2010年度大学入試 主要私立大 志願者数動向

2010年4月13日 火曜日

今回のエントリーでは2010年度の大学入試、特に私立大学入試について少し整理してみたいと思います。

長引く、深刻な不況によって私立大が敬遠され気味になっている一方で、国公立大の人気が高くなっている状況での入試でした。特に国公立大の人気の高さについてはこのブログ内のこちらの記事でご紹介しています。

さて、私立大入試についてですが、単純に今年の志願者数が多かった大学を、昨年からの増減とも合わせて検証してみることが一番分かりやすいかと思います。今年の一般入試において志願者数が多かった大学を順に15校、下の図でご紹介しています。

2010年度大学入試(一般) 主要大学志願者数

表中、近畿地区の主要私立大について色をつけています。昨年よりも志願者数が減った大学は黄色、増えた大学は青くしています。

今年、日本で一番志願者数を集めた私立大は明治大でした。昨年と比べて、なんと約1万人もの志願者数の増加となっています。明治大は今年、国際日本学部に新設したセンター利用3科目方式が同4科目方式の4倍の志願者を集めたことが志願者急増の最も大きな要因ではありますが、この不況下で充実した奨学金制度を設けていたことも志願者大幅増の要因になったと見られています。

関東方面の大学で目立つのが、早稲田大と慶應義塾大の志願者が2年連続で減少している点です。逆に、先ほどご紹介した明治大の他に法政大も大きく志願者数を増やしていますし、日東駒専(日本大、東洋大、駒澤大、専修大)や大東亜帝国(大東文化大、東海大、亜細亜大、帝京大、国士舘大)と呼ばれる大学などの人気が高くなった傾向にあります。

要するに、今年の受験生は全体的に大学の名前よりも現役進学にこだわる傾向が強く、より合格しやすい大学を選ぶ方向性になった、ということでしょう。

さて、関西の状況はどうだったのでしょうか。

関西では、関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)が、すべて前年を下回る受験者数となってしまいました。実はこの4大学がそろって志願者数を減らすのは、実に17年ぶりの出来事という、言ってみれば異常事態になっています。しかも、4大学のうち、同志社大以外の3大学が新学部を設置したにも関わらず志願者減となっています。

立命館大と関西大の後期入試直前の様子について、このブログでもご紹介しております。立命館大の様子はこちらから、関西大の様子はこちらでお読みいただけます。特に立命館大は大きく志願者数を減らしており、次年度に向けて大きなテコ入れが必要となっているのが見てとれます。

同志社大については、センター利用型入試において政策学部に3科目方式を新設し、理工学部の2学科と生命医科学部で大学独自の2次試験を廃止しましたので、その結果、人気を集め志願者が39.4%アップしたという経緯がありますが、一般入試では志願者数を維持できず、結果昨年より約1,000名のダウンとなっています。

今年の入試の特徴の一つとして「安全志向」であることは先ほどご紹介したとおりですが、もう一つ「地元志向」ということも挙げられます。関西の私立大は中国・四国地方などから多くの志願者を集めている傾向にありますが、今年はそういった地域から受験生がそれほどやってこなかったことが、各大学の志願者数減少の一因となっていることは明らかです。

とはいえ、このような状況下でも近畿大は大きく志願者数を増やしています。総合社会学部の新設があったのももちろんですが、バイオコークスや近大マグロといった研究成果が絶えずメディアで紹介されており、世間の注目を集め続けていることが最も大きな要因ではないか、と考えています。

近畿大の一般入試直前の様子についてもこちらの記事こちらの記事でご紹介しています。

関関同立がそろって志願者数を減らしている事に対して近畿大が大きく志願者数を増やしているこの現状に、「どうすれば志願者数が集まるのか?」という問いについて何らかの答えが見え隠れしている気がします。