近畿地区主要私立大 注目の新設学部・学科 最新偏差値②

2014年10月27日 月曜日

2015年度大学入試に向けて、新設や改組が予定されている大学・学部・学科が数多くあります。その中で、近畿地区において特に注目されている新設学部・学科の難易度動向を調査・一覧でご紹介をし、簡単な解説を加えるシリーズです。

本シリーズにおける1回目のエントリー「近畿地区主要私立大 注目の新設学部・学科 最新偏差値①」では、新設ラッシュの看護系にスポットを当て、予想も含めて解説を致しました。

今回は、看護系以外で注目されている新設学部・学科についての解説を加えたいと思います。

前回のエントリーと同じものになりますが、主要な新設学部・学科の各社模擬試験偏差値をご覧ください(画像をクリックすると拡大します)。

今回トップバッターでご紹介するのは、35年ぶりの農学部新設となる、龍谷大 農学部についてです。

龍谷大 農学部の新設は、「国内の大学における農学部の新設は35年ぶり」ということもあり、全国的に注目が集まっています。

農学部というと「理系以外の何物でもない」といったイメージですが、この龍谷大 農学部には「食料農業システム学科」という文系寄りの学科も置かれており、文系の受験生獲得もお考えになられていることが大きな特徴となっています。

ライバル関係となるところとしては、やはり近畿大 農学部でしょう。同じ模試における近畿大 農学部の難易度は、「50.0~55.0(河合塾)」「54~56(代ゼミ)」となっていることから、近畿大 農学部の少し下に龍谷大は位置している、ということになります。

私立大には農学部がほとんどない中での龍谷大 農学部の新参入です。国公立大志望者の私立大での「押さえ」として、全国の受験生から狙われることは確実視されますので、今回ご紹介している模試でのラインよりも高い力を持った受験生が多く受験してくることでしょう。模試ラインよりも少し余裕を持った力を身に着けて受験に向かって欲しい、と思います。

続いて、希少な4年制薬学部となる、立命館大 薬学部 創薬科学科についてです。

立命館大 薬学部には、6年制となる薬学科がすでに設置されていますが、この度4年制となる「創薬科学科」が新設されます。学科名の通り、新薬開発等の創薬研究者の育成を目指す学科です。

同じ模試における立命館大 薬学部 薬学科の難易度は「57.5~60.0(河合塾)」「62(代ゼミ)」となっていることから、薬学科と同程度か少し下の難易度設定、となっているようです。当然、薬学系の学部・学科では全国的に見てもかなり高い難易度となります。
 
研究者の養成を念頭に置く4年制の薬学部を持つ私立大は全国的に見ても非常に少なく、近畿地区においては大阪薬科大(入試段階では6年制と4年制の一括募集)、近畿大、武庫川女子大、それに今回新設となる立命館大の4つとなります。よって、国公立大薬学部志望者のうち4年制を希望する受験生の併願先として立命館大のこの4年制課程は大いに狙われることでしょう。既存の3大学の4年制課程は「大阪薬科大 58(代ゼミ)」「近畿大 55(代ゼミ)」「武庫川女子大 50(代ゼミ)」という評価となっており、先の立命館大の難易度と少々の隔たりがあります。従来であれば大阪薬科大を押さえとしていたであろう難関国公立大4年制薬学部志望者が、立命館大に流れることになってもおかしくはない気配です。

最後に、文系学部の中で今一番人気がある、国際系各学部の動向についてです。

ここ数年の理系人気に押され気味の文系学部にあって、国際系学部の人気は「高値安定」といった状況です。そんな状況もあって、国際系学部・学科の新設がここ数年で続いています。

2015年度に向けて近畿地区では、既存の国際文化学部のキャンパス移転と合わせて学部の再編を行う龍谷大 国際学部と、神戸学院大 グローバルコミュニケーション学部の新設が話題となっています。

龍谷大 国際学部は、前述の通り国際文化学部の移転・再編となります。2015年度入試に向けての各社の模試偏差値は表の通りですが、2013年度入試結果では「47.5~50.0(河合塾)」といった評価でしたので、大きな難易度の変動は今の所出ていないことになります。

神戸学院大 グローバルコミュニケーション学部には3つのコースが用意されており、その内日本語コースは外国人留学生が募集の対象となるため、各社とも模試偏差値の設定はありません。英語と中国語の2コースを比較すると、英語コースの方が若干高いレベル設定とされています。

神戸学院大 グローバルコミュニケーション学部の難易度ですが、同大の文系学部の中では最も高い人文学部 人間心理学科と同等レベルの設定となっています。特色として「英語・中国語両コースは3年次前期の半年間全員留学する」「3年次の半年間留学に向けて、2年間で語学の授業を540時間以上確保」「聞く・話す・読むの基本語学力を少人数クラスで徹底的に強化するなどし、TOEICで180点アップを目指す」「語学力だけでなく、コミュニケーション力に代表されるような社会で求められている「社会人基礎力」の育成にも力を入れる」といった、硬質な教育内容が支持をされており、同大志望者の中でも特に成績上位の受験生が集まっているものと思われます。

受験校選びの一助として下さい。