甲南大 理系学部でのAO入試が廃止に

2012年6月21日 木曜日

甲南大の高校・予備校対象の説明会に行ってきました。

大学となって昨年で60周年、当時は文理学部1つだったのが現在では8学部。ここ数年では新キャンパス・新学部の設置に力を入れておられますが、私大には中々見当たらない生物学科があるなど特に理系に力を入れている印象が強いです。

3つのキャンパスがありますが、岡本キャンパスでは理工系の学部以外に関しては「学部専用の建物」というのは無く、いろいろな学部の生徒・教員が混ざり合って生活しているのが特徴です。また、ポートアイランドキャンパスはフロンティアサイエンス学部用のキャンパスですが、ここには自分専用のデスクとロッカーを完備した「マイラボ」と呼ばれるスペースが4フロアあるそうで、快適な勉強環境が整っています。

甲南大は2011年度版大学ランキングで「親身な就職指導(キャリア関係の充実度)」で全国1位の評価となりましたが、そのキャリア教育は次のような方針で取り組まれています。

①学部教育とキャリア教育とを密接に連携させる
②4年間継続してキャリア教育を実施する
③モラルやマナーを備えた豊かな人間力を培う教育
④体験型・参加型を中心とした授業運営を行う
⑤教職共同による授業運営を行う
 
今春就職決定率は96.1%、昨年95%から上昇していますし、毎年120~150名が学ぶ教職課程においては今年63名が公立学校教員採用試験に合格(昨年44名・一昨年53名)されています。

教員採用試験対策としては次のような取り組みが行われています。

①小中学校へのインターンシップ、ボランティアの実施(神戸市・芦屋市・宝塚市)
②採用試験対策で面接講座を実施
③専任教職員6名の他、兵庫県・大阪府・大阪市の元校長やキャリア教育を専門とする10名教職指導員が曜日ごとに常駐
④学校の教室を再現した実習室
⑤自分の授業風景を録画したり、指導教員に評価してもらえる

さて、2012年度入試結果です。

志願者数は昨年度から5.8%減少となりました。昨年も約10%減少しましたが、これで4年連続の減少となっています。特にセンター関連の入試方式での志願者減が目立ちます。センター利用型入試の不人気は 「一般入試とのレベル差がありすぎる」「ラインが高すぎる」「出せる学部に制約があるなど制度がわかりにくい」というのが考えられる理由だと分析しています。

合格者数は昨年並みの99.7%に出されました。志願者の減少幅よりも少ない減少に抑えられていますので、その結果倍率は3.6倍となり、昨年の3.8倍から微減という形に収まりました。

男女比としては女子が減りつつある状況だそうです。

学部の人気動向ですが、一般入試では経済学部が3%の増加となっているものの、実は昨年大きく志願者を減らしているので、2年前の水準にも戻っていない状態です。また、法学部の人気回復(一般で約4%の増加)は大学の方にも予想外だったようです。公務員志望の受験生が多く集まったのではないでしょうか?

来年度である2013年度入試には次のような変更点が出ています。

①文学部歴史文化学科で新たにセンター併用型(A日程C方式)を実施開始
②知能情報学部ではセンター利用型(C日程後期)を実施開始
③理工学部・知能情報学部・フロンティアサイエンス学部のAO入試を廃止
④知能情報学部の後期日程(B日程)と後期センター併用型(B日程C方式)を廃止
⑤フロンティアサイエンス学部のセンター利用型(C日程前期)4科目型を廃止

理系学部ではAO入試を全く実施しないことになりますが、どうもAOでの入学者の入学後の成績を調べたところ芳しいものではなかったことが原因のようです。

最近、AO入試に対する大学側の考えが変わってきているようで、多くの大学で縮小・廃止傾向に向かっています。甲南大もその流れに乗った形になりますが、これによってどのような入試動向になるかに注目したいと思います。