東京都立高 自校作成問題をグループ共同作成へ

2013年4月22日

東京都教育委員会から2014年度入試における変更が発表されましたが、その中に、15校の都立高(全日制)が自校で作成していた入学者選抜の学力検査問題が、2014年度入学者選抜から15校を3つのグループに分け、グループで共同作成することになることが発表になっています。

今回のエントリーでは、新しい作成方法のご紹介と、今回のこの変更が引き起こすであろう事象について考えてみたいと思います。

まずは、今回の変更の概要です。

「3つのグループ」ですが、進学指導重点校のグループ・進学重視型単位制高校のグループ・中高一貫教育校のグループのに分かれることになっています。具体的には、3つのグループそれぞれに属する高校は次の通りとなります。

・進学指導重点校(7校)
日比谷高、戸山高、青山高、西高、八王子東高、立川高、国立高
・進学重視型単位制高校(3校)
新宿高、墨田川高、国分寺高
・併設型高校(中高一貫教育校)(5校)
白鴎高、両国高、富士高、大泉高、武蔵高

それぞれのグループでは国語・数学・英語の問題を作成し、理科と社会は東京都の共通問題を使用することになります。ただし、一部の問題を学校独自の問題に差し替えることが可能など、弾力化を認めています。

今回のこのグループ化によって「期待される効果」として、東京都は次の4点を挙げています。

(1)各校で選ばれた問題作成に関して高い能力をもつ教員が集まって共同作成することにより、学力検査問題の質の向上が期待できる。
(2)各校における結果分析に関するノウハウを持ち寄り、分析の手法を改善することで結果分析の精度が向上し、入学時の生徒の学力を一層的確に把握することが期待できる。
(3)作問及び教科指導に関する優れた実践等の情報の共有化を通して教員の教科専門力の向上を図るとともに、その情報を所属校に還元することにより、国語、数学、英語の教科指導の充実が期待できる。
(4)グループ共通の問題にすることにより、中学生が各グループ内の高校を選択しやすくなる。

今までは自校で問題を作成している学校を受験する際、学校ごとに対策を立てなくてはいけませんでした。学校ごとに入試問題が異なることが生む面倒な点でしたが、確かに(4)にあるとおり、グループ化することによって、もし志望校を同じグループ内で迷っている受験生ならば、これまでのように個々の学校の対策を進める必要はなくなるので、対策がムダになったり、学校選びの遅れから対策開始も遅くなる、といったことが避けられます。

同じグループの学校であれば基本的に入試問題が同じになる、というメリットはかなり大きいと思われます。

反対に、これまでの出題傾向とは異なった問題になることが予想されるため、問題の難易度や出題形式・傾向の予想が立てにくく、ひいては対策をどのように進めれば良いのか?が手探りの状態になることと思われます。

受験生にとっては便利?ありがたい?面もある一方で、難易度や出題傾向の予想が立てにくくなるというありがたくない?面もある、都立高の自校作成問題についての大きな変更についてご紹介しました。