センター試験 難易度別に2種類に分割?理科8科目化?

2011年3月17日 木曜日

1月15・16日に実施されたセンター試験ですが、ここの所矢継ぎ早にセンター試験にまつわる様々な報道がされています。新聞記事を引用しながらまとめてご紹介したいと思います。

まず、何はともあれ、現在のセンター試験がどの程度の規模で実施されているのか、を知っておく必要があります。先般、高校3年生・浪人生が受験した今年のセンター試験の出願者数について、昨年末の新聞記事で確認してみましょう。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

センター試験:志願者増 55万8983人に(2010年11月30日毎日新聞より)

大学入試センターは30日、来年1月15、16日に実施されるセンター試験の確定志願者数は、前年より5615人多い55万8983人と発表した。

志願者のうち高校などを来春卒業予定の現役は44万2420人で、現役の志願率は41.5%と過去最高だった。志願者全体に占める割合は79.1%。既卒者は11万211人、高校卒業程度認定試験(旧大検)の合格者らは6352人。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

18歳人口が減少している昨今ではありますが、大学進学を希望する率が年々高まっています。それがセンター試験の現役志願率41.5%という、「過去最高」の数字に表れています。それが志願者数の増加にもつながっています。

そんなセンター試験ですが、現時点で様々な問題点を抱えています。特に、東京大・京都大のような日本最難関の大学を受験する人も、短期大学を受験する人も、同じセンター試験を受験して学力の査定が行われている点を問題視する声が多く聞かれるようになっています。それに合わせ、大学入試センターはセンター試験を難易度別の2種類に分けることを検討しています。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

センター入試、難易度別に2種類 16年導入を検討(2010年10月25日朝日新聞)

大学入試センター試験を難易度別に2種類にする検討を、独立行政法人「大学入試センター」が始める。新しい学習指導要領で学んだ高校3年生(現在の中1)が受験する2016年1月実施が目標になる。えり好みさえしなければ誰でも大学に入れる「全入時代」が迫り、受験生の学力の幅が広がったことなどから、1回1種類のセンター試験で学力をつかむのが難しくなったためだ。

現段階で想定されているのは、試験科目を主に国公立大(一部の私大も含む)の志願者向けのものと、私立大向けの基礎科目型に分ける2種類の試験。大学が二つのうちどちらかを選び、志願者が受験する仕組みが考えられる。両試験とも一定量は同じ問題を出し、それぞれの得点を換算できる仕組みにするという。

また、ペーパー試験を課さないAO・推薦入試の受験生を対象に、高校段階の学力を把握するテストを、センター試験とは別に導入するかどうかも検討するとみられる。

センター試験は今年1月、国公私800を超える大学・短大が利用し、約52万人が受験した。試験問題は平均60点水準で作られている。だが、成績分布のグラフが上位と下位の二つの山になっている科目もあるなど受験生の学力格差が広がる兆候が表れてきた。

背景にあるのは、少子化と大学の定員増だ。18歳人口が92年の205万人から120万人に減少。一方で、大学の定員は増え、AO・推薦入試は私大の入学定員の半分以上を占める。志願者数に対する入学者数の比率は90年の6割台から9割台に。「全入」も目の前に迫る。

受験生の質も変化。個を重視する教育のため、普通科高校の卒業単位に占める必修科目の比率が減り、共通の科目を学ぶ受験生が減った。

その結果、難関大学ではセンター試験での結果で差がつかなくなり入学者選びに役立ちにくい一方、学力が一定程度に達していない受験生には問題が難しいという指摘も出てきた。同一試験で全体の学力を把握するのが難しくなっていると指摘され、早めに手を打つ必要が出てきた。

センター試験については、今春の事業仕分けや、文部科学省による09年度業務実績評価でも、入試センターが入試改善を視野に入れた取り組みの中心的役割を果たすことが必要と指摘された。同時に今後の検討についても文科省は理解を示している。

同センターは11年度から始まる5年間の中期目標、中期計画に本格的な入試改善を進めることを盛り込む考えを固めている。入試改革を議論する理事長の私的な懇談会を11月中にも開き、議論を始める予定だ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「新しい学習指導要領で学んだ高校3年生(現在の中1)が受験する2016年1月実施が目標」とあります。新指導要領で学ぶ子どもたちが大学受験を迎えるころには、大変大きな話題となっていることでしょう。

最後にご紹介するのは、この中で最も新しく報道された、センター試験の理科で出題科目を現行の6科目から8科目に増やすことが検討されている、という件です。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

センター試験、理科は8科目に(2010年12月11日毎日新聞)

大学入試センターは10日、2015年のセンター試験で実施する数学と理科の2教科について、出題科目案を公表した。関係者らからの意見聴取などを経て、来年3月に正式決定する。

案によると、理科は現行の6科目から8科目に増え、「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」「物理」「化学」「生物」「地学」に変更する。数学は現行通り4科目で、名称も変わらない。

高校の新学習指導要領は13年度から実施されるが、数学と理科は12年度から先行導入されるため新指導要領で学んだ生徒が受ける15年1月のセンター試験から対応することにした。浪人生には、現行の指導要領に即した問題を別に作ることを検討。理数以外の教科も来年秋までに新しい出題科目案を発表する予定。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

・・・ここにも「新指導要領」という言葉が出てきました。

2つ目の記事といい、3つ目の記事といい、先行導入される学年も含めて新指導要領で学ぶ子どもたちから導入開始が予定されているものです。それだけ、新指導要領下で学ぶ子どもたちに期待をしたい、そういうことなのでしょうか。

共通一次からセンター試験へと変貌を遂げたように、センター試験にも今後また大きな変革が待っています。そしてその変化が大学入試動向にどのような影響を与えるのか?そのために今からどう準備すべきなのか?については、また別のエントリーで詳しくご紹介することに致します。