2012年度大阪府公立高後期 最終倍率①

2012年3月13日 火曜日

3月9日(金)に出願締め切りを迎えた大阪府公立高後期選抜ですが、早速翌日10日(土)の新聞各紙にて最終倍率が発表されました。

今回と次回のエントリーでは、大阪府公立高後期の最終倍率について考察して参ります。今回のエントリーでは、取り急ぎ主要各校の最終倍率を、進路希望調査結果のデータとも合わせて4年分ご紹介します。

まずは第1学区です。

大阪府公立高 後期倍率(第1学区)

注目される文理学科設置校3校ですが、これらに共通している点として「進路希望調査段階から大きく倍率が増減している」という点があります。受験生本人の意思はもちろんですが、各中学校あるいは塾での進路指導で大きく「誘導」がかけられたものと思います。

では、倍率を見てみましょう。

北野高が昨年から微増で1.5倍をとうとう超えました。一方で茨木高と豊中高は昨年から大きく倍率を下げていますが、文理学科が無かった2010年度以前の倍率と比べると高めの倍率になっていることがわかります。これら3校は文理学科が設置されたことによって普通科の募集定員が昨年度から半減していますので、受験生の心理であれば「定員が少ない所は避けよう」ということになって煽りを受けるところなのでしょうが、この倍率の高さから定員の少なさでも果敢にチャレンジしてくる受験生が多いことがわかります。それだけ「市場からの評価が高くなっている」学校である、という証拠ではないでしょうか。

進路希望調査段階から高い倍率を示していた春日丘高は1.73倍となり、結局調査段階からほとんど倍率が下がることはありませんでした。春日丘高の最終倍率の推移を見てみますと・・・

2009年度 1.35倍 ⇒ 2010年度 1.44倍 ⇒ 2011年度 1.51倍
⇒ 2012年度 1.73倍

となっており、上昇しっぱなしです。おそらく、3番手校あたりの力の受験生たちがちょっと背伸びをして春日丘高をチャレンジしているのではないでしょうか。また、同じことが豊中高にも当てはまると思います。

昨年はあまりにも低い倍率で我々を驚かせた箕面高は今年1.34倍となり、上の表でご紹介している4年分の倍率の中で最も高い値となってしまいました。

ここ4年の中で最も高い倍率、と言えば池田高(1.32倍)・桜塚高(1.28倍)もそれに当てはまります。

第2学区を見てみましょう。

大阪府公立高 後期倍率(第2学区)

この学区で最も高い倍率となったのが四條畷高の1.82倍ですが、これは今年の大阪府下で最も高い倍率となっています。進路希望調査段階から0.32ポイントも下げたにもかかわらずこの倍率となってしまいました。こちらのエントリー「四條畷高 文理学科1期生の文系・理系選択状況」でもご紹介しました通り、今年1月28日(土)に実施された中1・2対象の説明会では想定されていた倍以上の参加者数となっていましたが、四條畷高の評価がうなぎ上りに上昇中のようです。

大手前高は昨年最終倍率から大きく上げ、1.45倍となりました。進路希望調査段階では昨年の最終倍率と同水準である1.3倍を下回るものでしたが、そこから大きく伸ばしています。さすがに昨年の倍率は「低すぎる」という声が圧倒的でしたので、今年のこの倍率が適正値ではないかと考えています。

その他に、昨年から大きく倍率が高くなった所は枚方高+0.12ポイント、大阪市立高+0.17ポイント、香里丘高+0.18ポイントといったところです。

反対に、大きく倍率を下げてお手ごろ感が出ているのが寝屋川高(1.19倍)です。これまでは1.3倍越えが当たり前だったのですが、さすがにその高倍率が嫌われてしまったのか、今年は昨年から0.13ポイントも下げて一気に1.2倍を切ってしまいました。おそらくですが、従来寝屋川高を受験していたと思しき成績層の受験生たちが今年は四條畷高にシフトしている、そんな気がします。

第3学区を見てみましょう。

大阪府公立高 後期倍率(第3学区)

この学区での倍率トップは高津高で1.60倍です。進路希望調査段階から昨年最終倍率を下回っており、最終倍率も昨年を下回ったものの、昨年に続いて学区トップ倍率を守りました。

それに大きく追随してきたのが生野高。昨年最終倍率から0.16ポイント増やして1.55倍となりました。生野高では普通科と文理学科の中間の位置づけとなる「SSH(スーパーサイエンスハイスクール)クラス(40名定員)」なるものが普通科内に設置されており、文理学科の理系コースと同じカリキュラムで学習することになっています。普通科でありながら文理学科と同じ勉強ができるチャンス、ということで、文理学科で残念な結果になった受験生たちが大挙ここに集まっているのではないかと推測しています。

天王寺高が1.38倍、昨年1.20倍から大きく上昇しています。こちらも大手前高同様に昨年は「低すぎる」という評価でしたので、これぐらいの倍率が出ないといけないのかな、と思います。

それ以外に上の表内で紹介している学校の中で、昨年から倍率を下げたのは夕陽丘高のみで、あとは倍率を上昇させています。特に布施高の+0.23ポイントというのが目を引きます。また、富田林高・八尾高・河南高・布施高は2009年度以降の4年間で今年の最終倍率が最も高いものになっています。これらの学校に出願した受験生の皆さんは今頃大変ガッカリされていることと思います。

最後、第4学区です。

大阪府公立高 後期倍率(第4学区)

進路希望調査段階で高い倍率を示していた三国丘高・岸和田高ですが、調査段階からは倍率を下げたものの、昨年の最終倍率からは大きく上昇してしまっています。第1学区の所で述べました通り、文理学科設置校に対する市場の評価が高まっていることがここでも浮き彫りになっている形です。

その2校の人気上昇の煽りを受けたのが泉陽高で、昨年から-0.11ポイントです。昨年は泉陽高を受験したと思われる成績層の受験生たちが、おそらくは今年岸和田高と三国丘高へ鞍替えしたのではないでしょうか。

和泉高はとうとう1.4倍を超えてしまいました。第1学区の春日丘高同様、こちらもこの4年間で倍率が上昇しっぱなしです。以下推移です。

2009年度 1.14倍 ⇒ 2010年度 1.26倍 ⇒ 2011年度 1.33倍
⇒ 2012年度 1.40倍

一般的には「倍率が上がった次の年は倍率が下がる」というのが定説なのですが、春日丘高と和泉高にはそれが当てはまらず、どんどんと倍率が上がる一方です。

その他の学校についてですが、最終倍率が昨年から0.1ポイント以上上下している学校が目立つ、というのがこの学区の特徴です。特に佐野高は-0.20ポイントの1.04倍で思いがけない低倍率となり、今年ここに出願した受験生は非常にラッキーだった形になっています。

ここまでは各学区の主要校の最終倍率を、過去の最終倍率や進路希望調査結果などと絡めて見てきました。次回のエントリーでは大阪府全体の平均倍率、今年の大阪府公立高後期に見られる特徴的な事項について検証します。こちらもお見逃しなく。