西京高等学校附属中 1期生の卒業を受けて

2010年6月3日 木曜日

2004年4月に高等学校に併設されるかたちで附属中学校が創立され、併設型中高一貫教育が導入された西京中高ですが、この春無事中学1期生が大学進学を迎えました。京都大を筆頭とした難関国公立大を含め国公立大合格者数が146名となっており、卒業生275名の実に53%が国公立大へ進学するという実績となっています。

公立中高一貫校化されてすぐに入学した1期生からいきなり飛躍した進学実績の秘密を探るべく、この度西京高等学校附属中で行われた小学校の保護者対象の説明会に参加してきました。

西京中高 外観

ご覧のとおり、近代的かつ非常にきれいな校舎が印象的です。

オープニングの合唱

説明会の開始にあたって、在校生の皆さんが合唱で1曲披露して下さいました。

公立中が週28コマのところ、同中は中1で31コマ・中3で34コマが割り当てられているのが特徴です。授業時間が多く確保されているだけでも有利ですが、中3時の国語などでは高校の教員が指導する機会などもあるなど、中高一貫教育の利点を活かして中高の垣根を外して効率よく6年間学習できるような流れを組んでいるのが強みです。

また、同中にはエンタープライジングA・Bという科目があります。Aは「総合的な学習」の時間としており、現在中1生は10月の一般向け学校説明会に向けて各自が「学校案内プレゼン」を製作中。同Bは各教科の内容をさらに高度にした内容の授業を展開、中1は国、中2は英数国、中3は5科すべてが対象とされています。

授業発表の様子

上の写真は「5教科の授業内容発表」の様子です。社会では「考える歴史」として「長篠の合戦の時、農民は何をしていたか?」と歴史の裏側を想像・実際に調べたり、数学では「フィボナッチ数列」の基礎を学び、それを建造物や人間の顔などの身近なものに当てはめて考察したり、単に知識を覚えさせるだけではない非常に高度な授業を展開していることが生徒自身の口から語られました。

授業時間の多さやカリキュラムの効率性を求めるなどの「外枠」の部分だけでなく、とてもレベルの高い授業が展開されていることで「内容」についても充実していることを知り、「これじゃまるで私立校みたい」とただ驚くばかりでした。

さて、西京高等学校附属中の入試についてです。どうやら、いろいろな噂や憶測が飛び交っているようで、それらについて学校の先生が一つ一つご説明下さいました。以下、その内容です。

①部活やスポーツによる推薦制度はない
②オール3でしか合格出来ないという訳ではない(オール3はもちろん多い様子ですが)
③女子の在籍者が多いが「女子が有利」という訳ではなく、単に女子の受験者が多いからこうなっているだけのこと
④小学校ごとに合格者の枠を決めているわけではない

・・・いろいろあるものです。

最後に、適性検査などの内容や対策についてです。適性検査内容は以下の通りです。

作文・製作Ⅰ:自ら考えたことを文章で表現する力をみる
作文・製作Ⅱ:論理的に思考・表現する力及び論理的に処理する力をみる
作文・製作Ⅲ:自然や社会の事象を科学的に思考する力をみる
面接:グループ・10分・志望動機やコミュニケーション力をみる

学校の先生方がおっしゃるには、試験内容は「小学校6年間で習った内容を身につけておいてくれれば」ということでした。同じく、対策方法として提示してくださったものとして「全国学力テスト」を挙げ、確実に解ける力をつけて欲しい、と言われていました。また、京都市の全小学校で行っている「ジョイントプログラム」の基礎・基本部分は解けるようにしてほしい、とも言われていました。

来年の入試ですが、今年の大学合格実績を見た受験生が多数受験してくることが予想されることから、例年以上の倍率となるでしょう。適性検査の難易度の高さもさることながら、適性検査の後に抽選が行われて合格者が決められるなど「運と実力」の両方を兼ね備えた受験生だけが入学を許されるこの西京高等学校附属中。この難関をくぐりぬけ、来年の春この学校の生徒となれるのは果たしてどんな子たちなのでしょうか?

槻の木高 着々と進学実績が上昇中

2010年6月2日 水曜日

大阪府公立高の中でも際立った取り組みを行い、創立以来大学合格実績を伸ばし続けているのが、高槻市にある槻の木高です。先日塾対象の説明会がありましたので、今回のエントリーでは参加レポートをお届けします。

槻の木高

上の写真は校門前から校舎を望んだ風景ですが、ご覧の通り雨模様でした。当日はテスト期間中ということもあり、説明会が開始される時間には多くの生徒が下校していたのですが、そんな雨の中にも関わらず在校生の皆さんは(テストから解放された喜びもあるのでしょうが)元気よく帰っておられました。

さて、この槻の木高ですが、単位制でありながら「半期認定制」を採るという珍しいパターンにより、弾力的カリキュラム、2年次後期から多様な進学対応科目を設置する、多数の教員を配置して少人数授業を展開する、ホームルーム活動を重視する、など「単位制のメリットを活かした進学重視型の全日制普通科高校」となっているのが特徴です。

今年で創立8年目を迎え、上のような取り組みが「大学合格実績の大幅上昇」という形で結実したのと、受験生から「厳しい・熱心な学校」という評価が定着したことにより、創立当初に比べると入学者層が相当高くなってきているようです。

教育の中身を理解・賛同してもらう場とする学校説明会では、ひたすら「厳しい学校」「力を伸ばす学校」と言い続けているそうで、そういった「宣伝活動」も奏功しているようです。

昨年は年間通して1300名の学校説明会参加者を集めた同校ですが、学校内での説明会を数回実施するだけにとどまらず、地元地域は言うまでもなく枚方や吹田など比較的遠くの地域でも公民館などを借りて平日の夜に説明会を実施(参加者は各回3~40名程度だそうです)するなど、積極的かつ地道な宣伝活動を行っている点が他の公立高と違う点です。

大学合格に向けた取り組みを紹介しますと、「国公立大50名」を目標としており、公立高ではあまり取り組まれていない「高3生 志望校検討会議」を実施し、高3担当の先生方のほとんどが集まって高3生一人一人の成績状況などを共有し、志望校合格に向けた話し合いを行っているようです。

そういった取り組みなどで、今春の大学合格実績においては大阪大3名、神戸大2名を含む国公立大が前年比倍増、関関同立は倍以上という成果をあげています。

土曜講習、月~金の放課後講習、夏期・冬期・春期の講習、自習室の活用といった私立校顔負けのサポートが用意されている槻の木高。「厳しくしてくれる公立高を!」という受験生の皆さんにはぴったりの学校でしょう。ただし、かなりの覚悟は必要だと思いますが。

大阪で初の試み!キリスト教学校フェア

2010年6月1日 火曜日

このブログでは過去幾度となく各学校が独自で開催する学校説明会やオープンスクールなどの情報をご紹介してまいりました。

また、近畿地区においてここ数年はライバル校同士が一時的に肩を組み合う形で実施する「数校合同の説明会」というのも実施されてきています。

その代表的な例としては、こちらのエントリー「大阪私立女子中学校フェア2010」でご紹介した「大阪私立女子中学校フェア」があり、今年で実施開始から5年目を迎えています。今年は、例年1回のみの実施だったこのフェアを、Stage 1とStage 2という形で2回実施の形態へ進化しています。なお、今年のStage 1の様子と次回Stage 2の実施予定内容はこちらのエントリー「大阪私立女子中学校フェア 参加してきました」でご確認いただけます。

また、こちらのエントリー「神戸灘区 女子中高一貫校 合同説明会」でご紹介したイベントについては今年で開催2年目を迎えました(すでに終了しています)。昨年は1回だけの実施でしたが、説明会に参加出来なかった保護者が多数いた、という昨年のようなことが無いようにというご配慮からでしょうか、今年は2か所で実施されました。

このように、これまでは女子校同士で共闘する形のイベントが主でしたが、今年新たに大阪のキリスト教学校がすべて集まるイベントが立ちあがります。詳しいことは以下の通りです(クリックすると拡大します)。

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大阪キリスト教学校フェア

大阪キリスト教学校フェア

日時:2010年7月31日(土)10:00~16:00
場所:日本基督教団 東梅田教会
内容:
シスター渡辺和子氏による講演
学校別展示・相談ブース
生徒による演奏 など

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聞けばこのキリスト教学校が一堂に集まるイベントは、東京都・神奈川県・福岡県などでは先んじて実施されているようです。

当日は各校在籍生による発表があるようですが、先に紹介した「女子中学校フェア」でも同じような出し物がある関係上、各校ともキリスト教学校らしさを出すような「おごそかな(?)」内容のもので統一することでイベントの差別化が図られるようです。

また、各学校の展示・相談ブースにおいては主に「キリスト教についての考えやそれに基づいた教育内容のアピール」を中心に各校がお話をされるものになる、ということですので、入学に必要な成績(偏差値)や大学合格実績といった「現実的な話」はちょっとこの場では聞きにくいかもしれません。このイベントで「キリスト教学校の真髄とは?」という大きな括りもそうですが、「各校がどういった方針で宗教教育をされているのか?」という部分をつかみ、現実的な話については各校独自の説明会で情報を得る、ということが得策でしょう。

また、このイベントは「教会で行われる」という点と、先日の大阪私立女子中学校フェアでの講演が大好評だったシスター渡辺和子氏による講演がここでもまた行われる点についても見逃せません。

初の試み、開成グループ入試対策課も必ずお邪魔しようと思います。