かつてない落ち込み! 大卒就職内定率

2011年4月11日

このほど、文部科学省及び厚生労働省共同による2011年3月大学等卒業予定者の2月1日時点での就職内定状況調査が公表されました。

下の表では、大卒の就職内定率について2000年から12年分の推移を折れ線グラフでご紹介しています。2000年代で最も就職率が高かった2008年度から4年分に関しては、国公立大・私立大それぞれの就職内定率も棒グラフで示しています(画像をクリックすると拡大します)。

就職内定率の推移(大卒)

この調査は企業側からでなく学校側から調査したデータとなっており、文部科学省から毎年11月・翌年1月・3月・5月の4回発表されます。今回は毎年3月に発表されているデータをご紹介しています。

ちなみに、こちらのエントリー「国公立大と私立大 就職率ってどれぐらい違うの?」でご紹介した数値は昨年5月に発表になった「確定値」の推移をご紹介・分析したものになっています。

大学の就職内定率は77.4%、昨年同期と比べると2.6%減っています。

「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」の調査が開始された1997年度分以降のうち、2月1日時点のデータが計測された1999年度以降において、2010年1月末の80.0%を下回り、過去最低の値を示しています。

棒グラフで示している国公立大・私立大の内訳ですが、国公立大の就職内定率は84.0%(同2.9%減)、私立大は75.4%(同2.2%減)となっています。

昨年度は国公立大と私立大の内定率の差が9.3%と大きく開いていましたが、今年度は8.6%となっています。3・4年前だと5%程度の差で済んでいたのですが、その差が縮まらない状況です。

この就職率の低さが学生たちに大きな大きな影を落としています。

大変悲しいことですが、2010年の自殺者のうち就職失敗が要因となった方が424人おり、前年比19.8%増となっていることが今年3月に警視庁から発表されています。

日本の各企業においては「新卒一括採用」のスタイルが圧倒的多数となっていますので、既卒生の就職活動は困難を極めるものになります。

新卒時点で内定がもらえなかった学生たちは、既卒での就職活動に絶望感を抱いて・・・、ということなのでしょうか。それにしても、あまりにも悲しすぎる事態です。

気をとりなおして、男女別、文系・理系別にもデータを見てみましょう。

男子:78.9%(昨年同期比1.2%減)
女子:75.7%(同4.2%減)

文系:76.8%(昨年同期比1.9%減)
理系:80.3%(同5.9ポイント減)

なお、この調査結果には「東北地方太平洋沖地震により、新卒者等の就職活動等に影響が及ぶ可能性も考えられる」との文言もありますが、この記事を書いている3月中旬時点で既に被災地にある企業では内定取り消しの動きが出て来ている、という報道があります。

それどころか、内定取り消しの連絡すら入れることが出来ないくらい被害が深刻な企業もあるようですから、今後さらに内定取り消しは増えていくことと思われます。

こんな時代の中でこれから高校・大学入試を経て社会に出ていこうとする皆さんは本当に大変だとは思いますが、社会に出る前にそれに備えて準備出来ることはあります。やはり、考えうる最も効果的な手立てとしては「出来るだけ社会的評価の高い大学に入る」ということでしょう。これから高校入試を迎える人なら少しでも大学合格実績が良い高校を目指すようにし、来る大学入試に向けて少しでも良い状況下に自分を置くようにしましょう。

当然、有名な大学には行ったからすべてが解決されるわけではありません。その中で自分が何をするか?どんなスキルを持つか?などもその後に大きく影響してくるでしょう。

ともかく、まずは自分の可能性や将来の選択肢を広げられるような環境に自分自身を持っていくこと、これを心がけて高校・大学を選ぶようにして欲しいと思います。