2012年度大阪府公立高後期 最終倍率②

2012年3月14日

2012年度大阪府公立高後期 最終倍率①」に続くエントリーです。

3月9日(金)に出願締め切りを迎えた大阪府公立高後期選抜ですが、早速翌日10日(土)の新聞各紙にて最終倍率が発表されました。前回のエントリーでは全日制普通科主要校の最終倍率を、過去の最終倍率や進路希望調査結果などと絡めて見てきました。

今回のエントリーでは大阪府全体の平均倍率、今年の大阪府公立高後期に見られる特徴的な事項について検証します。

まずは、大阪府全体の平均倍率推移をご紹介します。

大阪府全体倍率(総合選択制含む)

今年の平均倍率は1.16倍、昨年の1.05倍から0.11ポイントの上昇となりました。

上のグラフにもあります通り、まさに「V字回復」という言葉がよく似合う復活劇となっています。また、上でご紹介している2003年度以降で見てみますと、0.1ポイント以上の倍率の上下は初めてのことです。

昨年の「1.05倍というかつてない低倍率」「定員割れ校数が41校」という公立高入試の状況を受けて、今春は全日制普通科で約1000名の定員減が行われました。このように、この急な倍率上昇の理由は定員減に起因します。

さて、上のグラフでは大阪府の普通科全体の平均倍率の推移をご紹介している訳ですが、2010年度以前と2011年度以降の2年間では計測している学校種が異なります。画像内に記載されている通り、普通科総合選択制が2011年度から後期選抜で選考されることになりましたので、2010年度までは含まれていなかった数値が2011年度以降では含まれてしまっていることになります。このままでは純粋な比較はできないことになりますので、昨年・今年のデータから普通科総合選択制各校のデータを除いたものを、下でご紹介します。

大阪府全体倍率(総合選択制除く)①

普通科総合選択制各校を除くと、昨年で0.04ポイント・今年で0.02ポイントの倍率上昇となります。つまり、普通科総合選択制の学校は低倍率の所が多い、ということがこれでわかります。

しかし、普通科総合選択制各校のデータを除く前と除いた後で比べると昨年は0.04ポイントの差があったのに対し、今年は0.02ポイントに縮まっています。

普通科総合選択制は府内全部で20校存在しますが、その内昨年は実に16校で定員割れとなっていた一方で、今年の定員割れは4校に留まっています。昨年定員割れとなってしまった16校中9校が今年定員を減少させています。その甲斐あって、普通科総合選択制は低倍率から脱することにほぼ成功しています。

上のグラフを学区再編前と再編後に分けてみますと、このようになります。

大阪府全体倍率(総合選択制除く)②

ここで改めて、2011年度以前の倍率の動きとそれに影響を与えた事象について以下でまとめてみます。

2007年度に9つあった学区が4つになったことで、より受験生にマッチした受験校が選べる、ということで公立高人気が高まって全体倍率が急激に上昇しました。以降、公立高は2009年度入試まで3年連続で高倍率を更新し続けました。

2009年度入試では「100年に一度」と言われている深刻な経済不況が世間を覆ったタイミングと同じくして、大阪では橋下知事(当時)による「私学助成金カット」を発端とする私立高での授業料値上げが大きく影響し、定時制高にも合格できないという受験生が出てくるなど、非常に公立高が人気となりました。

その影響があり、2010年度入試では公立高人気の過熱を見越して約3000名の定員増が行われました。また、私立高でも低所得者への無償化政策が実施されたこともあって1.14倍という落ち着いた倍率になりました。

そして前述のとおり、昨年は1.05倍という過去最低の倍率となりました。理由としてはやはり「大阪府独自の私立高校授業料無償化枠の拡大によって私立専願者の割合が増えた」ことが影響していることが筆頭に挙げられます。昨年より普通科総合選択制が後期選抜に合流したことも影響しています。なお、後期選抜で入試を実施する高校のうち、実に41校で定員割れとなりました。

さて、大阪府全体の平均倍率1.16倍をもう少し詳しく見てみたいと思います。以下の表は、進学指導特色校10校トータルの倍率などと、その他97校トータルの倍率などを比較したものになります。

トップ10校とその他全校 比較

進学指導特色校10校トータルの倍率は1.58倍、昨年から0.08ポイントの上昇となっております。一方で進学指導特色校以外の97校は昨年から0.11ポイント上昇の1.13倍です。昨年に引き続き今年も進学指導特色校10校は抜きんでた高倍率が続いていることになります。

10校の普通科定員は合計で1880名。それに対して10校の総志願者数は2977名。計算すると、この10校だけで募集定員を1097名オーバーした数が受験予定となっています。この1097名はそのまま不合格者となり、おそらくは併願で合格している私立高へ入学するでしょう。

たった10校のトップ校にいかに多くの受験生が集まっているかがわかります。10校とその他校では昨年に引き続き明らかな「2極化」が見てとれます。

この検証結果から、大阪府下に公立高は数多くあれど、受験生たちから特に支持されている高校はトップ10校を含めほんの一握りしかないのではないか?と思われます。

いよいよ公立高後期選抜。受験生の皆さんには倍率のことは忘れて自分の持てる力をすべて出し切って欲しいと思います。頑張れ!