龍谷大 2015年春 瀬田キャンパスに農学部を新設

2012年4月18日 水曜日

仏教系の大学としては全国初となるそうです。

龍谷大が2015年春に農学部を新設する予定であることが発表されました。

私立大による農学部設立は7校目で、近畿地方では近畿大に次いで2校目となります。農学部自体が全国的に見て数少ない学部なのですが、1990年代以降農学部の人気が著しくかげり、同じ農学系統で学部を新設される際は「バイオ系」が潮流となっていた事実があります。そんな中での農学部新設ですから、全国的に注目を集めることでしょう。

農学部が設置されるのは瀬田キャンパスの予定です。今回の農学部の話題からは逸れますが、その瀬田キャンパスではもう1つ大きな動きがあることが発表されています。

こちらのエントリー「龍谷大 臨床心理学科新設と国際文化学部の深草移転」でご紹介しておりますとおり、国際文化学部の移転も同時に行われます。過去のエントリーでは移転時期が「2015年4月まで」という形だったのですが、今回の農学部新設年と同じく2015年に深草キャンパスへ移転することが発表されています。

さて、話を農学部に戻しますと、今回の発表では農学部の学科構成・特徴や定員も発表されています。以下ご紹介します。

①食料経済学科 収容定員500名 (入学定員120名・編転入定員10名)
国内における食料・農業問題に焦点を当て、生産者と消費者の接点づくりを通じて、これからの時代における持続可能性や環境調和性を備えた農業の実現をめざすとともに、人類の食料安全保障の観点から世界の「食」にかかる持続可能な社会の実現をめざします。

②生物生産学科 収容定員500名 (入学定員120名・編転入定員10名)
実際の農業生産に直接的に関わるアグリサイエンス技術(育種学、園芸学、作物学、土壌学等)とアグリサイエンス技術の基礎となるバイオサイエンス技術(遺伝学、植物病理学、分子生物学、生化学、ゲノム科学等)に基づき、極端気候や土壌劣化などの環境ストレスおよび病虫害や雑草などの生物ストレスに負けない品種の育成、および環境との調和に配慮した栽培技術の開発などを通じ、生産性の向上した持続可能な農業生産の実現をめざしています。また、同時に「食の安心・安全」に資する植物の育成・農業生産技術の向上に取り組みます。

③農業生産基盤学科 収容定員340名 (入学定員80名・編転入定員10名)
人類共通の課題である食と農業をめぐる生物生産の「基盤づくり」について、「作物多様性」の観点をも踏まえて、その実現をめざした教学展開を図ります。すなわち、物質やエネルギーの健全な循環を図り、食の安心・安全を保証する農業生産の基盤づくりに取り組むとともに、作物多様性の保全を行うことで、持続可能な環境保全型農業の実現をめざしていきます。

④食品栄養学科 収容定員320名 (入学定員80名)
人が生きていく上で不可欠な「食のあり方」について、作物が生産される過程から科学的な根拠に基づいて「栄養」や「健康」を捉え、「食の安心・安全」の実現に資する教学展開を図ります。また、食の大切さを理解するために「食育」の概念を体現する学科と位置づけ、正しい知識と技術に基づき地域社会や福祉の現場、医療機関などで活躍できる人間を育成します。なお、この学科には「管理栄養士養成課程」を併設します。

文系の食料経済、理系の生物生産・農業生産基盤・食品栄養の4つの学科で構成されていますが、注目なのが文系の学びとなる①の食料経済学科、管理栄養士養成課程が併設される予定の食品栄養学科の2つです。

また、同じ瀬田キャンパスにある理工学部との連携も進められるようです。今回の記者会見では「仏教系大学としての建学の精神をいかしながら、食の安心、安全を切り口に社会の課題に向き合いたい」との発表があったようですから、仏教系大学の良さや特徴を農学に取り入れていくことも期待できます。

農業は国の支えとなる非常に大切な分野です。将来の日本の農業、食糧問題を解決してくれるような人材が出てくることを期待したいと思います。