アクティブラーニング 新しい時代を創る若者に「真の学力」を!

2015年10月27日

文部科学省の高大接続システム改革会議では、昨年12月の中央教育審議会答申「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」、2015年1月の高大接続改革実行プランに基づき、高大接続改革の在り方について検討を進めており、今年9月にはその議論の方向性を「中間まとめ」として取りまとめ、公表されました。

提言の中心となっている「高大接続システム改革の実現のための具体的方策」ですが、「高校教育改革」「大学教育改革」「大学入学者選抜改革」の3本柱で構成されており、それぞれは下の図でご紹介しているような内容が盛り込まれています。

ご覧いただきますと、「高校教育改革」「大学教育改革」の両方に登場している「アクティブラーニング(※)」という表現が目を引きます。

細かい定義などについては注釈をご参照頂くとして、一言で言い表すならば「一方的な講義形式の授業ではなく、調べもの・他者との対話といった「受け身ではなく、自分から動いて学ぶ」ことが必要とされる学習法です。

次にご紹介している図は「学習定着率」に関する有名なもので、下に下がれば下がるほど理解が深まり、定着率が高くなっていくことを示します。

この資料によりますと、中学高校・大学において一般的に行われている「講義」形式の授業を聞いているだけだと、何と5%しか定着しないことが示されています。

従来の学びだと、デモンストレーションまでで30%の定着率となっておりますが、中央教育審議会の提言にもありますとおり、これからの時代にはそれより下の「討論」「体験」「他の人に教える」といった能動的な学習を通した、更なる深い理解が求められるようになってきます。

今後見越されるこのような動きを受けて、大学ではアクティブラーニングの導入が積極的に進められています。次のグラフでご紹介をしていますとおり、文部科学省「平成26年度『学術情報基盤実態調査』について(概要)」によりますと、アクティブラーニングスペース(複数の学生が集まり、様々な情報資源を活用しつつ議論を進めていく学習スタイルを可能にするスペース)は、2014年度は338大学に設置されており、3年間で約2.5倍に増加しているとの調査結果が掲載されています(下の画像をクリックすると拡大します)。

毎日のように報道がなされている「2020年からの新大学入試制度」。新大学入試とは何なのか、まさに手探りの中ではありつつも、日本の未来を担う若者に「真の学力」をつけさせるべく大学が教学面で手を打ち始めている様子をお伝えしました。

※アクティブラーニング
教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブラーニングの方法である。
(文部科学省中央教育審議会 「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて ~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~(2012年8月28日)」内、用語集より)