激変が続く! 大阪府公立高入試制度

2012年4月5日

大阪府公立高入試制度が中3及び中2生が受験を迎える2013・2014年度の2年間で大きく変わることになります。今回はそのことについて現時点で判明していることをまとめてみます。

まず、来年度である2013年度入試の大きな変更点に関してです。過日に新聞報道等がありましたとおり、「入試日程の前倒し」などが正式に決まりました。新聞各紙のうち、毎日新聞の記事を以下に抜粋いたします。

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大阪府教委:府立高入試前倒し 来年から1週間程度
(2012年3月28日 毎日新聞より一部抜粋)

大阪府教委は28日、教育委員会議を開き、府立高校の入試日程を来年から前・後期ともに現行より1週間程度繰り上げることを決めた。来春入試は前期が2月20日(今春は2月23日)、後期は3月11日(同3月16日)に実施される。また募集定員も、現在後期のみで実施している普通科などの試験を一部前期でも実施し、前期の比率を高める。

大阪府内では府立学校の定員割れが深刻化しているが、府教委は府の私立高校授業料無償化に加え、私立の入試が例年2月10日で府立よりも早く実施されるため「進路を早く決めたい受験生の心理が働き、府立から私立に流れた」と分析し試験日程の前倒しを検討していた。有識者などからは「公私で同一日程にすべきだ」などの意見もあったが、府教委は「公私で日程の繰り上げ競争が起こりうる」などとして、1週間程度前倒しすることとした。一方、募集定員の比率は現在、前期が3割、後期が7割程度だが、前期を最大で5割近くまで引き上げることも決めた。

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変更点をまとめますと・・・

①入試日程の前倒し
前期は2月20日(今年は2月23日)
後期は3月11日(今年は3月16日)

②募集定員
前期が占める定員比率は現在約33%、それを40%後半に引き上げる

③普通科の募集
後期のみで実施している普通科などの試験を一部前期でも実施

となります。

①の試験日の前倒しに関しては、前期で3日・後期で5日早まっただけですので私立高校入試に影響が出ることは考えられません。また、②③の前期の定員枠増と普通科の選抜を前期でも実施する、という点についても、私立高に対するいわゆる「無償化政策」が続く限り私立専願者の割合は高止まりするものと考えられますから、さほど大きな影響にならないものと思われます。

そして、中2生が高校入試を迎える2014年度の話題です。

こちらのエントリー「近畿地区公立高 相次ぐ学区見直し」でご紹介しておりますとおり、近畿地区では学区の見直しや撤廃の動きがここ数年で活発です。大阪府は2007年から「9学区から4学区へ統合」されたばかりですが、とうとう大阪府でも「学区撤廃」となります。

学区撤廃に関しても数々の報道がありましたが、その中から産経新聞の記事の一部を以下にご紹介します。

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学区撤廃、学校運営参加、公募校長…前途多難? 教育条例成立
(2012年3月23日 産経新聞より一部抜粋)

23日に大阪府議会で成立した教育関連条例のうち、府立学校条例は、4地域に分かれている高校入試の学区を平成26年度入試から撤廃することを定めているほか、保護者に学校運営の参加を促す。学校や受験生だけでなく、保護者を取り巻く環境も大きく変わる。

今年4月に2年生になる中学生が「撤廃元年」の入試に臨むことになる。府教委内には「撤廃までの期間が短く、進路指導が混乱するのではないか」との懸念も残るほか、都市部の人気校に生徒が集中するという指摘もある。

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2014年度からの変更点としては、上にご紹介していない内容も含めて以下の2点が挙げられます。

①14年度の府立高校の学区撤廃
②3年連続定員割れの府立高校の再編・整備

学区撤廃となることで通学区域の制限を受けなくなることから、学校選びの幅が広がります。ただ、おそらく大多数の受験生は今まで通り「近場で通いやすい学校」を選ぶでしょう。よって、現在の4つそれぞれの学区内から受験先の高校を選ぶものと思われます。恩恵を受けるのは「学区と学区の境目付近に住んでいる受験生」程度なのではないでしょうか?

こうしてまとめてみますと、公立高校に人気の追い風が吹くような変更はあまりなさそうです。ただ、こうした制度変更で受験生・その保護者はやはり戸惑いますので、その点においてはしばらく落ち着かない公立高校入試になることと思います。