国公立大と私立大 就職率ってどれぐらい違うの?

2010年11月9日 火曜日

随分前に公開したエントリー「国公立大と私立大 学費ってどれぐらい違うの?」は、当ブログで毎月アクセス数が上位に位置しています。大学進学全般の中でも特に費用面で心配している大学受験生の皆さん、その保護者の皆さんの関心を集めたのだと思います。

このデータの他にも、国公立大と私立大で決定的に違う部分があります。今回のエントリーでは、そんなたくさんある違いのうちの1つである「就職率」について、国公立大と私立大ではどれほど違うのか?をご紹介したいと思います。

まずは、大卒者全体の就職率について知っておく必要があります。下の画像では、過去15年分の就職内定率の推移をご紹介しています(クリックすると拡大します)。大学卒 就職内定率 推移

就職内定率とは、「内定取得者数÷就職希望者数」であらわされるものです。「就職者数÷卒業者数」で示される「就職率」とはまた異なるデータとなりますので、ご注意ください。

2010年4月1日時点で大学の就職内定率は91.8%となっており、前年である2009年と比べて3.9ポイントのマイナス、大きく下がっていることがわかります。この調査が開始された1997年度分以降においては、2000年3月の91.1%に続き2番目に低い値を示しました。

このような厳しい就職状況については過去にこちらのエントリー「厳しい雇用・就職状況の中を生きる」でも詳しくご紹介しています。

さて、この今年の「91.8%」という数字をもう少し詳しく解剖してみましょう。ここからが本題です。

大学は大きく国公立大と私立大の2種類に分けることができます。また、文系学部・理系学部という分け方も可能です。

下の図では、国公立大・私立大それぞれの文系学部・理系学部別の就職内定率をご紹介しています(クリックすると拡大します)。

国公立大・私立大 文理別就職内定率

赤い棒グラフが文系・理系それぞれにおける全体の就職内定率となっており、緑が国公立大・黄色が私立大となっています。

まず目に飛び込んでくるのが、理系学部の就職内定率の高さです。

余談ですが、日本経済新聞9月20日朝刊に理系と文系の年収を比較したところ、文系学部出身者(平均年齢 41.11歳)の平均年収が583万円に対し、理系(同41.05歳)のそれは681万円となり、理系の方が100万円ほど高い、という調査結果が掲載されていました。

昔むかし理系は「3K」などと言われるなど、大学受験生から嫌われていたことがありますが、今はもう遠い昔のことです。この就職率のデータや年収の高さを見せられると心が動く高校生も多いのではないでしょうか。

話を本題に戻しますと、文系・理系ともに国公立大が私立大の就職内定率を上回っています。国公立大は入試段階で5教科をまんべんなく勉強しておく必要がありますので、企業もその点に注目しているのだと思います。

高校生の皆さん、どのような視点で大学を選ばれますでしょうか?家から通える、自分の学力レベルと合う、学びたい学問がある、といった大学4年間の生活や勉強面を中心に進路を選ぶことが多いと思います。しかし、よく考えるまでもなく、大学選びは卒業後の人生に大きな影響を与えます。「この大学は就職で有利かどうか」「どんな企業に就職しているのか」という点に加えて、特に薬剤師などの国家試験合格を目指している方は合格率も大学選びの基準に加えて、慎重に選ぶようにしましょう。