2010年度中学入試 結果分析③

2010年5月6日 木曜日

不定期連載でお届けしております、2010年度中学入試の結果分析。今回で3つ目のエントリーとなります。

今回は、新設校2校同時開校や入試内容の大幅変更など様々な話題を提供し、2010年度を「関大イヤー」とまで言わしめた関西大学系列各校について分析します。

まず、関大系列3校の統一解禁日受験者数を昨年・今年とで比較してみましょう。

関西大系列

昨年は関西大学第一中1校のみだった関大系列の中学校ですが、今年は関西大学北陽と関西大学中等部の2校が仲間入りしています。それにより、昨年よりちょうど1割増しの受験者数となっています。

2校新設されたのに、1割しか受験者数が増えていない?

よく見てみますと、関西大学第一中の受験者数が昨年の約2/3と激減しております。2校新設されたにもかかわらず全体の受験者数が1割増にとどまった原因はここにあるようです。

次の表は、関大系列3校に、新しく「関大コース」を設置した浪速中を含めた4校の入試日程の位置取りを一覧にしたものです。

関西大学系列 入試日程の位置取り

関西大学第一中は2010年度入試から「初日に学力試験、翌日に面接試験」の「2日間入試」体制となりました。そのため、これまでの「初日に関西大学第一中、翌日は○○中」という併願パターンが取れなくなることから、入試開始前から「関西大学第一中は受験者が減るだろう」と予想されていました。

実際に、一番最初にご紹介したグラフのとおり、昨年の約2/3の受験者数まで減ってしまいました。では、その受験者数に対してどの程度合格者が出されたのか?を検証してみましょう。

関西大学第一中 2日間入試の影響は?①

2009年度と2010年度それぞれの入試における、男女別の志願者・受験者・合格者数をグラフにしたものをご紹介しています。ご覧の通り、男女合計の受験者数は昨年の2/3となっていますが、男女合計の合格者数に関しては昨年より約6%ダウンにとどまっています。受験者数の減り幅に対して合格者数はそれほど減っていない、つまり、今年は「広い門」だったことになります。

次は男女別の実質倍率を見て、男女それぞれの入試難易度について考察してみます。

関西大学第一中 2日間入試の影響は?②

2009年度・2010年度それぞれの入試結果を、男女別に並べています。グラフの上にある倍率は「受験者数÷合格者数」で計算される「実質倍率」を示します。2009年度と比べると、男女ともに実質倍率が0.6倍ダウンしています。特に女子は1.5倍を下回っており、例年では考えられない事態になっています。やはり面接試験日が増えたことによる2日間入試化を敬遠した受験生が多かった、ということが原因であることは明らかです。

さて、次に新設された2校「関西大学北陽」と「関西大学中等部」の入試結果についてご紹介しましょう。

関西大系列 新設校入試結果

関西大学中等部 1/18(月)の入試が厳しいものとなったことがわかります。なんでも、この日は相当レベルの高い受験生が多数集まったそうですし、合格者数や実質倍率を見ていただいてもお分かりの通り、相当合格者を絞った様子です。当初予想されていた偏差値ラインでは合格が叶わなかったかもしれません。関西大学中等部の分析結果発表が待たれるところです。

ここまでご紹介しましたとおり、2010年度の関大系列3校はそれぞれ学校の新設や入試制度の大きな変更といった「受験者数が読みにくい」という状況の中で入試を実施されました。この結果を見て来年2011年度入試に向けて受験生がどのような動きをするのか?を、模擬試験での志望状況や各校の説明会の動員状況なども加味しながら、慎重に予想する必要があります。

これら3校の動向は関西の私立中学入試に大きな影響を与えるだけに、今後も要注目です。

今回の分析は以上です。次の回では大学系列校の入試分析とはまた違った、2010年度中学入試において無視することの出来ない話題を取り上げて分析してみたいと思います。