大阪府進路希望調査 私立専願率アップ・文理学科2.57倍!

2011年1月11日 火曜日

昨年末のお話ですが、12月28日付新聞各紙に大阪府公立中学校長会が12月27日に発表した今春の公立中卒業見込みの進路希望調査(12月8日現在)が掲載されていました。

以下、各紙で報道された中から主要な部分を列挙し、大阪府の2011年度高校入試の今後の成り行きについて考えてみたいと思います。今回報道された内容で、大きなポイントとなるのは以下の3点です。

①私立高を第1希望とする「専願」の割合が16.14%と昨年から2.8ポイント増、5年ぶりの増加
②公立高の学科別では普通科が1.08倍で、昨年の1.16倍からダウン
③公立高トップ10校に新設される「文理学科」(各校定員160人)全体の競争倍率が2.57倍

これまでの状況や今後の展望など、①~③それぞれについて見ていきたいと思います。

まずは①「私立専願率がアップ」ということについてです。

長引く不況の影響で学費が高い私立高よりも公立高を選ぶ考えが受験生の間で高くなったため、特にこの5年間私立専願率は減少する一方でした。しかし、今春から導入されている私立高校授業料の支援策が浸透したのと、大阪府が来年度から対象となる年収を、現在の350万未満から610万未満に拡大する方針を打ち出しています。これが実現すれば、私立高に通う生徒の約7割がカバーされる試算となっています。

この事が受験生・その保護者に広まり、私立専願率を押し上げているようです。今回の調査結果は2006年度の集計結果であった16.96%の水準に戻りつつある、ということですから、この支援策の効果は絶大です。

続いて、②「普通科の志望動向」についてです。

今回の調査は「第一志望のみが集計対象」となっています。よって、私立高・公立高問わず「1校しか志望校として挙げることが出来ない」ことになっています。よって、文理学科に希望者が集まった結果、普通科の志願者が減ったように見えているだけです。

文理学科の試験日は前期である一方で普通科は後期ですから、文理学科が不合格となった場合はたいてい後期で普通科を受験することになります。よって、結果的には普通科の志願者が今よりも増えることになりますので、最終的には倍率は上がるでしょう。

最後に、大注目の③「文理学科の志望動向」についてはどうでしょうか。

進学指導特色校、通称「グローバルリーダーズハイスクール」の10校に新設される文理学科の定員は合計1600人。対して、今回は4106人が希望したようです。

10校それぞれの倍率が公開されていないのでこれは「予想」ですが、10校すべてが同じような倍率になっている、とは考えにくいところです。おそらく、一部の高校は相当高い倍率となっている一方、比較的手ごろな倍率で収まっている高校があるなど、10校間での格差がきっとあるでしょう。今後の動向が気になります。

上記の3つ以外では、主な学科の倍率も公表されていますので、ご紹介しておきたいと思います。

美術科 2.63倍
体育科 1.91倍
理数科 1.77倍
演劇科 2.58倍
総合科学科 1.75倍
食物文化科 3.95倍
府教育センター付属高校 0.9倍