奈良女子大学附属中 表現力を試す入試問題

2011年10月28日 金曜日

奈良女子大学附属中の受験生対象説明会にお邪魔してきました。

奈良女子大学附属中①

奈良女子大学附属中では6年間を3つのタームに分け、特徴を持たせて教育を展開されています。以下簡単にご紹介しますと、

①1・2年 「周囲への依存と個の萌芽」⇒自ら考える力を養うため、基本的学力と学習の基本的方法を習得させる
②3・4年 「個の発見と模索・探求」⇒表現する力を備えさせるため、自主的・体験的学習によって幅広い学力を習得させる
③5・6年 「個の形式と自立への展望」⇒行動する力を持たすため、個性・能力・進路に応じた学力の習得と自立した人格の育成を目指す

となっています。特に1・2年時には英数を週5時間ずつ確保、その内各1時間はベーシックな内容とされているのも特徴です。

この学校の特徴として、進路・適性に応じた大幅な選択制を導入することで個人の進路・興味・適性を尊重し、特に5・6年時は個人によって異なる時間割を実現されているという点があります。説明会で言われていましたが、午前が全く休みの子、間に授業が無く自習している子、など時間割は様々だそうです。

大学入試直前となる6年生は1学年120名を4クラス分割とし、原則として文系・理系とも30人×2クラスの構成とされています。

また、その1学年120名に対してきめ細かい進路指導をされているのも大きな特徴で、その中でも特に以下のような職業観を持たせるものを重要視されています。

①4・5年 アカデミックガイダンス:直接大学の先生や専門家から学問・専門技術についての授業を受ける。
②5年 キャリアガイダンス:自分の興味ある分野に関するより高いレベルの専門的な講義を受け、具体的に進学すべき大学等についてのイメージを作り出すためのガイダンス。
③3~6年 ヴォケーショナルガイダンス:生徒が進路選択や将来の生き方を考えるために様々な職業の方々を招き、職業についての具体的な内容や豊かな人生経験について触れる機会。

奈良女子大学附属中②

入試についての情報をご紹介します。

学校の先生がおっしゃるには、「特別な訓練をしなくてもよい」という入試内容にされているそうですが・・・。到底そうは思えない内容である気がします。今回の説明会では今年・昨年の問題を配布いただいたのですが、入試問題は一言で言うと「表現」とでも言えるでしょうか、入試問題の中には記号選択問題がほとんど無く、答えを記述する問題ばかりが並んでいます。記述力が試される内容であるだけでなく、持っている知識を融合させて問題にあたることも要求されています。

以下、表現Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの出題内容やポイントを簡単にまとめました。

・表現Ⅰ:国語的分野(70%)と社会的分野(30%)で構成。正解は1つとは限らない。小学校教育漢字を間違えると減点になる。国語的分野では「まとまりある文章を書く」「漢字の書き取りは出題している」、社会的分野では「キーワードを繋いで脈絡がある文章を」「資料・統計・問題文の読み取りは出題している」というのがポイント。
・表現Ⅱ:算数的分野(70%)と理科的分野(30%)の構成。問題を解くプロセスと説明力を重視している。算数的分野では「将来の数学的思考につながる力を」、理科的分野では「観察・実験の力」をそれぞれ測りたい、とされている。
・表現Ⅲ:受験生最大8名によるグループ面接、面接官2名。1グループ15分。各人によって異なる質問を出す「個人質問」と全員に同じ質問を出す「全体質問」で構成される。

なお、表現Ⅲとされている「面接」ですが、質問を想定して答えを用意(暗記)してくるなどの「準備」「対策」はしないでほしい、と学校の先生がおっしゃっておられました。

最後に追加合格についてです。追加合格は年によって有り・無しが異なるようです。ちなみに、今年2011年度は無し、昨年度2010年度はあり、だったそうです。

入学者募集要項に詳しく記載されていますのでそちらをご参照いただきたいですが、奈良県以外にも京都府や大阪府の一部の地域にお住まいの方でも受験が可能となっています。受験可能な地域が意外と広いので、お住まいの地域が受験可能かどうかお調べになるのもいいかもしれません。