2013年度中学入試 結果分析④ ~評価されている学校~

2013年6月22日 土曜日

6月中の毎週土曜日に更新をする5回シリーズとして今春の中学入試結果についてお送りをしています。これまでは・・・

2013年度中学入試 結果分析① ~府県別受験率~
2013年度中学入試 結果分析② ~午後入試の台頭~
2013年度中学入試 結果分析③ ~大学附属校の人気動向~

の3つのエントリーで、近畿2府4県の中学受験率、近年実施校が増えている「午後入試」、「大学附属校」特に関関同立附属校の人気動向について検証しました。

前回のエントリーでは、関関同立附属校の人気が一時期より落ち着いたものになっていることをご紹介しましたが、今回はそれら関関同立附属校からも受験生を奪っているのではないか、と思われる学校とその条件や共通項について見ていきます。

まずは、下の表をご覧ください。

こちらは、今春入試で大阪・兵庫・京都の各府県において統一解禁日の志願者数が前年よりも増えた学校を、多い順にいくつかご紹介しています。

志願者が増えた学校に共通する事柄は何かないかな?と思い、前々年⇒前年の大学合格実績(旧帝大+神戸大の合計、関関同立合計)の推移を学校名・志願者増減の右側の方にくっつけてみました。

すると、すべての学校とまではいきませんでしたが、例えば、難関国公立大である旧帝大と神戸大の合格者数が大きく伸びている高槻中が志願者数を大きく伸ばしていたりと、志願者を増やした学校のうち多くの学校が大学合格実績の点で向上していることがわかりました。

その高槻中ですが、過去からの入試状況についてグラフにまとめてみました。

ご覧の通り、一番入りやすかったと思われる2011年度から一気に志願者数・倍率が上昇しており、今春は3.4倍もの高倍率となっています。これはひとえに、ここ数年の高槻中の大学合格実績の良化が支持されているものです。

特に倍率が高騰したのが後期で、その後期の入試結果は以下の通りとなります。

13年度 受験者数418名・合格者数45名 9.3倍
12年度 受験者数320名・合格者数54名 5.9倍

9倍という恐ろしい倍率がついていますが、前期も恐ろしい倍率となっています。特に、12年度より後期が新設されたことによって前期の募集定員が40名減となっていますので、特にこの2年は難化が激しいものとなっています。

13年度 受験者数430名・合格者数150名 2.9倍
12年度 受験者数386名・合格者数170名 2.3倍
11年度 受験者数339名・合格者数199名 1.7倍

この倍率の高騰が思わぬ所に影響を与えています。そう、「出題傾向の変化」です。かつて以上に今は優秀な受験生が多く集まる入試となってしまっている高槻中では、例えば1点に数多くの受験生がひしめき合うなど、合格・不合格を決めるのにも大変ご苦労されていることと思います。今年の入試では国語で大きな出題傾向の変化があり、受験生を苦しめました。

上の画像は、昨年度である2012年度の前期国語の解答用紙です。

ご覧いただければすぐわかりますが、3~40字程度の記述が3問ほどあり、最後には60字の記述が用意されています。仮に最後の60字の記述問題を取りそこなったとしても、他の問題でカバー出来そうな気がする解答用紙になっています。

対して・・・

こちらが2013年度前期の国語の解答用紙です。前年のものと比べると、3~40字の記述問題が少なくなってしまい、代わりに最後の問題に100字もの記述をさせる問題が登場しています。100字も書かせる、というのは中学入試の世界では中々見かけない問題ですし、こちらの解答用紙を見ている限りでは、この100字の記述を丸々落としてしまったならば他の問題で合格最低点に乗せることが出来なさそうな、そういう感じがします。

大学合格実績の良化が優秀な受験生を呼び、徐々に学校自体のレベルが上がり、ひいては入試問題を難化させないと合否判定に支障が出るような所にまでなり、難しい入試問題を突破した優秀な受験生がまた大学合格実績で成果を出し、それがより一層優秀な受験生を呼び・・・、と大変良いスパイラルに入っていくことになります。

大学合格実績の良化が受験生の数とレベルを押し上げる効果があることを、高槻中を例にとってご紹介しました。

他にも、大学合格実績で評価を得ている学校が多くあります。そういった所の取り組みや今後の展望(つまり今の高3や次に控えている現高2などの大学合格実績予想)等についてもお聞きになった上で学校選びをされると良いでしょう。また、過去に中学受験を経験された受験生やその保護者の方々は、入試の前年の大学合格実績を見て、特に保護者の皆さんが志望校を厳しく選定されていたようです。

次回はこのシリーズ最終回となります。