小学生・中学生・高校生対象の学力アップ・中学受験・高校受験・大学受験志望校合格を目指す個別指導の学習塾

自分のことを真剣に考えてくれる人に出会えるのは人生の財産

エリアマネージャー 保谷山教室 学習プランナー

桑原暢先生

趣味:ドライブからの温泉
座右の銘:白紙回答に笑いなし!
好きな音楽:now,now chvrches 向井秀徳

「言葉の幹と根は、沈黙である」

私がフリーステップの教室 学習プランナーとなってから、幸いなことに実に様々な生徒達と出会うことができています。印象に残っているエピソードを挙げればキリがありませんが、ここでは私が新しい教室に赴任し一年目に出会った生徒のことについてお話させていただきます。

ある日お父さんと一緒にやってきた中学3年生のその生徒は、自分の意見を全く口にしません。一度も声を発することなく80分の授業を終えることもあり、声を出さないどころか時には頷くこともなく終了のチャイムが鳴り響いてしまったこともありました。 私と講師はどのように彼女とコミュニケーションを取っていくか真剣に考え、真剣に話し合いました。「Yes/Noだけで答えられるような質問だけにしてみよう」「口頭で答えさせるのではなく、紙に書いてみてもらってはどうか?」「玉砕覚悟で話しかけまくってみます」日々試行錯誤でした。
特段進展のない状態が3ヶ月ほど続きました。こちらが投げかける質問に対して生徒は自分の思いを言葉にできずに黙ったまま涙が溢れてしまうことも何度かありました。どうにか円滑に意思の疎通は図れないものか思案する中、私はある言葉を思い出しました。


「言葉の幹と根は、沈黙である」

これは思想家の吉本隆明氏が残した言葉です。つまり、言葉とは正確に人の心を表すものでなく、その源泉を辿れば言葉にできない沈黙があり、その沈黙こそがその人自身を表す、といった意味です。 私は一旦その生徒から言葉を引き出そうとすることを止めてみることにしました。言うなれば沈黙に耳を傾けてみようとそう思ったのです。そして気づかされたのは、教室へ入ってくる時の様子やこちらが投げかけた言葉に対する表情の違いなど相手の心に触れるタイミングはいくらでもあるのだという当たり前のことでした。

  しばらくしてその生徒が自習室で国語の問題を解いている時にふと目が合い、どことなく何か言いたそうな表情をしていたので、なんだろうなと少し待っていると、彼女は「この文、面白くないです」とだけ言って再び問題を解き始めました。私は思わず笑ってしまいました。そして同時にとても嬉しい気持ちになりました。

その後、特に大きなきっかけがあった訳ではないですが、いつの間にか話す機会は増え、教室の講師達と楽しそうに談笑している姿をよく見るようになりました。そして、入塾当初はかなり厳しいと思っていた第一志望校にも見事合格してくれました。 粘り強く沈黙に耳を傾け真摯に向き合ってくれた講師、それに誠実に応えてくれた生徒に感謝の気持ちで一杯でした。
当然ですが、子ども達は一人一人バックグラウンドが違います。家族構成、友人関係も違えば、やる気がでる方法も何に興味を持つかもまったく違います。さらにその大部分は日々更新されていくため、そこで非常に大事なことは常に真剣に向き合いながら、何がその生徒にとって幸せなのかを真剣に考えていくことだと思っています。

少し話は変わりますが、先日実家に帰省した際、私が小学校6年生の時に書いていた日記帳を両親が見つけ、約20年振りに読むことができました。
そこには大学へ進学するため家を出て行く兄に対する気持ち、飼っていた犬が死んでしまった際に考えたこと、友達関係の悩みなどその時に感じたことがたくさん書かれていました。こんなにも色々なことに思いを巡らせていたのかと我ながら驚きました。 そして、それ以上に驚いたのが、綺麗な字体で書き込まれた担任の先生からの赤ペンのコメントでした。一つ一つの内容をよく読み、一生懸命返事を書いていただいているのがよく分かる本当に心温まる文章でした。時に厳しいご意見をもらっている箇所もあり、一気に小学生に戻って思わず身が引き締まるページもありました。
日記帳を読み返すまで忘れていたので「この先生の言葉を胸に刻み生きてきました」などという美談は語れませんが、こういう風に自分のことを真剣に考えてもらえたという実感の積み重ねが自分自身を形作ってきたんだなと思えた瞬間でした。

  「印象に残っている音楽は?」と尋ねると、小学校から高校までに聞いていた曲を思い浮かべる人が圧倒的に多いそうです。それだけ感性が豊かな時代です。そんな多感な時期に、自分のことを誰かがしっかり見てくれている、真剣に考えてもらえていると体感できることはとても貴重です。その一端を担うのが私たちの役割であり価値だと思っています。生徒がいつか自分の道を振り返った時、あの教室に通って良かったなと思えるような場所を作りたいと私は思っています。そして、教室に通ってくれる生徒全員の未来が明るい方向へ進むよう、学習プランナー・講師が真剣に考え、一人ひとりと向き合いながら取り組んでいきたいと思っています。

※本文中の赴任教室名・部署名は原稿当時のものです。現在とは異なる場合があります。

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