほしいことを整理してみたいと思います。

前回と同じく国立教育政策研究所生徒指導研究センターが作成した「児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進に関する調査研究」という文書から該当部分を抜粋してご紹介します(クリックすると拡大します)。

人間関係形成能力

それぞれの教育段階に応じて身につけておくべき能力や態度が、具体的かつ段階的に示されていることがお分かりいただけると思います。

初期段階である小学校高学年では「自分の長所・短所を知る」ことが真っ先に挙げられています。その後、中学生ではもう少し突っ込んだ形で自分の個性を認識し、高校生になると自分の個性の中でどういった部分を伸ばしていくのか?どの部分を活かして職業を選ぶのか?といったところにまで発展させるのが理想的な流れとなっているようです。

まずは「自分の良いところ・悪いところ」を客観的に理解すること。これがすべてに通ずる第一歩とされています。

とある小学校では、教室の背面に生徒一人一人のポートフォリオを掲示し、そこに生徒たちが自由にコメントを書きこみあうことで、友達たちから見た自分の良いところなどを自覚させるだけでなく、友達の他人を見る見方を参考にさせることもでき、何よりも「人から見た自分」を意識させて普段の行動に落としこませる、ということに取り組まれています。

自分自身を知るのと同時に、自分の周りにいる人間の良いところ・悪いところを受け入れて、それを「個性」や「ユニークさ」としてとらえて受け入れることも必要になってきます。お互い認め合って大切にする、ということですね。それについても初期段階から意識させるべきであることが上の表で示されています。

インターネット、携帯電話・・・。現代はITの時代、といわれて久しくなりました。

人間同士が直接接触する機会が減っている分、一見すると人間関係が希薄になってきているようにも思えますが、コミュニケーションの手段自体は異なるものの、より多くの人たちと信頼を伴う人間関係を構築出来るかどうか、が今後の人生を大きく左右することにはなんら変わりはありません。

将来社会に出た時に適切な人間関係を構築できる人間でいられるよう、上の表を見て自分が出来ていないところから取り組んでいってはいかがでしょうか?

次のエントリーでは、現代に生きる者として必要不可欠な「情報活用能力」についてお話します。

進路・職業選びに必要な能力とは?①

2010年5月28日 金曜日

人間は生きている間に、自分の将来を大きく左右すると思われる選択を行わないといけない場面にいくつも出会います。「住む場所を選ぶ」こともそうでしょうし、何よりも「誰(どんな人)と結婚するか」ということは非常に大きな転機になるでしょう(私はそうでした)。

その他にはやはり「進学先・就職先の決定」ということも挙がると思います。

これらはその先の人生を大きく変えるだけではなく、例えば「A大学に進学したけど、仮にB大学に進学していたらどうだっただろう?」とか「就職はC社じゃなくてD社だったら今頃どうなってるかな?」というやり直しがききません。

進学先・就職先の決定というやり直しがきかない重要な選択。それが必要となる場面に出会うまでの間、一体どんな能力を身につけておくべきなのでしょうか?今回のエントリーは「進路・職業選びで必要となる能力」についてご紹介します。

下の表は、国立教育政策研究所生徒指導研究センターが作成した「児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進に関する調査研究」という報告書内にある、進路・職業選択に必要となる能力をまとめたものです。一部中高生には難解な表現がされている部分がありますので、そこは違うわかりやすい表現に置き換えています(表をクリックすると拡大します)。

進路・職業選択に必要となる能力

左端には大きく4つ抽象的に能力領域が示されており、それぞれの領域についての簡単な説明がその右に記載されています。注目いただきたいのは、右端に記載した各領域にカテゴライズされている合計8つの能力についてです。それぞれについて下に説明を記載します(以下、同報告書より引用)。

【自分・他人を理解する能力】
自己理解を深め、他者の多様な個性を理解し、互いに認め合うことを大切にして行動していく能力

【コミュニケーション能力】
多様な集団・組織の中で、コミュニケーションや豊かな人間関係を築きながら、自己の成長を果たしていく能力

【情報収集・探索能力】
進路や職業等に関する様々な情報を収集・探索するとともに、必要な情報を選択・活用し、自己の進路や生き方を考えていく能力

【職業理解能力】
様々な体験等を通して、学校で学ぶことと社会・職業生活との関連や、今しなければならないことなどを理解していく能力

【役割把握・認識能力】
生活・仕事上の多様な役割や意義及びその関連等を理解し、自己の果たすべき役割等についての認識を深めていく能力

【計画を実行する能力】
目標とすべき将来の生き方や進路を考え、それを実現するための進路計画を立て、実際の選択行動等で実行していく能力

【選択能力】
様々な選択肢について比較検討したり、葛藤を克服したりして、主体的に判断し、自らにふさわしい選択・決定を行っていく能力

【課題解決能力】
意思決定に伴う責任を受け入れ、選択結果に適応するとともに、希望する進路の実現に向け、自ら課題を設定してその解決に取り組む能力

・・・難しい言葉が並んでいて、一体何をどうすればいいのか?が今一つわかりにくい文章です。

ただ、一番大切になってくるのは「自分を知る」ことです。職業・仕事の名前や中身をよく知っている、いろいろな資格を持っている、ということも重要ではありますが、自分自身の個性・能力・適性を知ることと、それを受け入れて伸ばそうとする姿勢が最重要事項だと考えます。

今回は諸能力をざっとご紹介しましたが、今後のエントリーでは、これら8つの能力を身につけるためにどういう点に注意して生活すればいいのか、小・中・高それぞれの段階にわけて丁寧にご紹介してまいります。

将来を真剣に考えて進路選びを~七五三問題~

2010年5月21日 金曜日

今回のエントリーは、これから進路を探す、あるいは今進路を探している途中の方すべてにお読みいただきたいものです。

「七五三問題」という言葉をご存じでしょうか?

簡単に言うと、就職してから3年以内に最初に勤めた会社を辞めてしまう割合が中卒で7割・高卒で5割・大卒で3割である、という問題です。国の調査結果を示した下のグラフにもありますように、中卒・高卒・大卒がそれぞれおよそ7割・5割・3割の割合であることが示されています。大卒に至っては、30%台半ばにまで達している年があることもわかります。

中卒・高卒・大卒別 3年以内離職率

離職する理由としては「自分に合わないから」ということが最も多く挙げられると思います。

就職活動段階での「仕事選び」で失敗した、ということが直接の原因になるのでしょうが、もっと前の段階の「大学での学問(学部・学科)選び」やもう少し手前の段階である「高校時代での文系・理系の選択」という時点でも問題が起こっていることも充分考えられます。

他の原因としては「職業人として社会で活躍するために必要な基礎的・基本的な資質や能力が備わっていない」というスキル面の問題もあると思われます。

しかし、問題はもっと深いところにあるのではないか?と思うのです。

最近、一昔前よく聞いた「キレる若者」という表現をあまり聞かなくなった気がします。その代わりに「最近の若者は無気力」ということをよく耳にします。

「キレる」と「無気力」。言葉の意味としては真逆とも言える2つの言葉ですが、両者に共通しているのは「理想と現実のギャップを目の前にしてとる行動」と考えられます。

「現実を充分理解できていない」ままで社会に出てしまい、対処スキルや相談する相手を持たないまま問題に直面し、結果として「現実から逃避する」形で退職する、という方が多いのではないでしょうか。

また、「しっかりとした勤労観・職業観を持てていない」という、仕事を選択する以前に身につけておくべき事柄が欠落しているため、職業の選択ミスやせっかく就職した後でも仕事が長続きしない、といった問題を引き起こしているのではないでしょうか。

これまでの進路指導では、中学・高校・大学入試においては「入れる学校を探す」こと、就職時には「入社できる企業を探す」という、一口で言うと「出口指導」が主流でした。

しかし、この数年で社会は激変しました。少子高齢化は言うまでもなく、グローバル化やIT化に代表される産業・経済構造の変化、雇用の多様化・流動化等・・・。社会が大きく変化してい る以上、進路指導もそれに対応した形になるよう見直す必要があると考えます。

進学する学校を選んだり、就職する企業を決める前に「自分自身がこれから先どう生きていくのか」を知り、そのために必要な知識やスキルを前もって得ておくべき時代になっているのです。

これから先、このブログでは定期的に進路・職業選びに役立つ情報をお届けしていこうと思います。具体的には、進路・職業を選ぶ際に重要視すべき事柄を整理したり、将来社会に出てから困らないよう小・中・高それぞれの段階で身につけておくべき能力をまとめたり、「働くってなに?」「どうやって将来設計をするの?」という問いの答えを引き出すヒントになるようなものを綴ったり、ということを考えています。