2011年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率①

2011年8月26日 金曜日

中学・高校・大学入試すべてに当てはまることですが、出題された問題のすべてに正解する必要はありません。合格に必要となる得点を1点でも上回っていればそれで事は足ります。

入試問題をよく見ますと、「誰もが正解しているであろう簡単な問題」や「これは誰も正解してないと思われる難解な問題」が絶妙なバランスで散りばめられています。前者は必ず正解しておかないと他の受験生との差が開いてしまいますが、後者は(正解しておく方が良いに決まってはいますが)特に正解しなくてもさほど合否に影響は無いものと思われます。

合格への近道の1つとして、試験当日に「絶対に正解しておかないといけない問題」「出来なくてもそれほど心配ない問題」の見極めをつけることが出来て、正解すべき問題に時間をかけて取り組み、確実に正解を導きだすことが出来るようになること、が挙げられます。これを常日頃の過去問演習の際に意識して訓練しておくことをオススメします。

過去問対策を進める際、学校によっては小問ごとの「正答率」が公表されているケースがあります。この「正答率」が高い問題ほど「基礎的な問題」と位置づけることができ、 そのような問題は何よりも優先して確実に解けるようになっておく必要があります。

今回のエントリー以降(不定期になりますが)では2011年度滋賀県公立高入試問題の科目ごとに小問別正答率をご紹介し、「過去問対策する上でのポイント」「試験を受けるにあたって注意すべき点」についてご紹介していこうと思います。

今回は国語についてです。

今年度の国語の平均点は57.6点(100点満点)でした。下の表で小問別の正答率をご紹介しています(画像をクリックすると拡大します)。なお、昨年度である2010年度の国語の小問別正答率についてはこちらのエントリー「滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率①」でご紹介しています。

2011年度滋賀県公立高 小問別正答率(国語)

正答率と合わせて、出された問題のポイントや受験生の解答状況について詳しく分析されたものも公開されています。以下、滋賀県教育委員会が発表した解答の分析の一部です。

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大問一において、漢字の問いについては「主張」の書きの正答率が若干低い以外は良好であった。また、文脈に即して内容を正確に理解する力をみる問いについても、正答率おおおむね良好であった。品詞を見分ける問いについても、昨年度はやや正答率が低かったが、今年度は半数以上の正答率であった。表現技法についての理解と、古典を理解する基礎的な力をみる問いについては、半数近くが正答していた。一方、抽象的な表現で書かれている部分の具体的な意味を、文章の展開に即して読み取ることができるかをみる問いについては、昨年と同様に正答率がやや低く、文章全体の要旨をとらえ、自分でまとめて記述して答える問いの正答率も低かった。このことから、文章に親しむ態度の育成を今後も一層進めるとともに、語と語の関係をとらえながら、内容を丁寧に読み取る力や読み取った内容を簡潔にまとめて表現する力を身につけさせる必要がある。

大問二の作文では、与えられた材料をもとにして自分の考えをまとめ、適切に表現する力を求めた。受検生にとっては身近なテーマであり、2つの提案を比較しながら評価し、利点を説明することを通して、必要な材料をもとにして自分の考えを適切に書き表すことを求める問いであったので、昨年よりも正答率が大幅に向上した。今後も必要な情報を取り出し、解釈し、身近な生活の中で経験したことや学習したことを活用して、自分の考えをまとめる力のさらなる育成が望まれる。

大問三において、漢字の問いについては、どの漢字についても良好な正答率であった。また、漢字の知識をもとに書写における行書についての理解をみる問いや、表現の特徴を選ぶ問いについても、おおむね良好な正答率であった。一方、文章の展開を確かめながら主題や要旨をとらえることができるかをみる問いについては、正答率がやや低かった。また、文の中の文の成分の照応を正しく読みとることができるかをみる問いについても正答率が低かった。言葉のきまりに関する基礎的な力や表現の特徴に注意して読む力、書かれていることを正確に読み取り的確に表現する力のさらなる育成が求められる。

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問題文は評論的文章と文学的文章がバランスよく組み合わせて配置されている上に、本文のテーマは今の中高生にこそ考えてほしい内容だった、という点でとても取り組みやすいものであったと思います。

滋賀県教育委員会は「全体として、書かれた内容の大体の意味を理解する力については身についている。しかし、自分が理解した内容をもとに考えたことを、根拠を明確にして簡潔にまとめ、適切に書き表す力についてはさらなる育成が望まれる。」と結んでおります。要するに「読む力はあるが、表現力がない」ということです。

滋賀県公立高入試では、大問二の「作文」こそが記述力を求められる代表的な問題になります。この部分で必要となる「表現力」「記述力」をもっとつけておくべきでしょう。

国語は「記述力」が大きく合否を分ける、と言ってしまって良いでしょう。残り約半年の間、記述力をつける勉強も意識して進めるようにしてほしいと思います。

これ以降、国語以外の教科についても不定期にご紹介していこうと思います。滋賀県にお住まいの中3生の皆さんはこのブログをよくチェックしておいてください!

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