「たとえば力(りょく)」を鍛える
2010 年 2 月 10 日 水曜日国語の文章読解において、抽象的な事柄を具体化する力は、非常に大切です。読解が苦手な子どもの多くは、文章をイメージ化することが、難しいようです。頭の中に映像が浮かべることができなければ、確かに意味はとりづらいですね。
「去年のある日、父とわたしは明石海峡大橋を渡って、車で淡路島の親戚の家へ出かけた」というような文であれば、比較的、イメージしやすいと思います。父親が車を運転している場面や、橋から見える瀬戸内海の様子などが浮かぶのではないでしょうか。次の文はどうでしょうか。「自然の収奪と汚染は後世に取り返しのつかないツケを残すことになるだろう」。収奪ということばは難しいですが、漢字から「奪い取る」というような連想はしやすいでしょう。「自然を奪い取って汚す」ですから、森林を伐採している様子や工場から汚水が流れ出ている様子などが浮かぶかもしれません。また、「後世に取り返しのつかないツケ」からは、公害病や水道から出てくる汚れた水、あるいは食糧不足に陥ってる世界の様子などを浮かべる子どももいるでしょう。では、次の文章はどうでしょうか。「わたしたちは、もう一度、ギリシア時代の世界観をかみしめる必要があるのではないだろうか」。ことばの意味はそんなに難しくないのですが、ギリシア時代の文化に関する知識がなければ、意味がとりづらいのは明白です。ミロのヴィーナスやパルテノン神殿、ギリシャ神話の神々、あるいはソクラテスやプラトンといったギリシア哲学など、思い浮かべるものの数が多ければ多いほど、より正確に理解できていると言えます。
小中学生の子どもたちの中には、「抽象的なものを具体化すること」が苦手な子どもが少なくありません。「幸せなできごとって、たとえばどんなこと?」のような発問にも、答えられない子どももいます。授業中、こんなやりとりになったこともありました。
山口 「まずしい食事ってあるけど、たとえばどんな食事だと思う?」
生徒 「なんか、しょぼいごはん」
山口 「しょぼいごはんか、そうやな。で、具体的にいうとどんなごはん?」
生徒 「安っぽいねん」
山口 「たとえば?」
生徒 「まずそうなやつ」
山口 「だから、例を挙げると何?」
生徒 「うーん。わからん!」
といったように、意外と「具体化」することは難しいようです。
こういった力は、家庭の中の何気ない会話で訓練することができると思います。
1.子どもに発問する
「たとえば?」や「例を挙げてみて」なといったことばは、子どもが考えることを促します。
2.親が例を示す
子どもが答えられないときは、親が具体例を挙げていくといいでしょう。
子どもの頭の中にいろいろな映像をインプットしていきましょう。
子どもが「イメージ力」を高めるために、親は「たとえば力」を鍛えていくといいのです。


