国公立大 2次出願に向けて ~2015年度 系統別人気動向~

2015年1月27日

いよいよ本日1月26日(月)から国公立大の出願が始まっています。自己採点結果も返却され、受験生の皆さんは国公立大2次の出願についていろいろと考えを巡らせていることと思います。自分が志望している系統、大学・学部の人気傾向については非常に気になることと思います。

こちらのエントリー「2015年度センター試験 予想平均点と難易度変化」では、去る1月17日(土)・18日(日)に実施された大学入試センター試験の科目別予想平均点についてご紹介しました。

今回のエントリーでは、今回のセンター試験結果を受けての国公立大の各系統別人気動向をご紹介します。なお、今回ご紹介するのは河合塾及び駿台の集計結果に基づく資料となります。

まずは、大きなくくりでの人気傾向をご紹介します(クリックすると拡大します)。

前年の人気動向はグリーン、今年の人気動向は赤、それぞれの色で示しています。2年分並べておくと、人気のある・ないの流れがよくわかると思います。

今回のこの数値は、前期日程のみを集計の対象としています。前期日程全体では「100」という指数になっています。よって、人気指数が100より上の系統が「高人気」で、指数が100以下だと「人気薄」の系統であることになります。

文系では、国際系の人気が高まっていることから「社会・国際」が前年比108%と大きく増加しています。

長らく不人気でした「法・政治」「経済・経営・商」学系の出願予定者は、それぞれ前年比103%、100%と人気回復の兆しが見えます。特に、必要科目数が少ない公立大で出願予定者の大幅増加が見られ、人気となっているようなので注意が必要です。

教員養成系学部では、総合科学課程の人気が大きく減少しています。各地で総合科学課程の廃止・縮小と教員養成課程の入学定員増加が続いていることが原因のようです。

理系はどうでしょうか。

「理」で出願予定者が減少している一方、「工」が増加しています。特に機械、建築・土木分野の人気が上昇しています。「農」の出願予定者は前年並みのようですが、難関の獣医分野で減少が目立っています。

医療系では「医」学科が前年比99%となっており、模試段階では人気だったもの、理系の平均点ダウンの影響からか前年並みに落ち着いている状況です。

「薬」学系は模試段階から不人気でしたが、平均点ダウンの影響からかセンター・リサーチではさらに不人気が鮮明となっています。

「看護」の出願予定者は前年比102%と増加していますが、センター試験で負担の軽い理科①で受験できる大学での増加が目立っていますので、該当する大学を狙っている受験生は人気の上昇にご注意ください。

では、もう少しくくりを細かくして検証してまいりましょう。次の表は駿台が発表された、学部・学科・系統別の人気動向に関する詳細なデータです(それぞれの画像をクリックすると拡大します)。



※前期・中期・後期・独自各日程の第一志望を集計

赤く塗っている所は「昨年よりも人気が上がっている」所、青く塗っている所は「昨年よりも人気が下がっている」所であることを示しています。

先にご紹介した河合塾のデータは「前期日程のみの集計」である一方、この駿台のデータは「前期・中期・後期・独自各日程の第一志望を集計」とありますので、指数に若干の差が生じています。

文系学部・学科・系統に関しては比較的赤い色(=前年よりも人気が高くなっている)が増えていますが、理系は反対に青い色(=前年よりも人気が低くなっている)の所が多く見られます。

文系ではやはり国際系や外国語系の人気が高く、特に外国語系では「英米語」「フランス語」「スペイン語」といったメジャーな言語での人気高騰が目を引きます。こういったメジャーな言語は大体「必要とされるレベルが高い」のが相場ですが、それでも人気を集めているということは、先にご紹介したとおり、センター試験できっちりと点数が取れた受験生が「強気」で出願先を考えている、ということが伺えます。

反対に、理系では理学系が避けられ、工学系で前年度以上の人気を集めている所が増えています。難度の上では「理学>工学」というのが一般的なので、文系の受験生とは正反対に、センター試験で思うように点が取れなかった受験生たちが「弱気」となり、志望先を変更してきているようです。

また、大学受験生たちの志望学部・学科・系統選びには、直近1年程で起こった「出来事」が大きく影響を与えます。

今年度ですと、「エボラ出血熱」がアフリカ大陸で突発的に発生・流行したことが大きく取り上げられましたが、その影響でしょうか、語学系の「アフリカ圏」が昨年対比58と、約半分にまで志願者を落としています。

また、「STAP細胞」の一件も長期間に渡り大きく報じられましたが、それが理学系「化学」の志願者減(前年比88%、理学系の中では最も減少率が高い)に結びついているのではないでしょうか。

もう少しポジティブな方向で話をしましょう。工学系「建築・土木・環境工学」が前年比106%と人気を集めています。ご存じの通り、2020年には東京でオリンピックが開催されることになっています。それに向けて、特に東京では建築ラッシュとなっているようです。今年大学に入学する学年の皆さんが卒業するころには、「東京オリンピック開催直前」ということで、建築業界は更に活気づいているのではないでしょうか。今回の「建築・土木・環境工学人気」を見ていると、それを見越した学部選びをされている受験生が多いような気がします。

ここから先の注意事項です。センターリサーチ結果をしっかりと分析して出願先の大学・学部を決める必要性が非常に高いです。各予備校がリサーチ結果の「度数分布」を公表していますから、そちらをじっくりと見て「2次で合格できる範囲」なのかどうかを見極めて欲しいと思います。

今回ご紹介したデータを出願の際の参考にしてもらえたら、と思います。

今後のエントリーで、同じセンターリサーチの結果を基にして関関同立の学部別人気動向(センター利用型)をご紹介する予定です。

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