2010年度中学入試 結果分析①

2010年4月20日

今回のエントリーから数回に分けて2010年度中学入試の結果分析を、主なトピックスに分けてご紹介していきます。不定期の連載になると思いますが、お付き合いいただければ幸いです。

個々の中学の状況を検証する前に、今年の中学入試の全体像を知っておく必要があります。まずは、近畿地区の統一解禁日の総受験者数を基にして、昨年との比較・特筆すべき点などについて整理してみましょう。

次のグラフは、統一解禁日に入試を行った私立中学の受験者数を府県ごとに足し、それを昨年・今年で比較してみたものです。ちなみに、昨年の統一解禁日は2009年1月17日(土)、今年のそれは2010年1月16日(土)でした。

統一解禁日受験者数 比較

黄色い棒グラフが昨年、赤い棒グラフが今年の受験者数なのですが、奈良県が昨年より40名増えてはいるものの、ご覧のとおり大阪府・兵庫県・京都府の3府県で受験者数が減少しています。特に大阪府の減りが激しいのが特徴的ですが、不況による受験の手控え、他府県への受験生の流出が原因と考えられます。

さて、受験者数が昨年よりも減っていること自体が大きな特徴ではありますが、更に驚くべき事実があります。次のグラフをご覧ください。

統一解禁日受験者数・定員 比較

赤い棒グラフは今年の受験者数、青い棒グラフは今年の統一解禁日の府県別総募集定員です。黄色い字で倍率が記載されていますが、兵庫県では1.22倍となってはいるものの、驚いたことに他の3府県では総募集定員よりも総受験者数の方が少ない、つまり「定員割れ状態」となっていたのです。

いわゆる難関校・上位校と言われているような中学については「定員割れ」になることはないのですが、例えば灘中は約70名、洛星中(前期)も約30名、それぞれ昨年から受験者数を減らしています。これら最上位の中学でさえこの状態ですから、いわゆる中堅~下位校についてはもっと受験者数が減っており、「定員割れ状態」に陥ってしまった学校が例年以上に多くなっています。

このように、非常に大雑把な言い方にはなりますが、統一解禁日の受験者数ベースで検証してみる限り、2010年度の中学入試は全般として「例年以上に競争が緩かった」と結論づけることが出来ると思います。

そんな中、2010年度中学入試においてはいくつかの「注目トピックス」がありました。次回以降のエントリーでは、それら「注目トピックス」を一つずつ検証していこうと思います。