2010 年 3 月 のアーカイブ

ゆずれない場面

2010 年 3 月 8 日 月曜日

 わたしは、ふだん本科のクラス授業の他に、「パズル道場」の授業担当もしています。
 (詳しくは、こちらを! http://www.kaisei-group.co.jp/sv2/puzzledojo )

 先日のパズル授業のときのことです。小学2年生のMくんが、「紙おり」というパズルにチャレンジしていました。このパズルは、は折り紙を何回か折って、はさみではしっこを切り取ったあと、ひろげるとどんな形になっているかを答えるという、ちょっと難しめのものなのです。

 頭の中でイメージをして、図形を描かせることが、ポイントです。ただ、練習し始めのころは、頭の中だけでは処理しきれないことが多いので、練習プリントには、書き込みをしていいことになっています。

 事件は、検定試験の採点のときに起きました。

 Mくんの答案は、間違いがあったので不合格でした。問題は、検定試験に書き込みをしていたことです。

 「ねえねえ、これえんぴつで書いて消したあとがあるけど、検定試験では、書いたらダメだよ」とわたしが言うと、Mくんは

 「ぼく、書いてない!」

 検定試験はブースに区切られた席で行います。教員も見ています。そして、あきらかにえんぴつで書いたあとも残っています。おそらく、とっさにでたことばだったのでしょう。最初から、うそをつくつもりはなかったと思います。けれども、こういうことは、あいまいにせずにはっきりさせておくのが、わたしの信条です。

  「でも、ここにえんぴつで書いたあとがあるよね」
 「うん」
  「これは、だれが書いたの?」
 「知らない・・・」
  「Mくんが書いたんじゃないの?」
 「ぼく、書いてない・・・」
  「他の誰かが書いたの?」
 「わからない・・・」

 Mくんの気持ちもわかります。一度、口からでたことばは消えません。うそをついたことを認めることは勇気がいります。

  「う~ん、じゃあ、だれが書いたんだろうねえ?」
 「・・・」

  「ええとね、このパズルができないってことは、そんなに重要なことじゃないと先生は思うよ。だって、たくさん練習したら絶対できるようになるからね。でも、うそをつくってことは、これは、はっきりダメなことだよ。この子はうそをつく子なんだって思われたらとっても損なことだよ。たとえば、一生懸命練習してできるようになったのに、まわりの人から『どうせ、ズルしたんでしょ』とか思われたらつらいよね」

 待つこと、5分。

 「先生、あのね、ぼく、まちがって線、書いちゃったんだ・・・」

 勇気をもって、正直に言えたMくんに、心の中で拍手!

 人はだれでも間違えます。でも、大切なのはそのあと、どう対処するかだと思います。

 それと、大切なことがもうひとつ。

 ここぞという場面では、ぜったいゆずらないこと。一見、ネガティブに見えるできごとの中に、よくなっていくヒントは隠れているものです。

 子どもがうそをついたときなど、親として、ショックですし、腹も立ちますし、悲しい気持ちにもなるものですよね。でも、そういうときほど、子どもに、ことの善悪を教えるチャンスなのです。

 毅然としたスタンスで子どもと接する。(ただし、感情的いならないように!) ゆずれない場面で心がけておきたいことです。

最適な環境が最適でない?

2010 年 3 月 5 日 金曜日

 カリフォルニアの研究者たちがアメーバを使って実験をしたデータがあります。

 アメーバを2つのグループに分けて、異なる環境でどのように成長するかを調べました。その結果、温度や湿度などをアメーバにとって快適となる環境とそうでない環境で育った、アメーバのグループでは、後者のほうがよく成長するということがわかりました。

 考えてみれば、子どもの成長も同じかもしれません。すべて与えられた何一つ不足のない環境で育つよりも、少々足りないものがあるほうが、いいわけです。あるいは、毎日が平和で穏やかな生活は一種の理想形ではありますが、ほどよい負荷をかけたほうが子どもの成長にとってはいい、ということでしょう。

 

自信をつけさせる方法

2010 年 3 月 3 日 水曜日

 「自信のない子どもは伸びない」 たくさんの子どもたちを見てきた感想です。

 伸びていく子どもは、「やればできる」ということを、潜在的に知っているような気がします。

 では、どうすれば、子どもに自信をつけさせることができるのでしょうか。

 「言葉」と「行動」の2つの観点から考えてみます。

 自信をつけさせるのに大切なことは、「プラスの言葉をかける」ということです。

 人は言われた通りに育っていく生き物です。「あなたはダメね」と言えば、「ダメ」に近づいていきます。「おまえは本当になまけ者だな!」と言えば、ますます「なまけ者」になっていきます。ですから、子どもによくなってほしいのであれば、プラスの言葉をかけることです。「あなたは、やるときはやる子よ」「この調子でやっていけば、絶対できるようになる!」といった言葉かけが、子どもにとっては、自信の種になっていくのです。

 もうひとつ大切なことがあります。それは、「小さな成功体験を積ませる」ということです。「言葉」による自信の入力はなくてはならないものですが、子ども自身がそれを信じることができなければ、自信はつきません。子どもが心の底から「自分はできる」と思うようになるためには、そのための「証拠」が必要なのです。そして、「行動」することが「証拠」をつくることになります。

 たとえば、「漢字テストの勉強をとことんやる」「テスト範囲の単元は、繰り返して練習する」といった「行動」を続けると、テストにおいて、必ずよい結果を得られるようになります。そうすると、子どもたちは「やればできる」という自信を持つことができるようになるわけです。

 このときに大切なことは、「目標のバーを下げる」ということ。いきなり達成の難しい目標をもつことは避けた方がいいでしょう。あくまで、「小さな成功体験」を持つことを心がけるべきです。

 「原因」があって「結果」があります。子どもが自信を持つためにその「原因」をうまくつくっていくことが、親のできることだと思います。

思いはあっても

2010 年 3 月 1 日 月曜日

 おばあさんが歩いています。重そうな荷物を持って歩いています。

 太郎くんは、そんなおばあさんをみかねて、思わず声をかけました。

  「おばあさん、どこまで行くんですか」
  「駅までですよ」
  「荷物、重そうですね。ぼくも駅まで行くので、もってあげますよ」
  「いえいえ、大丈夫ですよ。持てますよ」
  「えんりょしなくていいですよ、持ちますから・・・」

 そう言いながら、おばあさんの荷物を持とうとした太郎くんは、びっくりしました。

 (重い、重すぎる・・・この荷物!)

 おばあさんが持っているぐらいだから、とたかをくくっていたのですが、その重いことといったら・・・。

 みかねたおばあさんが

  「大丈夫です。重いけどもてますから。でも、その気持ち、うれしいですよ」

 そう言って、おばあさんはお礼を言って、重い荷物を持って駅まで歩いていきました。

 

 荷物を持とうとした太郎くんの志は立派です。ひとを思いやる心は、人類普遍の美徳だと思います。

 けれども、「思いはあっても力がともなわないと、人の役に立つことはできない」ということも、また事実です。

 勉強することは、頭を鍛えるということ。頭を鍛えるとできることの幅が広がっていきます。

 子どもたちには、「人を思いやる心」に加えて「人の役に立つ力」を身につけてほしいものです。