受験生・保護者は必見 スマホ依存は学力低下を招く?③

2014年3月11日

当シリーズでは、スマートフォン(スマホ)がもたらした多くの「功罪」のうち、教育・学習にもたらした「負」の部分にスポットをあて、特に中高生にスマホあるいはそれを介したインターネットなどと上手に付き合うことを推奨するものです。

初回のエントリーである「受験生・保護者は必見 スマホ依存は学力低下を招く?①」では、文部科学省が全国学力テスト実施時に行ったアンケート結果と成績との相関関係を分析したものをご紹介し、ネット依存の傾向が強い生徒ほど学力テストの成績が低い、という事実をお知りいただきました。

2回目となるこちらのエントリー「受験生・保護者は必見 スマホ依存は学力低下を招く?②」では、1日のスマホ利用時間が長ければ長いほどテストの平均点が低くなっている、という例をご紹介しました。

3回目となる今回は、これまでご紹介してきた「学力低下」という悪影響のうちのほんの一部に関する話から少し視野を広げ、スマホ依存が中高生にもたらす悪影響の全体像あるいは実態について迫ってみたいと思います。

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スマホ普及で中高生「ネット高依存」増える 親はどう対処すべきか
(2013年12月1日J-cast News 一部抜粋)

警視庁は2013年11月28日、中高生の携帯電話、インターネットの利用等についてのアンケート調査結果を公表した。

調査は13年7月1日から20日まで、都内の中学、高校の2・3年生4249人を対象に行い、有効回答率は97.8%だった。

スマホの保有率は、中学生で42%、高校生では74%と高い割合となった。

「手元にないと不安」「インターネットをしているとほっとする」など携帯電話への依存を示す15項目のうち、4項目以上当てはまる「高依存」状態にある生徒は31%で、そのうち82%はスマホ利用者だった。

高依存の生徒は、携帯を使うことで「寝る時間が遅くなった」(61%)、「メールをいつも気にする」(50%)、「成績が悪くなった」(32%)、「家族との会話が減った」(22%)など、生活に悪影響を受けたと回答する割合が高くなっている。

さらに、保護者との約束を破る、夜遊び、家族の金品を盗るなど問題行動の経験では、6項目全てで高依存の生徒の方が低依存の生徒より経験率が高く、ネット依存が日常生活に悪影響を及ぼしていることが浮き彫りになった。

中高生のネット依存の傾向を示す調査結果はこれまでにもあった。

厚生労働省の研究班が13年8月に発表した、12年度の中高生のインターネット利用状況に関する調査結果では、「インターネットに夢中」「インターネット離脱症状がある」「インターネット使用による生活支障がある」など8項目の質問のうち3~4項目に該当する生徒を「不適応使用」、5項目以上に該当する生徒を「病的使用」に区分したところ、不適応使用は全国で104万7000人、病的使用は51万8000人という推計が出た。

不適応使用、病的使用の生徒は、睡眠時間が短くなる傾向にある上、入眠困難など睡眠の質が悪い、午前中に調子が悪い、楽しい日常生活を送れなかった、いつもより気分が落ち込むことが多かったと回答する割合が高くなっている。

リクルート進学総研が13年6月、全国の高校生800人を対象に実施した調査では、スマートフォン所有者440人のうち、利用シーンで「起床後すぐに」「布団・ベッドに入ってから寝るまで」と回答したのはそれぞれ49.8%、53.0%だった。

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多くの情報がぎっしり詰まった記事です。

前半部分は「携帯電話への高依存状態にある生徒のうち82%はスマホ利用者」ということと、その高依存状態にある生徒は「生活に悪影響を受けたと回答する割合が高くなっている」という事実が記載されています。

後半部分には「依存」とはまた別の言葉として、「不適応使用」「病的使用」という、インパクト大のワードが出てきています。ここまでくると、前半部分で記載があるような悪影響の例とは比較にならないような、健康面あるいは精神面の不調という大変深刻な状況にまで陥っているようです。

「成績低下」は一つの「結果」であり、スマホ依存が引き起こす成績低下の「過程」には、上の記事で記載があるような「睡眠時間が短くなる傾向にある上、入眠困難など睡眠の質が悪い、午前中に調子が悪い、楽しい日常生活を送れなかった、いつもより気分が落ち込む」といった日常生活・健康・精神の面で問題が起こっている、ということに目を向けなければならない、ということがこの記事からわかります。

これまでの「~①」「~②」のエントリーでは「スマホ依存が成績低下を引き起こす」という新聞記事をご紹介しましたが、「問題」はそれらの記事では触れられていないもっと深刻で根深い所にある、ということを改めて知る必要がありそうです。

次回のエントリーでは、このシリーズを簡単にまとめたいと思います。