大阪府私立高 専願率が過去最低に

2010年1月14日 木曜日

大阪府内の公立中学校卒業見込み生徒のうち、府内の私立高を専願で希望している者の割合が過去最低の13.34%になった、ということが1月6日に新聞各紙で報じられました。昨年の同じ時期に調査した時には13.94%でしたから、0.6%のダウン、ということになります。昨年11月には、世帯年収350万円以下の家庭は授業料を実質無償化する、などの「私立無償化」についても打ち出されていますが、まだ十分に浸透していないことがこの調査でも浮き彫りになっています。

他府県の私立専願率も軒並みダウンしているようです。朝日新聞に掲載されていた、他地域のデータをご紹介します。

愛知県 18.4%(-0.7ポイント) 12月5日時点
京都府 20.2%(-0.2ポイント) 9月15日時点
兵庫県 4.11%(-0.29ポイント) 9月1日時点

2008年、深刻な不況へと突入した時期と同じころに、大阪府では「私学助成金削減」を受けて多くの私立高で授業料が値上げされました。その結果、昨年の調査では一昨年よりもなんと1.57ポイントも専願率が減る、という事態になりました。それに続いて今年も専願率ダウンということになりますから、「私立離れ」が一向に止まらない状況である、ということになります。

その一方で、公立高を志望する生徒の割合は83.67%で、昨年同時期の調査から0.28%増加しています。全日制公立高の競争倍率としては1.22倍になる計算ですが、これは昨年同時期の1.25倍よりも下がっています。公立高の入学定員が3440人増えているから、というのが理由です。

この「圧倒的な公立高人気」は、やはり長引く不況に加え、国が来年度から公立高の授業料を無償化するということが大きく報道されている、ということが影響しているようです。

私立各校は入試成績の上位者に対して授業料を「全額免除」「公立高校並み」にしたり、「入学金免除」としたりするといういわゆる「特待生制度」を拡充しています。「特待生であれば私立に行ってもいい」というご家庭が昨年・今年で増えているのも現実ではあるものの、対象となる数自体は少なくなってしまいますので、私立高人気の復活に直接結びつくことは考えにくいところです。人気復活はやはり「私立も無償化」ということが浸透するかどうか、にかかっているのではないでしょうか。

しかし、「世帯収入によっては無償化になる私立高」というわかりにくいものより「所得制限なしで全員が無料になる」という、制度的にわかりやすい公立高に希望者が集まるのは自然な動きなのではないでしょうか。

先にご紹介した「私立無償化」が今後どれほど浸透するかによっては私立専願率がもう少し回復することも考えられます。1月下旬には第二回の調査結果が明らかになります。調査結果を心して待ちたいと思います。