4年制私立大 2011年度入試では4割が定員割れ①

2011年8月23日

先日、新聞各紙に「全国の私立大の4割が定員割れを起こしている」という記事が一斉に掲載されました。今回を含めて2回のエントリーに分けて、この事について詳しく見ていきたいと思います。

まず、新聞各紙の中から毎日新聞に掲載された記事を以下に引用し、全体的な状況を掴みたいと思います。

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4年制私立大:39%定員割れ 18歳人口減、厳しさ続く(2011年7月30日毎日新聞)

今春、4年制私立大で定員割れしたのは39%で前年度より1ポイント上昇したことが29日、日本私立学校振興・共済事業団の調査(速報値)で分かった。昨年とほぼ横ばいで、依然、厳しい状況が続いている。事業団は「来年度は18歳人口が1万人以上減る上、不況の影響もあり、厳しい状況は変わらないだろう」としている。

回答したのは全国のほぼ全校の572校。定員割れしたのは5校増えて223校で、定員を上回ったのは2校減り349校。定員に占める入学者の割合を示す入学定員充足率が50%未満の大学は13校から16校に増えた。

充足率は全体では106%で前年度より2ポイント減。全国を21に分けた地域ごとでは東京が112%と最高で、宮城111%、埼玉108%、愛知、京都、大阪、福岡が107%と続いた。低いのは宮城を除く東北82%、四国の88%など。

定員規模別の充足率は「100人以上200人未満」「500人以上600人未満」の大学などで100%を下回ったが、「3000人以上」は110%、「1500人以上3000人未満」は113%。学部別では医や歯、薬、家政など資格につながる分野で上昇した。志願者は1%増の延べ約321万人、入学者は1%減の約48万2000人。志願倍率は前年度と横ばいの7倍だった。

私立短大の定員割れは前年度から4ポイント増の67%で、5年連続で6割を超えた。定員充足率は90%で7年連続で100%を下回った。

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ということで、全国の私立大のうち約4割の大学で定員を充足出来なかったことを始めとして、それにまつわることも多く掲載されています。

ここからは、新聞記事内には出ていないデータも交えながら、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

まず、今年度である2011年度入試における私立大全体の志願動向は次のようになっています(画像をクリックすると拡大します)。

志願者等 増減状況

志願者・受験者数ともに昨年度より約3万人増えてはいるものの、最終的な入学者数のところで昨年から約7000人減ってしまっています。また、それに関連する数値である「歩留率(合格通知を受け取った受験生が入学手続きをする率)」が、昨年から1.7%ダウンしています。

要するに「受験はしてもらえるが、入学してくれない」という状況であることがわかります。

続いては、志願倍率と定員充足率の分布状況についてです(画像をクリックすると拡大します)。

志願倍率 定員充足率①

左側のグラフでは、「出願時点で倍率1倍台の大学が全国で176校ある」ということもそうですが、「倍率1倍未満の大学が41校ある」ということに驚きます。倍率1倍未満、というのは、要するに「出願の段階ですでに定員を割っている」ということになります。

右側のグラフは定員充足率状況がどのように分布しているか、を示したものです。定員110%、簡単に言うと「定員の1割増しの入学者を迎えた」という大学の数が170となっており、分布の中では一番多い所となっています。

しかし、充足率50%未満の所に今年は16校該当したことがわかります。定員の半分以下しか入学者がいなかった、ということですから、これに当たる大学は今かなり厳しい財政状況になっているものと思われます。

全国的な状況は上の通りとなりましたが、「地域別の状況」や「学部・系統別の状況」もつぶさに見ておく必要があります。次回のエントリーでは地域や学部・系統についての状況を詳しくご紹介いたします。

(画像内のグラフ・表はすべて日本私立学校振興・共済事業団発行の「平成23(2011)年度私立大学・短期大学等入学志願動向」から引用しています)

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