受験生・保護者は必見 スマホ依存は学力低下を招く?④

2014年3月20日 木曜日

当シリーズでは、スマートフォン(スマホ)がもたらした多くの「功罪」のうち、教育・学習にもたらした「負」の部分にスポットをあて、特に中高生にスマホあるいはそれを介したインターネットなどと上手に付き合うことを推奨するものです。

初回のエントリーである「受験生・保護者は必見 スマホ依存は学力低下を招く?①」では、文部科学省が全国学力テスト実施時に行ったアンケート結果と成績との相関関係を分析したものをご紹介し、ネット依存の傾向が強い生徒ほど学力テストの成績が低い、という事実をお知りいただきました。

2回目となるこちらのエントリー「受験生・保護者は必見 スマホ依存は学力低下を招く?②」では、1日のスマホ利用時間が長ければ長いほどテストの平均点が低くなっている、という例をご紹介しました。

3回目であるこちら「受験生・保護者は必見 スマホ依存は学力低下を招く?③」は、これまでご紹介してきた「学力低下」という悪影響のうちのほんの一部に関する話から少し視野を広げ、「成績低下」は一つの「結果」であり、スマホ依存が引き起こす成績低下の「過程」には、「睡眠時間が短くなる傾向にある上、入眠困難など睡眠の質が悪い、午前中に調子が悪い、楽しい日常生活を送れなかった、いつもより気分が落ち込む」といった日常生活・健康・精神の面で問題が起こっている、ということに目を向けなければならない、という点について認識を新たにしました。

最終回である今回は、これまでご紹介した話をまとめ、受験生・保護者の皆さんにスマホとの付き合いについて改めてお考え頂きたいと考えています。

知らない・わからないこともすぐに調べられますし、大事な一瞬もデジカメという別な物体に頼らず記録できますし、なんだったら机の前に座っていない状態でも動画やアプリで勉強を進めることだってできるなど、スマホは大変便利な道具です。

スマホの技術が発展することも良い事でしょう。過日には、2016年の実用化を目指し、パナソニックが大手自動車メーカーと連携し、ラジコンの要領でドアの開閉やエンジンの始動・停止のほか車庫入れの運転などをスマホで操作できるシステムを開発する、という報道がありました。「近未来」という言葉がすぐそこに迫ってきている、そんな感覚です。

普及が進むことも基本的には良い事だと思いますものの、特に中高生に何の教育もなくただスマホそのものを渡すだけ、ということには疑問が残ります。

そう思わせるものは何なのか?ということで、こんな例をご紹介します。いずれも、スマホを買ってもらったら・買い与えたら「負」の方向へ行ってしまった、というものです。

①大阪のとある私立進学校(高校)での話。例年よりもレベルが高い生徒が多数入学した学年であるにもかかわらず、その学年は赤点の生徒が例年よりも多い。赤点の生徒全員と面談をした結果、そのほとんどが「高校入学のお祝いにスマホを買ってもらった」という生徒だった。

②「スマホを持っていなくていじめられる(かもしれない?)からスマホを買ってほしい」と言われて子どもに買い与えたら、スマホを介したインターネット上で子どもがいじめにあってしまった。

10~18歳の子どもと同年代の子を末子に持つ保護者を対象に実施した携帯電話・スマートフォンのフィルタリングなどに関するインターネット調査結果によると、子どものスマートフォン利用率は30.6%になり、前回調査の14.4%から2倍以上の増加。スマートフォンを利用していない子どもでも56.8%が今後使用したいと回答しています。

子どもたちからの「熱烈なお願い」は避けて通れないと思います。各ご家庭では「ネットリテラシーを教える」「機能を制限する」といったネットあるいはスマホそのものについて対策を講じたり、「親との約束は守る」「携帯代の○○○○円を稼ぐ大変さ」といったネットやスマホから離れた、もっとベースとなる部分での教育が必要だったり、といろいろと対応すべきことがあると思います。

また、既にネット依存状態になってしまった子どもについては、親との信頼関係が崩れてしまっている場合が多いそうです。反対に、普段から「子どもの話をちゃんと聞く」ことに代表されるような「精神的な交流」を子どもと持てているのであれば、スマホを買い与えても特段問題は無いかもしれません。

これを機会に、保護者の皆さまの子どもとの接し方や携帯・ネット利用についても一度振り返ってみる、というのも必要かもしれません。

長々と続けてきました当シリーズもこれで終了とします。