高止まり! 2014年度大阪府公立高後期 進路希望調査結果

2014年3月4日

去る3月3日(月)の新聞各紙で、大阪府公立高後期選抜に向けた「第3回進路希望調査結果」が掲載されました。

今回のエントリーではこの調査結果と今後の展望についてご紹介したいと思います。

さて、今回の調査結果によりますと、後期選抜を実施する全日制公立高校107校の平均倍率は1.23倍となっています。昨年の調査時点平均倍率1.25倍という倍率から0.02ポイントダウンに留まっており、昨年記録した「ここ数年の中では最も高い倍率」の水準を今年も維持しています。

ここ数年の進路希望調査時点の平均倍率は次のように推移しています。

2014年度 1.23倍
2013年度 1.25倍
2012年度 1.17倍
2011年度 1.05倍
2010年度 1.15倍
2009年度 1.23倍

昨年に前年から大きく倍率が上昇した理由としては、「今年から普通科でも開始となった前期選抜に定員の一部を割いたので、後期での定員が昨年から減ったため」というものが有力でした。その状況が今年も続くことが確実視されたことに加え、今年は中3卒業生数が昨年より約2,000名多いということもあり、40校で各40名の募集定員増加が図られています。

そういった措置がとられ、昨年より微減となる1.23倍に至っています。

また、希望者数が募集定員に満たなかった、いわゆる「定員割れ」の全日制普通科は24校となり、昨年の17校から増えています。近年で最も少ない定員割れ校数となった昨年とは一転し、3年前水準にまで戻りました。

以下、定員割れ校数の変遷です。

2014年度 24校
2013年度 17校
2012年度 26校
2011年度 49校
2010年度 21校

こちらのエントリー「揺れる高校入試 ~諸制度が続々と変更・変更予定に~ ①」でご紹介をしましたとおり、今年は「学区撤廃」の初年度を迎えています。大阪府に住んでいるのであれば、地域に関係なく受けたい学校を受けることが出来る、ということになります。「旧来の学区を超えて他の学区の学校を受験する方がどれぐらいいるのか」という点も非常に気になる所です。

今回新聞各紙で報道されたところによりますと、従来の学区を超えた進学を希望する生徒は1,560名、率にして「5.2%」となっています。特に旧第2・第3学区の中で比較的交通の便が良い学校には他学区からも受験生が集まっている様子ではあるものの、全体的には「学区間の移動」は少ないという印象です。

ここからは旧学区ごとに主要な高校の調査結果をご紹介してまいります。2009~2013年度の調査時点倍率・最終倍率も合わせてご紹介していきます。

まずは旧第1学区の主要校の様子です(画像をクリックすると拡大します)。

北野高は1.45倍となり、昨年の最終倍率1.68倍から大きく下げています。昨年に比べ「手ごろ感」がある倍率になっていますので、この後迎える出願においては他校から「鞍替え」する生徒が若干出てきて、結果的には少し倍率が上がると予想します。茨木高の2.17倍は今回の調査において大阪府下全校で最も高い倍率となっています。それゆえに、この高倍率を嫌って今後他校へ受験者が流れることが予想されます。茨木高から流れる先として最も有力視されるのが、春日丘高です。昨年の最終倍率は1.93倍でかなり厳しい戦いになりましたが、現時点では1.45倍と随分落ち着いています。茨木高からの流入が充分考えられますので、要注意でしょう。その他、三島高・北千里高・桜塚高といった中堅どころで昨年倍率から上昇となっています。特に三島高は定員が40名減らされていることもあり、昨年よりも倍率が高く出やすくなりますから、ご注意ください。

続いては旧第2学区の主要校の様子です(画像をクリックすると拡大します)。

大手前高が昨年最終倍率から下げて1.43倍となっており、最終的には昨年の1.66倍というような高倍率にはならず、1.5倍程度に収まるのではないでしょうか。一方、四條畷高が昨年最終倍率1.58倍から現時点で2.07倍と大きく倍率を上げており、非常に気になります。ただ、過去にも2012年度や2011年度で「希望調査時点は2倍越え ⇒ 最終倍率は2倍を切る」ということが起こっており、恐らくは今年も最終的には2倍を下回るものと思われます。しかしながら、昨年の1.58倍という水準まで下がることは考えにくく、昨年よりもハイレベルな争いになることは確実でしょう。その他の学校を見ますと、昨年の最終倍率が高かった寝屋川高・東高・大阪市立高といった所が倍率を下げ、反対に最終倍率が比較的手ごろだった牧野高・旭高・港高といった所が大きく倍率を上げています。その結果、倍率が高く出ている所とそうでない所の「差」が大きく出ています。無理な戦いをせず、倍率が低めになりそうな所を狙って出願するのも、一つの作戦かと思います。

旧第3学区の主要校の様子はどうでしょうか(画像をクリックすると拡大します)。

天王寺高がかつてない高倍率である1.69倍をつけています。また、生野高も同様にかつてない高倍率となる1.86倍となっています。一方で、高津高は進学指導特色校の指定を受けた初年度の入試となる3年前の入試以降では最も低い倍率となる1.52倍となっており、手ごろ感が出ています。高津高の今年の文理学科の倍率ですが、例年は高倍率だったにもかかわらず昨年最終倍率から0.75ポイントも下げた2.58倍となり、なんと文理学科10校で最も低い倍率となる「大番狂わせ」が起きました。文理学科入試が終わって「高津高が例年よりも比較的楽な入試だった」ことが分かった今でも、普通科の入試に向けて倍率の低下に歯止めがかかりません。現時点で高倍率となっている天王寺高・生野高から若干は高津高に受験生が流れることは考えられるものの、文理学科入試の時の流れを見ている限りでは、大きな倍率上昇となることは見込めそうにありません。よって、高津高は「狙い目」になると考えます。中堅校では、八尾高・清水谷高・夕陽丘高・東住吉高がそろって昨年最終倍率からアップしており、厳しい入試になりそうな予感がします。

最後に旧第4学区の主要校の様子です(画像をクリックすると拡大します)。

三国丘高が昨年最終倍率(1.37倍)とほど同等の1.39倍と落ちついた動向である一方で、岸和田高と泉陽高が昨年最終倍率から大きく上げた値になっているのが気になります。もしも、三国丘高から「安全志向」で岸和田高や泉陽高に鞍替えしている受験生が多いのであれば、両校のボーダーラインは高くなることでしょう。登美丘高・久米田高も高い倍率となっていますが、両校に共通する点として「例年、希望調査時点の倍率よりも最終倍率の方が低くなっている」ということがあります。希望調査時点の高倍率に驚き、急いで出願先を変える受験生が多数出て、結局は大したことない倍率に収まる、というのが毎年の流れのようです。ひょっとすると慌てて動くと「損」をする可能性がありますから、ご注意ください。

今後ですが、出願期間は3月5~6日、新聞等における中間集計の発表は3月6日、最終集計の発表は7日に予定されています。こちらのブログでも最終倍率をご紹介する予定にしています。お見逃しなく!