2月時点就職内定率 文系<理系 男子<女子

2013年4月3日

文部科学省および厚生労働省はこの程、大学・短大等の就職内定状況を発表しました。今回のエントリーは、2月時点の大学卒業者の就職内定率データと状況をご紹介いたします。

下のグラフをご覧ください(画像をクリックすると拡大します)。

今回発表されたのは2013年3月卒業予定で就職を希望している大学生の就職内定率です。

2013年2月1日現在で81.7%、昨年同期比1.2ポイント増となり、「就職氷河期」と言われた2000年の81.6%すら下回る年度がここ最近続いていたのですが、ようやくその水準にまで回復してきました。2年連続のポイントアップというのも好材料です。企業が新規採用に積極的になってきたことを示しているのではないでしょうか。

厚労省の推計値によると、大学の2013年3月新卒予定者数は55万5千人。この内、今回のこの調査時点での大学就職希望者数は41万7千人となっています。

この大学就職希望者数というのが調査を重ねる度に減ってきているのですが、その減り幅が昨年度よりも緩やかになっています。以下、今年度数度に渡って調査された際の大学就職希望者数です。参考までに、昨年度の値と比較しながら見てみましょう。

10月1日調査時点 42万5千人(昨年同期 42万5千人)
12月1日調査時点 42万3千人(昨年同期 41万6千人)
2月1日調査時点 41万7千人(昨年同期 40万6千人)
10月から2月の差 8千人(昨年同期 1万9千人)

10月から2月の間に実に約2万人も減っていた昨年度に比べ、今年度は8千人の減少に留まっています。昨年度は新卒予定者の中で就職を諦めたり、大学院や専門学校などへ進学するなどの進路変更をした、という方が多く出ていた反面、今年度は就職にまっすぐ向かった学生が多く出ていることが推測されます。

今回はグラフでのご紹介はしていませんが、文系・理系別の就職内定率も明らかになっています。

文系80.4%(昨年同期+1.0ポイント)
理系87.5%(昨年同期+1.9ポイント)

ということで、これまでも理系が有利だった所に加え、更にまた差が広がる形で文系を突き放しています。「理系強し」の傾向はまだまだ続きそうです。

また、今回特筆すべき点としては、男女の就職内定率に大きな変化が出ている所にあります。以下の数値は、男子・女子に分けて集計した就職内定率状況です。

男子全体81.3%(昨年同期+0.6ポイント)
女子全体82.0%(昨年同期+1.7ポイント)

男子の伸び幅よりも女子の伸び幅が上回り、現時点で男子よりも女子の就職内定率が高く出ています。この傾向は国公立大・私立大に分けて見たときも全く同様に出ています。

国公立大 男子85.8% 女子87.1%
私立大 男子80.0% 女子80.3%

読売新聞の報道によりますと、この時期の調査では調査開始以来初めて女子が男子を上回った、とのことです。

今回の統計の対象となっている学年は、2009年4月に大学に入学した方が中心となっています。その方たちが大学入学直前となる2008年9月15日には、アメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻し、これが世界的金融危機・世界同時不況の大きな引き金となったことは記憶に新しいところです。

その後長きに渡って続く不況の「足音」が聞こえ始めていた頃に学部選びをした、ということになりますが、景気悪化が本格化したのが秋以降だったこともあって、受験生の志望はある程度固まっていたこともあり、最終的な志願動向に大きな変化は生じなかったのがこの学年の特徴ですが、その後の学年に関しては実学・資格系学部の人気が高くなっています。次年度以降の就職内定率にも注目です。

さて、この年の入学者の間では、入試段階では特に理学系・農学系が人気でした。そのこともあって、これらの系統を中心にして理系は全般的に人気、優秀な学生が多数入学していたことが予想されます。

加えて、この理系人気を後押ししているのが女子の存在だったと考えられます。今でこそ理系女子を指す「リケジョ」なる言葉がそこそこ浸透してきていますが、4~5年前は理系を目指す女子がまだまだ今よりも少なかったと思います。そんな中で理系学部に進んだ女子学生が、今春に就職において良い結果を出しているのではないでしょうか。

4月時点の就職内定状況についてもこちらで追ってご紹介する予定です。