近畿地区公立高 相次ぐ学区見直し

2012年3月12日

大阪府では先日、公立高の学区を2014年度に撤廃することを盛り込んだ府条例案が提案され、大阪府知事が幹事長の「大阪維新の会」府議団が単独過半数を占めていることから条例案が可決する見通しとなっています。これが実現すれば、現在中学1年生の皆さんが高校受験を迎えるときには、住んでいる地域にかかわらず、大阪府内のどの高校でも受験が可能となります。

さて、この学区の見直しに関する話題ですが、ここ数年で頻繁に目にしている気がします。そこで、今後の予定等も含めてですが、近畿地区だけで列挙してみました。

2006年   滋賀県 学区を撤廃し全県一区へ
2007年   大阪府 9学区から4学区へ統合
2009年   京都府 京都市・乙訓地域 東西南北4学区から南北2学区へ統合
2014年? 大阪府 学区を撤廃?
2015年   兵庫県 16学区を5学区に再編

なお、近畿地区以外においても2003年度以降東京都や神奈川県などで学区撤廃が相次いでいます。全国規模で見てみますと、学区を撤廃した都道府県は2010年度には約20都県となっています。

近年、この学区再編の動きは特に公立高人気の復権を目指す都市部で多く起こっています。

また、大阪府では2007年に4学区へ統合していますが、学区再編1年目・2年目に入学した生徒たちがすでに大学入試を経ています。特に、トップレベル公立高の昨春の大学合格実績は非常に良かったことは記憶に新しいところです。中でも、交通アクセスの良い公立高には学区再編1年目から優秀な生徒が集まっていたようです。2期生に加え1期生の一部が浪人で残ったこともあって、大学合格実績が飛躍的に伸びた形です。

このように、大学合格実績を見ると一部の学校には学区再編が良い影響を与えていることがわかります。ですが、交通アクセスで不利な学校や特色を出しきれず個性が埋没してしまっている学校の中には、学区再編以降の入試における倍率が低迷している例も少なくありません。

学区再編によって受験校の選択肢が広がることで、受験生の皆さんにもしっかりと「学校を選ぶ目」を持ってもらうことが必要になります。「近いから」「昔から知っているから」ということだけではなく、ご自身をきっちり育ててくれると思える所を選ぶようにしましょう。

そういった受験生が増えていくことによって、「選ばれる学校」「選んでもらえない学校」の差がはっきりとしてくることでしょう。今後ますます公立高は受験生を引きつけるような特色づくりに邁進していかなければならないことは明らかです。