大阪府公立高校 後期選抜 最終倍率②

2010年3月15日

「大阪府公立高校 後期選抜 最終倍率①」に続くエントリーです。①では、昨年・今年の進路希望調査段階の倍率も交えながら今年の最終倍率についてご紹介しています。こちらも合わせてお読みください。

今回は、主要校の最終倍率を今年のものを含めて5年分ご紹介し、そこから見えてくるものについてご説明しようと思います。

まずは、大阪府後期選抜(全日制普通科)全体の最終倍率の推移(これに関しては9年分)をご覧ください。

全体倍率

ご覧いただければすぐお分かりいただけますように、今年の最終倍率は昨年のそれから大きくダウンしており、2006年以前の水準になっています。このグラフを、2007年に実施された「学区再編」で一旦区切り、その前後の様子を比較してみましょう。

全体倍率(学区再編前後)

左側の青いグラフが学区再編前(9学区制)時代、右側の赤いグラフが学区再編後(4学区制)の推移となります。

2007年に9つあった学区が4つになったことで、より受験生にマッチした受験校が選べる、ということで公立高人気が高まって全体倍率が急激に上昇しました。以降、公立高は2009年度入試まで3年連続で高倍率を更新し続けています。

特に昨年は「100年に一度」と言われている深刻な経済不況が世間を覆ったタイミングと同じくして、大阪では橋下知事による「私学助成金カット」を発端とする私立高での授業料値上げが大きく影響し、定時制高にも合格できないという受験生が出てくるなど、非常に公立高が人気となりました。

今年の全体の最終倍率は1.14倍、となっており、学区再編後最も低いものとなっています。原因としては

①公立高の無償化だけでなく、私立高でも低所得者への無償化政策が実施されるため
②入学定員が約3000人増えた

の2つが挙げられます。

では、ここからは学区ごとの全体倍率・主要校の5年分の倍率などをご紹介致します(画像をクリックすると拡大します)。

第1学区 詳細

第1学区です。大阪府全体の倍率が1.14倍であるのに対し、今年の第1学区は1.16倍。例年大阪府全体の倍率とほぼ同等~若干下を記録してきていましたが、今年に限っては大阪府全体の倍率を上回りました。

その大きな原因となっているのが、茨木(1.48倍 府内第1位)・春日丘(1.44倍 府内第2位)・豊中(1.33倍)の3校の倍率の高さです。茨木はここ5年で最も高い倍率、春日丘は過去に1.58倍や1.54倍という目を疑うような倍率になった年があり、その頃に比べるとまだマシではありますが、高倍率の「常連」として今年も受験生を大いに悩ませています。

昨年までの4年間1.3倍を超え続けていた刀根山ですが、さすがに今年は受験生が敬遠をした動きを見せており、1.2倍台にまで下がりました。しかしそれでも大阪府全体の倍率と比べても高いものとなっています。

第2学区 詳細

第2学区です。

一昨年までは第2学区全体の倍率が大阪府全体のそれに比べて下回っていましたが、昨年で同率、今年とうとう超えました。公立高に対する期待が年を経るごとにじわじわ上昇してきている、そんな様子が感じられます。

この学区の一番のトピックスは、学区再編後毎年1.3倍後半~1.4倍半ばという高倍率を保ってきていた大手前が大きく倍率をダウンさせた、という点です。「大阪府公立高校 前期 最終出願状況」でご紹介しましたが、大手前の理数科は昨年の最終倍率から0.06倍アップの4.06倍いう高倍率、かつ、ここ数年連続して倍率を上昇させてきています。今年については普通科が理数科と同じように高倍率の維持とならなかった点が意外です。

旧第4学区の2校、四條畷と寝屋川は例年の高倍率を維持していることがわかります。

四條畷は倍率の上がり・下がりのデコボコが激しく、いわゆる「隔年現象」の典型的な例となっています。気の毒なことに今年の受験生は「受難の年」となってしまいました。逆に言うと、来年の受験生は楽な戦いになることが大いに予想されます。

寝屋川は学区再編直後の2007年の倍率を頂点として年々緩やかに倍率を下げてきていますが、今年の1.33倍もまだまだ高倍率の部類に入ります。「倍率は高いだろうけど、どうしても受験したい」と思う受験生が多いのだろうと思われます。根強い人気です。

第3学区 詳細

第3学区です。

学区全体の倍率は大阪府全体のそれと同等~下を常にキープしていますが、今年に限っては大阪府全体の倍率よりも大きく下回っています。第1学区・第2学区のように1.4倍を超える学校が無いどころか、第3学区では1.3倍すら超える学校が存在しません。そして、狭山・長野・大塚・柏原東の4校が定員割れ、阪南も1倍ちょうど、ということで他の学区に比べて募集状況が寂しくなっています。これらがこの学区の全体倍率を下げる原因となっています。

天王寺はかろうじて1.2倍、となりました。学区再編直後は1.4倍を超え、その後は1.3倍程度をキープしていましたが、ここへきて大きな倍率下落となっています。考えられるのは、

①安全策として高津や生野に変更した受験生が多い
②天王寺の併願先として受験されている私立高に受験生が流れた

の2つです。特に②については「私立無償化」が大きく報道されており、「公立も私立も両方無料になるのなら、私立の面倒見の良さをとる」という受験生が多く出てきている可能性が十分考えられます。

同じく、中堅どころで学区再編後は大変な人気となっていた夕陽丘・清水谷が、学区再編後最も低い倍率となっています。

第4学区 詳細

最後に第4学区です。

この学区の全体倍率は、例年大阪府全体の倍率と同等~それ以上を保っていますが、今年も例年通り大阪府全体倍率と同等をキープしました。ここ数年を通して見てみると、この地域は公立高人気が高い地域であることがわかります。

三国丘が大きく倍率を上げています。昨年はトップ校にしては低すぎるといっていい倍率でしたので、手ごろ感が出たのでしょう。泉陽が学区再編後最も低い倍率を記録していることから見ると、おそらく泉陽の受験予定者を奪うことに成功したのではないのでしょうか。

岸和田は若干倍率を下げていますが、この程度では下がったうちには入らないと思ったほうがいいでしょう。

佐野が大きく倍率を下げ、反対に久米田と和泉が大きく倍率を上げています。特に久米田は府内第3位の倍率です。和泉・久米田ともに表をご覧いただいてお分かりのとおり、学区再編後は2年続いて1.3倍以上という高倍率でしたが、昨年は共に大きく倍率を下げる「小休止」となっています。その状況を受験生が見て、「あの倍率なら」と殺到したと思われます。

いよいよ明日、大阪府公立高校 後期選抜を迎えます。受験生の皆さん、最後の追い込みに余念が無いと思いますが、カゼなど引いてしまってこれまでの努力をムダにしてしまわないよう、体調管理にくれぐれもご注意ください。

開成グループ 教職員一同、受験生全員の健闘を祈っています!