私立大学 「定員厳格化」を検証する(1)

2021年6月30日

2021年度入試に関する総括や報告が各大学行われていますが、コロナ禍の影響による超安全志向で、2月からの一般入試での出願数が少なく、入学手続きの状況も読めないという事で、追加合格を出した大学も増えたようです。一昔前ならある程度定員を超えることも覚悟のうえで、合格発表をしていたのですが、文部科学省による定員厳格化が2016年から段階的に厳しい基準で行われています。地方の活性化も期待しての施策だったと思うのですが、そもそも私立大学の定員厳格化について、その効果は検証されているのでしょうか。

文部科学省のホームページ

https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senbatsu/1346791.htm

に「国公立大学入学者選抜の志願状況等」という統計資料が公表されていますので、これを元に分析してみました。

まず、定員厳格化が始まる前と、始まった2016年、基準がさらに厳しくなって、私立大学の合格者数抑制の影響が大きかった2018年に着目してみます。まずは全国82の国立大学の前期試験定員と志願者の合計をグラフにしてみました。グラフの左の目盛りが定員、右の目盛りが志願者数です。

ご覧のように、受験人口の減少に合わせて定員は減っていますが、全体的に志願者も減っています。2018年度から2019年度には踊り場がありますが、センター試験最終年度の2020年度入試、コロナ禍の影響を受けた2021年度入試では急角度で国立志願者が減ったことがわかります。

近畿圏と受験生の移動の多い中四国地方の国立の状況に着目してみました。(鳥取大学、島根大学、岡山大学、広島大学、山口大学、徳島大学、鳴門教育大学、香川大学、愛媛大学、高知大学の10大学合計)すると2016年には志願者数が増加していますので、多少は定員厳格化の影響があったのかもしれませんが、2018からはさらに下がり、2020年まで下がり続けています。2021年度はコロナ禍の影響からか近畿圏の私大に関して中四国からの受験生が減ったといわれていますが、地元の国立に留まった中四国の受験生が居たのでしょうか、ひとまず少し増加に転じています。(続く)