男子と女子の大学進学率の違い

2016年12月12日 月曜日

日本では、女子には教育の機会が少なく、特に女子が学ぶことができる高等教育機関も少なかった時代があります。今では大学は男女どちらでも入学でき、むしろ「女子大」はあっても「男子大」はありませんので女子の方が大学進学の選択肢が多いといえるでしょう。しかし、多くのマンモス大学では女子よりも男子学生の数が多いですし、特に理系分野では男子の割合が高くなっていますので、男子の方が大学に進学する率が高いというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

 

さて、それでは実際の進学率はどのようになっているのかをグラフにしてみました。データの出展は文部科学省生涯学習政策局政策課調査統計企画室発行の「平成27年度学校基本調査速報」です。(この統計は「大学」に短期大学も含みますが、平成28年度の大学の学部学生数、約255万人に対し、短期大学の本科生は約13万人と規模が全く違いますのでそのまま利用します。)

 

御覧のように、男子の方が4ポイント以上低くなっています。実は女子の割合が1955年(昭和30年)には12.4%だったのですが、現在では学部学生に限っては43.8%、専攻科や別科では55%を超え、短大では94%と圧倒的に女子の割合の方が高くなっています。

 

男女別にベスト10の都道府県を並べてみました。男子の1位は京都、それに対し女子の1位は東京。東京には規模の大きい女子大が多いのも理由の一つでしょうか、7割以上の高校生が大学への進学を選んでいます。奈良は男女で10ポイント近い差がついています。西日本唯一の国立女子大である奈良女子大があるなど、女子教育に関心が高い地域だといえるでしょう。

 

男子と女子の割合を合計した順に並べ、グラフ化してみました。

やはり上位には大学そのものが多い都市部が並びます。近隣に大学が少ない地域では、進学するためには一人暮らしのための費用が必要になるなどの理由も考えられます。しかし、地方の大学がそれによって競争倍率が高くなっているかといえば、むしろ逆で、都市部のマンモス大学志向が強くなっているといえます。

文部科学省はマンモス大学の定員厳格化によって地方大学の入学者を増やし、地方活性化につなげようと考えているようですが、インターネットやスマートホンの普及などで、情報の地域間格差は少なくなっているといわれます。地方の特色を生かした独自の研究活動を行っている良い大学がありますので、今後は地域による差も、次第に縮小してくるのではないでしょうか。