大阪府公立高校 後期選抜 進路希望調査

2010年3月8日 月曜日

3月5日、大阪府内の中学3年生全員を対象にした公立高校後期選抜の進路希望調査結果(3日現在)が大阪府公立中学校長会から発表されました。

全日制普通科の平均倍率が1.15倍となっており、昨年の同時期に調査した時点の平均倍率である1.23倍から0.08ポイントダウンしています。

昨年は厳しい不況下でどの学区も公立高受験者が増え、倍率が高くなったことが記憶に新しいところです。今年も厳しい不況が続いていますので、昨年と同じく公立高全体の倍率が上がるかと思われましたが、2007年度入試から9つあった学区を4つに統合して以来最も低い1.15倍という倍率になっており、現時点では全体倍率が手ごろになっています。

考えられる要因はいくつかあります。

①公立高の無償化だけでなく、私立高でも低所得者への無償化政策が実施されるため
②入学定員が約3000人増えた

①は、すでに実施された私立高入試の出願状況でも示されたとおり、無償化政策が大きな影響を与えています。詳しくはこちらのエントリーでご紹介しています

②に至った経緯を解説します。昨年度、実際に不況によって公立高志願者数が増えたため、私立高を受験せずに公立高1本で勝負したがどこも合格出来ず、定時制高も定員オーバーのため不合格になってしまった受験生が出るなど、ちょっとした社会問題となりました。

今年も不景気が続いている上に、今後実施される「公立高無償化」に大きな期待が寄せられているため、また昨年のような倍率上昇が起こる可能性が高い状況であると当初から予想されていました。それを避けるために、府内の全日制公立高167校のうち倍率が高くなる可能性が高い高校を中心に合計で約3000人の募集定員の増加が実施されました。

しかし今回の進路希望調査結果では、増えた定員が約3000人であるのに対して、受験生自体は約1500人しか増えていません。ですから、全体の倍率がある程度ダウンするのは「当たり前」なのです。

前置きが長くなりました。では第1学区の主要校から順に今年の調査時点の倍率を、昨年同時期に実施された調査時点の倍率、昨年の最終倍率を交えながらご紹介していきます(いずれの画像もクリックすると拡大します)。

第一学区 進路希望調査状況

まず第1学区のデータです。

茨木(今回の調査で府内2位の高倍率)・春日丘(同じく府内1位)ともに1.5倍を上回ってしまっています。昨年の進路希望調査時点からも高くなっています。このデータを見てびっくりした受験生が受験校を変更することが大いに考えられますが、それでもこの2校は最終的に高い倍率になると思われます。

その他の高校については平均倍率よりも上回っているところが多く、第1学区は公立高人気が高い地域であることを示しています。気を抜けない入試になるでしょう。

第二学区 進路希望調査状況

第2学区です。

昨年の進路希望調査と比べたときの倍率の上がり・下がりが非常に激しい学区です。大手前・四條畷・東・大阪市立(春日丘と同率で府内1位)の高倍率が目立ちます。これら4校は昨年の最終倍率も高かったことから、今年もこのまま高い倍率を維持して入試当日を迎えることになると思われます。

第三学区 進路希望調査状況

第3学区です。

第1・第2学区のように1.5倍という目を疑うような高倍率は見かけませんが、アクセスで有利な夕陽丘が例年通り高い人気となっています。それとは対照的に清水谷の倍率が手ごろになっています。この調査結果を見て、夕陽丘から清水谷へ受験校を変更する受験生が多数出てくると思われます。両校の受験予定者は要注目です。

また、昨年の最終倍率の手ごろさが受験生を刺激したのでしょうか、生野の人気が急上昇しています。この調査時点で生野を希望した受験生がこの結果を見てどう動くのか、大変興味があります。

第四学区 進路希望調査状況

第4学区です。

1.4倍を超える高校が4校あります。特に和泉の1.56倍は府内4位の高倍率となっており、昨年の最終倍率の低さを見て手ごろ感が出た結果だと思われます。この高校は南海本線とJR阪和線の両方からアクセス可能であることと、堺市方面と和歌山方面の両方の丁度中間地点にあるという、非常に選びやすい・通いやすい立地にあります。倍率が高くなる要素は十二分にありますので、ご注意ください。

簡単に今回の進路希望調査結果をご紹介しました。最終出願状況が出そろいましたら改めてこの場でご紹介する予定にしています。

大阪府公立高校 後期選抜 教科別平均点と小問別正答率④

2010年3月8日 月曜日

大阪府公立高校 後期選抜 教科別平均点と小問別正答率①
大阪府公立高校 後期選抜 教科別平均点と小問別正答率②
大阪府公立高校 後期選抜 教科別平均点と小問別正答率③

に続くエントリーです。まだ上記3つをお読みになられていない方は、ぜひ先にこれらをお読みになってください。上記それぞれのタイトルをクリックすると該当ページに飛びます。

さて、今回は昨年の大阪府公立高校後期選抜で出題された5教科のうち「数学」にスポットをあてて、正答率や全体の傾向、これから試験までの間に行うべき対策についてご紹介したいと思います。昨年の得点率や無答率を小問ごとにグラフで紹介します(クリックすると拡大します)。

小問別得点率 数学

数学のA・B問題については各高校がそれぞれ選択します。どの高校がどの問題を選択するのかは、後期の入試当日にならないとわかりません。

大問1のA選択問題は大問1(7)と(8)の得点率が極端に低いことがグラフを見てすぐにわかります。(7)は一次関数・比例が、(8)では面積と重さの関係を題材とした問題が出題されています。特に(8)のような問題は数学的な見方・考え方・処理する力が必要となるところです。ここが出来れば他の受験生に大きな差をつけることが出来ますので、数学が得意な受験生はこういった問題の正解率を上げられるように準備しておくといいでしょう。

大問2はB選択問題です。大問1(6)②、大問2(1)②と(2)②のように、A選択問題に比べて得点率が低い問題が多くあることがわかります。これらの問題は無答率も高く、手も足も出なかった受験生がたくさんいたようです。特に大問2の2問は、解ける方がいいことは当たり前なのですが、解けなくてもがっかりしたりあせったりする必要は全く無いと思います。

大問3以降は共通問題です。評定4以下の受験生は1問を除いた全問でゼロに近い得点率となってしまっています。

大問3はバームクーヘンの模様を基にして問題が作られているので一見とっつきやすく見えるのですが、全体の得点率が低いことからもわかるように難易度が高い問題でした。文字を使って式を作ったり、関数関係について調べたりする力が問われています。

大問4 は空間図形を的確に把握する力や(2)のような記述問題で数学的な考えを展開できるかどうかを問う問題でした。与えられた条件を基にして図形をとらえる力が必要となります。特にこの問題は空間図形を扱っているものなので、空間図形の辺や面の位置関係をとらえる力を養っておかないと正解は導きだせません。

数学は得点率が高い問題・低い問題の差が非常に大きいので、「出来る問題」は短時間で確実に正解を出し、得点率が低そうな問題の中で「これは正解できる」というものに時間を割き、その問題で他の受験生と差をつけることが大切です。

過去問だけでなく、数学の問題を解くときに心がけてほしいことを1つ。問題を解くときには「答えを出すまでの過程を丁寧に筋道を立てて考えて、採点者にもわかるように式や考え方を表現する」ということです。途中式や考え方を書く時はノートや問題集の端っこにチマチマと書くのではなく、ノートや要らない紙の裏などに大きく書くようにして途中式を丁寧に考えるようにしましょう。丁寧と言えば、途中の式だけでなく数字自体も丁寧に書くようにして問題を解くように心がけましょう。

残りは英語と理科となりました。明日以降引き続きご紹介してまいります。