開成教育グループ

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塾生保護者の子育てエッセイ 子育て百景

アプリス賞

チェンジのその先へ、愛しい娘に贈る母の気持ち

おっとぼけ母様

「卵焼き食べるんや。』5月の連休を利用して、久しぶりに出かけた、家族旅行の朝食での出来事。「当たり前やん、安くて重要な蛋白源やからね。」と涼しい顔で言ってのける娘。高校生の時「卵焼き一つ入れれたら、弁当も随分楽やのに、もう!」と言う私の嫌味になど、一切耳を貸さなかったはずなのに。変われば変わるもんだあ。

娘は、我が家を離れて6年目。どうしても学びたい事があると、地方の大学に進み、さらに極めたいと、現在、大学院に通う23歳。生活費を切り詰めて、ドイツに研修旅行に出かけたり、各地で開かれる学会に手弁当で、出席したりと、学ぶことに非常に貪欲である。と、いうのも、彼女は小6でいじめに合い、授業という世界から隔絶された中学3年間を過ごしたからである。昼夜逆転の引きこもり生活、保健室登校、卒業式に出席することもなく、手にした卒業証書。通信教育と個別指導の塾のみが彼女の学習をサポートしてくれた。そして、内申点の提出が必要ない私立高校に入学することで、今までの生活をリセットする可能性を手にしたのである。念願の高校生活とはいえ、初めの頃は常に不安定な要素がつきまとい、私も夫も、はらはらしながら、見守って過ごしたものの、いつの間にか、私たちの心配をよそに、クラブやクラスに溶け込んで、楽しい生活が送れるようになったのである。そして、ようやく授業を受ける楽しさが実感できたのだ。学ぶ機会を与えられた 彼女は水を得た魚のごとく、生き生きと輝きだした。そうなれば、興味の惹かれることを追求する姿勢が、自然と生まれ、学習意欲は高まり、自分の進むべき道を探し出すことも容易になる。

娘が出した結論は、コミュニケーション障害学科への進学。コミュニケーション能力に欠けていて、苦労した彼女ゆえの選択だったのか、などと思ったが、よくよく聞いてみると、言語聴覚師を育成するコースだった。

今、彼女は国家試験に合格し、臨時職員として病院で働きながら、勉強中である。ひよこがニワトリになるには、まだまだ先の話だが、良い意味でチェンジが続くことを密かに期待している母である。

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