2011年度大阪府公立高後期 進路希望調査結果

2011年3月8日 火曜日

今春卒業する大阪府内の公立中学3年生を対象にした2011年度公立高校後期入試の進路希望調査(3月3日現在)の結果が、5日の新聞各紙にて発表されました。今回のエントリーではこの調査結果と今後の展望についてご紹介したいと思います。

昨年も同じ時期にこの調査結果に関して記事を書いています。こちらのエントリー「大阪府公立高校 後期選抜 進路希望調査」でご確認いただけます。

さて、今回の調査結果によりますと、後期選抜を実施する全日制公立高校107校の平均倍率は1.05倍。前年のこの進路希望調査結果時点の倍率が1.15倍で、一昨年調査時点の倍率1.23倍から0.08ポイントダウンしたのに続き、今年は昨年から0.1ポイントものダウンとなりました。

しかもこの1.05倍という倍率は、入試が前後期制に移行した2003年度以降で最も低い倍率となっています。

もう1つ衝撃的なデータがあります。定員割れをしている高校が49校、昨年の調査時点での定員割れ校数21校から倍以上の数となり、同じく2003年度以降最多となっています。

この公立高の低倍率や定員割れ校が続出することは、私立高入試直前に予想できたことでした。

こちらのエントリー「2011年度京阪神私立高 出願状況」内で触れましたが、大阪府私立高の専願率は27.02%(昨年から5.56% 増)と大きく伸びて2年連続の上昇を記録しただけでなく、記録の残る1991年の37.70%をピークに減少傾向だった専願率が12年前の水準に戻っています。

私立高を専願した受験生が大きく増えたため、公立高を受験する受験生が大幅に減ることになります。この時点ですでに公立高の多くで「低倍率」や「定員割れ」が起こることが確実なものになっていたのです。

さて、ここからは各学区主要校の調査時点の倍率を、2010・2009年度の調査時点倍率・最終倍率とを合わせてご紹介していきます。

まずは第1学区です。

大阪府公立高後期 進路希望調査(第1学区)

昨年の最終倍率において府内で最も高いものとなったのが茨木高で1.48倍でしたが、今年はその倍率をあっさりと超える高校が多数出現しています。この第1学区では茨木高(2.13倍)・豊中高(1.99倍)・春日丘高(1.63倍)の3校です。

北野高は昨年・一昨年と比べて高い倍率となる1.31倍ではあるものの、前述3校と比べておとなしい倍率になっています。いわゆる「学区トップ校」である北野高を避け、それに続く2・3番手校に受験生が集まった形となっています。

池田高が例年よりも低い倍率となる1.05倍、箕面高・刀根山高では定員割れとなるなど例年では考えられない異常な結果となっています。

第2学区を見てみましょう。

大阪府公立高後期 進路希望調査(第2学区)

大変驚いたことに、大手前高が現時点で定員を割っています。それと反比例する形で四條畷高が2.20倍と府内で最も高い倍率を記録しています。こちらも学区トップ校を避けて2番手校に回るという現象が起こっています。

今回紹介している学校の中では香里丘高(0.97倍)・交野高(0.94倍)・港高(0.92倍)・長尾高(0.93倍)といった中堅レベルの学校で定員割れが見られます。ひょっとすると、枚方高(1.37倍)・旭高(1.23倍)といった高倍率の高校からこれらの定員割れ校に受験校をシフトする受験生が多数出るかもしれませんので、注意が必要です。

第3学区はどうでしょうか。

大阪府公立高後期 進路希望調査(第3学区)

こちらも第1学区・第2学区同様に、トップ校である天王寺高が1.22倍である一方で2番手集団を形成している生野高(1.59倍)・高津高(1.94倍)が高倍率をマークしています。

八尾高(1.03倍)・清水谷高(1.06倍)といった例年高倍率となっている高校が意外にも低い倍率となっています。反対に、夕陽丘高が1.38倍となっており、先の2校に比べて倍率が高すぎる印象です。よって、夕陽丘高から八尾高や清水谷高へ受験生が流れる可能性は大です。

昨年定員割れ、あるいは定員割れギリギリだった狭山高と阪南高ですが、今回の調査時点で定員割れしています。このまま昨年同様の定員割れ・定員割れギリギリの入試となるのでしょうか?

最後、第4学区です。

大阪府公立高後期 進路希望調査(第4学区)

こちらも、学区トップ校である三国丘高が1.53倍であるのに対して2番手の岸和田高が1.74倍という高倍率となっています。

第4学区特有の特徴として、この学区の全体倍率は例年大阪府全体の倍率と同等~それ以上を保つ、ということがここ数年続いています。つまり、この地域は公立高人気が他の学区よりも高い地域なのです。

それを踏まえて考えますと、先の第1~3学区でご紹介した「定員割れ校」が(紹介している12校の中では)唯一貝塚南高(0.99倍)だけとなっているのもうなずけます。

また、和泉高(1.52倍)や久米田高(1.31倍)といった例年高倍率の学校が今年の調査時点でも元気であることがまたこの学区の特徴の一つです。「前の年の倍率に惑わされず、行きたいと思う学校を受験する!」という気質があるように見てとれます。

ここで1つお知らせしたいことがあります。

前半部分で言及したとおり定員割れをしている高校が49校で、2003年度以降最多の数となっています。

今回ご紹介した倍率は、あくまで「進路希望調査時点」のデータとなります。最終の出願校決定に向けて、受験生はこのデータを見てあれこれと迷うことだと思います。その中で、今回「定員割れしている」ということが分かった学校に受験校を切り替える受験生が出てくるものと思いますが、それを加味してもおそらくはかなり多くの高校が定員割れとなるでしょう。

ご存知でしょうか。定員割れをした公立高には「二次入学者選抜」というものが実施されることになっています。後期の出願締切時に志願者数が募集人員に満たない高校と合わせて、前期選抜で合格者数が募集人員に満たない高校で二次入学者選抜が行われることになります。

実はこの二次入学者選抜、試験は「調査書及び面接」とされています。英語や数学といった学科試験が不要なのです。

ちなみに、出願・面接・合格発表日は次のとおりとなっています。

出願締切
3月25日(金)

面接日
3月25日(金)

合格者発表
3月29日(火)

今の段階での予想ですが、かなり多い数の高校で二次入学者選抜が実施されることになるでしょう。今からそれを当てにするのはちょっと「違う」とは思いますが、万が一後期で不合格になっても再度別な学校でチャレンジ出来る可能性はある、ということを覚えておいて欲しいと思います。

最後に、受験生の皆さんにおかれましては、出来るだけ今回の調査結果の倍率に惑わされず、今考えている受験校を最後まで貫き通して欲しい、と個人的には考えます。

大阪府公立高後期の出願締切は3月10日(木)、その翌日には新聞紙上で各校の最終倍率が掲載されるでしょう。こちらのブログでは14日(月)に最終倍率をご紹介出来れば、と考えています。お見逃しなく!