高校生と保護者 進路について話す頻度と内容①

2012年3月15日 木曜日

3月中旬となった今、国公立大の中期・後期試験や私立大一般入試の後期が実施されており、大学入試はもう終盤戦といった様相です。

現在高校2年生の皆さんは学年が変わるといよいよ受験学年である高校3年生、言い換えれば「受験生」となります。今回はそんな新高校3年生の皆さんとその保護者の皆さんにご覧いただきたい内容です。

春になりますと、あちこちで大学入試関連の説明会や講演会などのイベントが実施され始め、新高校3年生の皆さんもそのうちのいくつかには足を運ぶ機会が出てくることと思います。

過去にもこちらのブログで何度かご紹介をしておりますように、開成教育グループ入試対策課は「高校が主催される進路イベントでの講演」や「大学合同説明会での進路相談コーナー」としてあちこちで進路選びについてのお話をさせていただいています。

最近、合同説明会でブースに座ってご質問をお受けする機会では特に、高校生と保護者の方が一緒に来られている、あるいは保護者の方だけでお見えになられているケースをよく見かけます。女子高校生とそのお母さん、という組み合わせを最もよく見かけるのですが、中には男子高校生とお母さんが一緒に会場を見て回っている、という姿もちょくちょく見かけます。

イベントを主催されている会社の方、各大学の関係者にお聞きすると、最近はやはり保護者の来場が増えているそうです。大事なお子様の最終学歴やその後の就職などについて非常に心配されておられる保護者の数が増えている、ということなのではないでしょうか。

ただ、進路相談コーナーでお話を聞いている中には、受験生本人の意向を無視して話を進められる保護者の方がおられたり、座って話を始めるまで受験生の志望分野や志望大学を保護者の方が知らなかったりと、受験生本人と保護者の間で進路についてしっかりとした意思の疎通が出来ていないと思しき例を時々目にします。

なお、当ブログでは過去に以下の2つのエントリーで高校生とその保護者の間で進路に関する意識の違いについてご紹介しています。合わせてご覧ください。

意外と違う 進路についての高校生と保護者の認識①
意外と違う 進路についての高校生と保護者の認識②

こういったことを受けて、今回は高校生と保護者が進路についてどの程度話が出来ているのか?と、具体的にどういった話をしているのか?について調べてみました。

今回ご紹介するデータは、2003年度より社団法人全国高等学校PTA連合会と株式会社リクルートが共同で開始した「高校生と保護者の進路に関する意識調査」の第5回調査結果より抜粋しています。

まずは、高校生が自身の進路選択についてどの程度考えているのか?と、それを進路について保護者と話をする頻度ごとに細分化して検証したデータをご紹介します(画像をクリックすると拡大します)。

自分の進路選択についてどの程度考えているか

調査対象/全国の高校2年生とその保護者
(全国高等学校PTA連合会より依頼した9都道府県の公立高校27校:2年生2クラス分の高校生と保護者)
高校タイプ/普通科18校 専門学科7校 総合学科2校
● 調査期間/2011年9月20日~10月31日
● 調査方法/ ①高校生:ホームルームにてアンケートに回答
②保護者:高校生から保護者へアンケートを手渡し
③学級担任が高校生分と保護者分を取りまとめ、その後学校責任者が学校分として返送
● 回収数/高校生1,960、保護者1,422
● 有効回答数/高校生1,959、保護者1,417

今回の調査には全国の高校2年生が約2000名協力してくれたようですが、その全体の結果が一番上にありますとおり、「かなり考えている」が20%、「ある程度考えている」を合わせ81%が「考えている」という結果になっています。上から2つ目・3つ目は男子・女子別の結果ですが、女子は男子よりも「考えている」割合が高く、8割を超えているのが特徴です。

進路対話頻度別(進路について親子で話す頻度)に見ると、「よく話をする」や「たまに話をする」という層ほど進路選択についてよく考えているという回答が多くなり、親子の会話頻度と積極的な進路意識とは深い相関があることがわかります。

進路の話、となると話を切り出す方も話を聞く側の人間も共に「身構える」内容になると思います。何気ない会話も含めて、普段から親子間で会話がある所だと進路の話は切り出しやすいでしょうし、親子間で進路の話をすることでお互いにさらに考えが深まったり他の分野に興味を持ったりと、進路についての考えが刺激される機会にもなるでしょう。

反対に、普段会話がない所にヘビーな進路の話を持っていくのは気が引けますし、それが「また今度相談しよう」と棚上げすることにつながり、やがては進路についての思考を止めることになってしまうことになります。

親子間で普段会話があるかないか、がこんなにも高校生の進路選択に大きな影響を与えている、というデータでした。進路の話をいきなり切り出すのではなく、これから先はまず、受験生と保護者の双方がお互いの毎日の様子を教えあうなど他愛もない内容でもいいので、何か話をする機会を頻繁に持つようにしておきたいところです。