知っていますか? 大学入試の「2018年問題」

2015年2月5日 木曜日

過日のエントリー「近畿地区私立大 2016年度開設予定の新学部・学科」では、近畿地区の私立大において2016年度より開設が予定されている新設学部・学科についての情報をお届けしました。

そちらでご紹介したのはほんの一部となっており、近畿地区または全国に視野を広げると、もっともっと多くの大学で新しい学部・学科が誕生することになっています。

受験生の皆さんにとっては「大変ありがたい話」であるのですが、新しく学部や学科が作られる場合、新設学部・学科分の純増によって大学全体の「募集定員」が増えるところが多く出てきます。

新しい大学が作られると、その分「大学全体としての」募集定員が増えますが、このように新設学部・学科が出来ることによっても全体としての募集定員が増えることになります。

こういった形で、毎年毎年募集定員が増えていく中、これから先の大学受験生の人数の予想に関する報道が年末に行われましたので、ご紹介致します。

以下、神戸新聞が年末に報じられた記事の抜粋と、データのご紹介です。


全国の大学に「2018年問題」 18歳人口減少が深刻化
(2014年12月28日神戸新聞)

2018年以降、国内の18歳人口の減少がさらに深刻になるとされ、兵庫県内をはじめ全国の大学は「2018年問題」として危機感を抱いている。18歳人口は既に、戦後2回目のピークだった1992年の60%まで減少。一方、大学の入学定員は増加が続いており、受験生の奪い合いが激化する。

文部科学省などによると、国内の18歳人口は66年に戦後1回目のピークとなる249万人に達した。その後は減るが、再び増加。第2次ベビーブーム世代の92年に205万人となった。

しかし20年後の2012年は119万人に減少。13年は123万人に増えたが、推計ではほぼ横ばい状態が続き、18年以降は減少傾向が加速する。31年には100万人を下回る見通し。

一方、1992年に54万人だった大学入学者は、大学の新設などで定員が年々増え続け、2013年は61万人。ただ志願者は92万人から68万人に減り、数字上は大学に入りやすくなった。

兵庫県内でも1992年の高校卒業者は約7万8800人だったが、2014年は4万5400人に現少。大学や短大などへの進学率は42%から60%に増えている。

大学間競争の激化は避けられず、県内の大学関係者は「新しい魅力で受験生を奪わないといけない時代。『この大学でなければ』という明確なメリットがないと引っ張れない」と話す。


要約すると以下のようになるでしょうか。

・かつては200万人を超えていた18歳人口が、2012年に119万人となり、以降も減少が続く予想
・大学入学者数も増え続けているが、志願者数は減っており、大学に入りやすくなっている

これまでも減り続けていた18歳人口ですが、特に2018年度からは加速していくようです。

受け入れる立場にある大学では定員が増加しているにもかかわらず、肝心の受験生の数が減っていく、ということになります。「大学を選ばなければ、どこかには合格する」という、いわゆる「全入時代」に突入して久しいですが、それがますます加速するわけです。

ご紹介した記事の最後にもありますが、大学にとっては「新しい魅力で受験生を奪わないといけない時代」に入ります。反対に、受験生の側にしてみると、大学間の「違い」について敏感になる必要があります。

そのためには、偏差値や名前だけで選ぶのではなく、自分の将来を見据えた上で「どの大学なら自分の未来を託せるか?」をシビアに見て欲しいと思います。

そう。せっかく選んで入学した大学が将来、あるいは最悪の場合は在学中に「倒産」なんてことになったら大変ですから。