2014年3月卒就職率 3年連続上昇と際立つ国公立大の強さ

2014年7月8日 火曜日

この度、2014年4月卒業生の最終就職率が明らかになりましたので、ご紹介を致します。以下、文部科学省および厚生労働省発表の資料を基に作成・分析を進めます。早速下のグラフをご覧ください(画像をクリックすると拡大します)。

大学全体の就職率(赤い折れ線グラフ)は94.4%となり、昨年から0.5ポイント上昇。3年連続の上昇となっています。一時の悲惨な状況から脱し、企業の採用状況が年々良くなってきていることがわかります。

国公立大・私立大別の就職率を見てみますと、オレンジの棒グラフである国公立大が96.7%(昨年から1.4ポイント上昇)・私立大は93.7%(昨年から0.3ポイント上昇)となりました。国公立大と私立大の「差」が、昨年は1.9ポイントだった所今年は一気に開いて3.0ポイント差となっています。全体の就職率の上がり幅と比べて、国公立大就職率の上がり幅が大きくなっています。

次に、男女別の就職状況を検証してみます(同じく画像をクリックすると拡大します)。

2012年度では、全体・国公立大・私立大の全てにおいて「男子>女子」の就職率でした。しかし、昨年(2013年)春卒業者のデータでは女子の値が急上昇し、反対に、就職率が好転しているにもかかわらず、男子は全体・国公立大・私立大の3つすべてで値を下げました。今春のデータでも「男子<女子」の就職率は昨年から覆ることがなく、全体・国公立大・私立大の全てにおいて女子の率が男子を上回っています。

男子・女子、国公立・私立の組み合わせで就職率が高い方から順にご紹介しますと・・・

1位 国公立大女子 97.4%
2位 国公立大男子 95.9%
3位 私立大女子 94.4%
4位 私立大男子 93.1%

という具合になります。国公立大女子と私立大男子では実に4.3ポイントもの差が出ています。

続いて、文系・理系に分けて就職率をご紹介します(こちらも画像をクリックすると拡大します)。

左側に文系、右側に理系、それぞれ国公立大・私立大別に過去5年分の就職率をご紹介しています。一目でお分かりいただけるのが、理系の就職率の高さです。昨年は、国公立大・私立大とも理系の就職率が文系を凌駕していましたが、今年は国公立大文系が昨年から1.6ポイントアップと大きな伸びとなり、国公立理系を上回っています。しかし、文系と理系を全体として比べると、若干は理系に分があるようです。

文系・理系、国公立大・私立大の組み合わせで就職率が高い方から順にご紹介しますと・・・

1位 国公立大文系 96.9%
2位 私立大理系 96.5%
3位 国公立大理系 96.1%
4位 私立大文系 93.2%

となります。1位の国公立大文系と4位に私立大文系は3.7ポイント差です。

今回発表になったデータを見ていると、「国公立大」「女子」の就職率の良さが際立っている気がします。

また、今春の就職状況に関する動向として各大学の説明会等でお話頂いた中に、「金融業界の採用が活発であった」ということが頻繁に聞かれました。経済の環境が良くなると、まず最初に採用面で「動き出す」のが金融業界です。今春卒業生の獲得に向けて、都市銀行や証券会社等金融業界では採用数を増やす会社が多かったようです。そうすると「優秀な学生の取り合い」で負けてはならん、と製造業や商社なども採用に関しては積極的な姿勢になり、結果として就職率の大幅な好転に結びついた、という構図になっているようです。

また、就職率自体は改善の傾向にありますが、企業の採用方針に関しては必ずしも「人数を多く採る」というわけでもなさそうです。

近年ちょくちょく聞く話の1つに、大手企業の中には「要求する水準を満たす人材が募集人数より少ない場合、人数を確保することに執着しない」という、言わば「質を保つ」方針の所が多くある、という話があります。ですから、学生の質次第では、特に大手企業での採用者数がもう少し増えるでしょう。