2013年3月卒就職率 分析③ ~企業が求める人材~

2013年10月2日

こちらのエントリー「2013年3月卒就職率 分析① ~文系<理系 男子<女子~」とこちらのエントリー「2013年3月卒就職率 分析② ~就職率が高い学部・系統~」で、今春大学を卒業された方々の就職率を中心に考察をしてきました。

2つのエントリーに続いては、企業の側に立って「就職」を考えてみたいと思います。

企業はどのような学生を求めているのか?という疑問に対する答えを示していそうなものとして、独立行政法人 労働政策研究・研修機構が2011年6月に発表した「入職初期のキャリア形成と世代間コミュニケーションに関する調査」という資料の中から、「企業が重視してきた人材とこれから重視する人材」についてのアンケート調査結果をご紹介します(画像をクリックすると拡大します)。

青い棒グラフで示している「これまで育成、確保することを重視してきた人材」としてトップに挙げられているのが「職場でチームワークを尊重することのできる人材(76.2%)」ですが、赤い棒グラフが示す「今後、育成、確保することを重視する人材」においては4番手(58.3%)にまで後退しています。

反対に「今後、育成、確保することを重視する人材」として1位に浮上しているのが「指示されたことだけでなく自ら考え行動することのできる人材(78.0%)」です。また、それに次ぐ支持を得ているのが「リーダーシップを持ち、担当部署等を引っ張っていける人材(68.2%)」となっています。

企業が求めている人材は、「協調型」から「自主行動型」に移りつつあることが見て取れます。

一方で、関西大学のキャリアセンターでは、現代の学生の気質を以下のようにおまとめになられています。

気になる現代の学生気質
・働く意義、労働観が希薄
・人懐っこいわりには「コミュニケーション能力」が低い
・異年齢者との対応が苦手
・団体・組織で行動するのが苦手
・社会人としての基本的行動規範が具備されていない
・挫折に対する耐性が弱い
など
(出典:関西大学 教員対象説明会 資料)

企業は「自主行動型」の人材を求めているのですが、それ以前に現代の学生は「社会人としての基本的行動規範が具備されていない」という状態であり、現代の若者の気質と企業が求める「自主行動型」とは対照的なようです。

社会に出て自主的・自立(自律)的に仕事に取り組むような人間に育てるには、大学に通う年数だけでは足りないものと思います。まして、昨今では3回生の後半からという、非常に早くから就職活動に入る必要があるため、大学には実質2年半しか猶予が無いことになります。

ですから、社会人としての基礎を育み、出来ることならば、企業が必要としている「自主行動型」の人間となるよう高校時代から素養を養う必要がある気がします。