大阪府第1回進路希望調査 私立専願率が昨年度より上昇!

2012年1月13日 金曜日

昨年末の新聞各紙に、大阪府内中学校を卒業する中学3年生の第1回進路希望調査(12月8日現在)結果に基づく記事が掲載されていました。

以下、各紙で報道された中から主要な部分を列挙し、大阪府の2012年度高校入試の今後の成り行きについて考えてみたいと思います。今回報道された内容で、大きなポイントとなるのは以下の3点です。

①私立高を第1希望とする「専願」の割合が17.95%で、記録が残る2000年度以降で最多
②公立高の学科別では普通科が1.15倍で、昨年の1.08倍から復活
③公立高トップ10校に新設される「文理学科」(各校定員160人)全体の競争倍率は2.49倍

①については、やはり「私立高 授業料無償化」が大変大きな影響を与えていることは言うまでもありません。この私立高人気は、今年度(2011年度)入試直前段階でも話題となっていました。当ブログではこちらのエントリー「大阪府進路希望調査 私立専願率アップ・文理学科2.57倍!」でご紹介しました。

さて、毎年の年末に発表される第1回進路希望調査結果によると、過去3年では私立高の専願率が次のように推移しています。

10年度13.34% ⇒ 11年度16.14% ⇒ 12年度17.95%

今回の調査結果である17.95%は、2000年以降の調査で最も高い専願率であるようです。私立高の授業料無償化制度がいかに効果絶大であるか、がわかる数字の推移となっています。

余談ですが、今回の調査結果によりますと、国立や他府県への進学希望者は1665人で、昨年度より175人減少しているようです。大阪府の私立高授業料無償化が大阪府内の私立高に通うことを条件としていることが影響しているのではないでしょうか。

続いて、②の普通科倍率についてです。

過去3年の第1回進路希望調査時点の普通科倍率の3年間の推移を以下にご紹介いたします。

10年度1.16倍 ⇒ 11年度1.08倍 ⇒ 12年度1.15倍

今回の調査結果では2年前の1.16倍とほぼ同倍率にまで回復しています。

しかし、2012年度入試に向けて、私学人気のあおりを受けて今春入試で定員割れした公立高の多くが来春入試の定員を絞りました。ちなみに、学区ごとに募集定員を減じた普通科の学校名を以下に列挙してみます。

第1学区(7校)
西淀川高・渋谷高・池田北高・茨木西高・吹田高・吹田東高・阿武野高

第2学区(3校)
港高・泉尾高・門真西高

第3学区(9校)
清水谷高・花園高・勝山高・阿倍野高・平野高・大塚高・長野高・長野北高・藤井寺高

第4学区(2校)
金岡高・岸和田高

これら21の学校では40名ずつ募集定員が削られました。これとは反対に募集定員が増やされた学校もありますので相殺してみますと、それでも普通科だけで600名の募集定員の減少となります。

この大きな募集定員減少の影響があり、現時点での普通科倍率は2年前水準の数字に戻っているのであって、決して「公立人気が戻ってきた」わけではないのが真相です。

最後、③についてです。

文理学科が2.49倍で、昨年同時期の調査結果である2.57倍に比べるとほんの少しのダウンとなりますが、これは「誤差の範囲内」といえるでしょう。よって「人気は引き続き維持している」と考えてよいでしょう。

文理学科以外の専門学科等の一部についても倍率が公表されていましたので、合わせてご紹介しておきます。カッコ内の倍率は、昨年同時期に実施された進路希望調査時点の倍率です。

食物文化科 4.35倍(3.95倍)
美術科 2.60倍(2.63倍)
理数科 2.13倍(1.77倍)
教育センター付属 1.28倍(0.90倍)
グローバルビジネス科 1.62倍(新設)