大卒生就職内定率 昨年より上昇も・・・①

2012年5月25日 金曜日

今年大学を卒業された方々の就職内定率の調査結果が、このほど文部科学省および厚生労働省から発表されました。

過去にこちらのエントリー「2月時点就職内定率 やや好転も・・・」では2月時点の就職内定状況をご紹介しましたが、今回は最終的な就職内定率となっています。

早速下のグラフをご覧ください(画像をクリックすると拡大します)。

就職内定率 推移

折れ線グラフで示しております通り今年は93.6%と、昨年の91.0%から大きく上向いた結果となりました。近年で最も就職率が高かった頃と比べるとまだまだ低い数字ではありますものの、懸念された90%割れは回避できました点から考えますと「一安心」といったところでしょうか。

しかし、ひとつ気になる点があります。

厚労省の推計値によると、大学の2012年3月新卒予定者数は55万人。この内、今回のこの調査時点での大学就職希望者数は38万1千人、内定をもらったのが35万6千人となっています。

この「大学就職希望者数」ですが、調査を重ねる度に減ってきているのです。以下、今年度数度に渡って調査された際の大学就職希望者数です。

10月1日調査時点 42万5千人
12月1日調査時点 41万6千人
2月1日調査時点 40万6千人
4月1日調査時点 38万1千人

卒業者数は文部科学省「学校基本調査」から推計した数値である一方で、この「就職希望者数」は今回の調査対象となった約6千人から得た統計結果から推計した数値ですから、全体を集計すればひょっとすると少々かけ離れた数字になっているかもしれないものの、10月から2月の間に約2万人減った上に、2月から4月の間にまた2万5千人減っています。これは、新卒予定者が就職を諦めたり、大学院や専門学校などへ進学するなどの進路変更をした、ということが推測されます。それだけではなく、「本当は就職を希望しているがどこからも内定がもらえないので「希望せず」とした」という学生も多々いることでしょう。

こういった学生が「大学就職希望者数」から抜け落ちていくことで、就職内定率算出の際の「分母」が減りますから、おのずと数値も良く出る方向になります。

整理しますと・・・

新卒予定者数 55万人
就職希望者数 38万1千人
就職内定者数 35万6千人

となります。新卒全体に対して就職内定を得た学生の率は64.7%となり、学生の3人に1人が就職していない(出来ていない)計算となります。

また、国公立大と私立大それぞれの統計を見てみますと、国公立大が昨年より約2%の上昇であるのに対し私立大は3%ほどの回復を見せているものの、上の画像内の棒グラフで示しておりますとおり国公立大が圧倒的に高い値となっています。

国公立大と私立大の数値の移り変わりを数年分見てみますと、2007年や2008年のように雇用状況が良好な時期は国公立大も私立大もさほど変わらない内定率なのですが、雇用状況が悪化してくるにつれて私立大の学生が不利な状況になっていくのが目に見えて明らかです。

さて、大卒生全体の就職率の他に文系・理系別の就職率も公開されています。こちらについてはまた改めて別のエントリーでご紹介します。