関関同立について考える② ~学部の新設~

2011年11月8日 火曜日

私立大学入試では圧倒的な人気となっている関関同立。それらについて、特に各大学の人気動向や学部新設の動きといった視点から関関同立を考えてみるというシリーズ、今回は2回目のエントリーとなります。

こちらのエントリー「関関同立について考える① ~志願者数推移~」では、関関同立各大学が21世紀に入ってからどのような志願者数の増え・減りを見せているのか、についてご紹介を致しました。

今回は、各大学の学部新設の動きについてご紹介いたします。下のグラフ・表は前回のエントリー「関関同立について考える① ~志願者数推移~」でご紹介した志願者数推移のグラフに、それぞれどの大学がどの年度にどういった学部を新設したか、についての情報を追加したものになっています(画像をクリックすると拡大します)。

関関同立学部新設の動き

上でご紹介したグラフ・表では関関同立がこの10年程の志願者数推移と学部の新設状況をご紹介していますが、この10年の間に各大学とも様々な学部を新設し、定員を増加させてきています。この10年間の関関同立における学部新設の傾向について以下に簡単にまとめてみました。各大学とも学部新設においてはそれぞれのポリシーを持って当たられていることが分かると思います。

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関西大:法学部・工学部の改組という「既存学部の再編」に力を入れつつ、人間健康学部・社会安全学部という他大学に無い名称・ジャンルの学部を新設することで新規の受験者層の獲得を狙う。なお、2009年度新設の外国語学部は法・文学部を越えて関西大の中で今最も入試難易度が高い。

関西学院大:学部新設に関しては4大学の中では消極的な方だが、聖和大を法人合併する形で教育学部が誕生したという「大学同士の合併」が行われた点については日本全国でも稀なケース。

同志社大:2000年以降実に7つもの新設学部が誕生しているなど学部新設については積極的で、生命医科学部やスポーツ健康学部といった医療・健康の分野に新たに進出している。2011年度にはグローバル・コミュニケーション学部を新設し、今後も国際系の新学部設置が予定されているなど、国際系での動きが出てきている。

立命館大:情報理工学部・生命科学部・薬学部といった理系学部の新設が目立つなど、理系に注力しているのが他3大学と異なる点。さらに、映像学部という、芸術系としてカテゴライズ出来る学部を新設しているのも他大学には無い特徴。

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このように、それぞれの大学がそれぞれのポリシーに沿って、10年の間に新たな学部をたくさん作って定員を増やしてきています。その結果、あしかけ10年で志願者数がどの程度増えたのか、について調べてみようと思います。

下は各大学2011年度の志願者数が2001年度志願者数からどれだけ増えた・減ったのかと、2001年度からの増減率を計算してみました。次の通りとなっています。

関西大 +10,458 増加率113.8%
関西学院大 +6,033 増加率115.2%
同志社大 +17,102 増加率154.5%
立命館大 -25,894 増加率74.5%
関関同立合計 +7,699 増加率103.1%

学部新設を最も積極的に行った同志社大は今年度、2001年度と比べて1.5倍の志願者数を集めています。また、関西大と関西学院大は率にするとほぼ同程度の増え幅になっており、両大学ともセンター利用方式における志願者数の増加に助けられている点においても共通する部分です。

関関同立では唯一、しかも大きく志願者数を減らしているのが立命館大です。理系学部を中心にして学部の新設を積極的にやられてはいるものの、昨今の「理系離れ」が手痛い影響を与えているのではないでしょうか。

4大学合計で見ますと、この10年で7,699名の志願者数増となっております。ちなみに、マンモス大学で知られる近畿大の2012年度入試における総募集定員は6,720名です。近畿大の総募集定員以上の数が関関同立に流れ込んできているわけですから、いかに関関同立の人気・評価が高まっているかが分かります。

と、大変大雑把ではありますが、関関同立各大学の近年の動きについてご紹介してまいりました。