2012年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率⑤

2012年9月13日 木曜日

2012年度滋賀県公立高入試問題各教科の小問別正答率をご紹介し、「過去問対策する上でのポイント」「試験を受けるにあたって注意すべき点」についてご紹介していますこのシリーズ、今回で5回目、最終回となります。

これまでは、国語・数学・社会・理科についてご紹介をしています。以下のエントリーをまだお読みでない方はこちらも合わせてお読みください。

2012年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率①
2012年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率②
2012年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率③
2012年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率④

最終回となる今回ですが、英語についてのご紹介となります。小問別正答率は以下の表の通りになっています。

滋賀県公立高入試 正答率 英語①

滋賀県公立高入試 正答率 英語②

なお、今年度の英語の平均点は100点満点で45.3点(昨年44.3点)でした。

以下、滋賀県教育委員会が発表した解答の分析の一部です。

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大問1の聞き取り問題では、絵を見て答えを選ぶ問題の正答率や、初歩的な会話の流れや内容を聞き取る問題の正答率が高く、中学校の授業で英語を「聞く・話す」活動に積極的に取り組ませている成果が表れている。しかし、前後の流れから内容を理解したり、聞き取った内容や事実を英語で正しく表現したりする問題では正答率が低かった。日ごろから、相手が伝えようとする内容を聞き、それをもとにコミュニケーションを図るような活動を一層充実させることが望まれる。

大問2は、生徒と、帰国したALT(外国語指導助手)がやりとりしたEメールを題材にして、書き手が伝えようとすることを読み取る力や場面や状況に応じて英語で適切に表現する力を見る問題である。英文の基本的な構造を理解する問題では、比較的高い正答率であったが、本文の内容理解が必要な問題については正答率は低かった。日ごろから英文のあらすじや大切な部分などを的確に読み取り、読んだ後に自分の意見や感想等を表現し合う活動をより計画的・系統的に行うことが望まれる。

大問3は、生徒と留学生の会話を題材に、英語の理解力や表現力などを総合的にみる問題である。会話における適切な表現を選択肢から選ぶ問題や、会話の流れを把握しているかをみる問題では、比較的高い正答率であったが、場面や状況に応じて適切に表現する力をみる問題の正答率は低かった。まとまりのある英文の内容を的確に読み取り、読み手としての感想や意見、賛否およびその理由を表現する活動をより一層充実させることが望まれる。また、それにとどまらず、自分の考えや気持ちを明確にしたうえで、適切な表現を用いて応じたり書いたりする活動を取り入れることも重要である。

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基礎的な力を問うものから応用力を問うものまでバランスよく設問が配置されている良問となっています。

「全体的には、初歩的な英語を聞いて話し手の意向を理解する力や、英文を読んで大まかな流れをつかむ力はあるが、大切な部分を聞き取る力や的確に読み取る力、また場面や状況に応じて適切に表現する力は十分に定着しているとは言えない。コミュニケーション能力の基礎を養うという観点から、英文の正確な語順や構造を意識させるとともに、それらを言語活動と効果的に関連付け、実際に活用できるように指導することが重要である。そのためには、英文を聞いたり読んだりした内容を理解するだけでなく、それに対する自分なりの感想や意見などをもち、それをもとに生徒がコミュニケーションを図るような指導を一層充実することが望まれる。」という滋賀県教育委員会からの発表もありますとおり、英語は読んだり書いたりすることももちろん大切ですが、実際の会話において聞いたり話したりすることがさらに重要です。

公立高の入試問題で「実践的コミュニケーション能力を問う問題」が出ている以上は、中学生もそれに対応するような力を身につけておかないといけない、ということになります。

よって、今後残り半年ほどでは、特に読む・書くという点だけではない、リスニングに代表されるような特にコミュニケーション能力を養う問題を中心に対策を進めていくことが大切になるのではないでしょうか。

今回の英語についてのご紹介をもちまして、当シリーズの全5回が終了となります。滋賀県の中学3年生の皆さんの入試対策のお役に立てば幸いです。

浪速中高 中学は新コース体制で再スタート

2012年9月12日 水曜日

浪速中高の塾対象説明会に行ってまいりました。

浪速中高

浪速中高と言えば、昨年10月末以降約半年に渡り関西大との連携に関する話題が毎日新聞によって報道され続けてことが記憶に新しいところですが、こちらのエントリー「浪速中・関西大 連携関係を解消へ」でご紹介をした通り、この4月より正式に関西大との連携関係を解消しています。

この度の連携解消に伴って、以下2つのコース体制として再スタートをきられます。

Ⅰ類:
6年一貫教育、6年間1クラスだけの囲い込みで確実かつ飛躍的に学力アップを図る。中3進級時にⅡ類との入れ替えが行われる。理数科との合同授業なども取り入れて実践力を養成する。内部進学時には理数科レベル以上に到達することを目標とする。

Ⅱ類:
3年コースの位置づけとなり、浪速高の進学を保証しつつ公立高を受験可能(併願私立は浪速高となる)。内部進学を希望する際は普通科Ⅰ~Ⅲ類が対象となるが、成績と希望によっては理数科進学も可能。

中学3年間のカリキュラムはⅠ・Ⅱ類で共通履修とされるようです。

今回の説明会の中で、関西大との連携解消後の動向について「若干苦戦を強いられている」との発言がありましたが、おそらくはこの春からの説明会参加者数や相談件数の低下を指しているものと思われます。今回のコース制変更がどのように受験動向に働きかけるのかが大変気になるところです。

なお、来る2013年度入試における募集定員はⅠ・Ⅱ類とも約35名の計約70名となります。

今春入試では前年から関大約35名⇒約40名、特進約105名⇒約80名、計約140名から約120名と募集定員を減少させていたので、2年続けての定員減となっています。

日程別定員「1次A Ⅰ・Ⅱ類各約28名」「1次B Ⅰ・Ⅱ類各約7名」「2次 若干名」となっています。

当日試験で算数もしくは国語のどちらかで0点があれば不合格となりますので、ご注意を。

高校についてです。

今春の高校入試では内部進学者93名を含む760名が入学され、これで3学年合計男子1,361名・女子597名・総合計1,958名が在籍していることになります。大阪でもトップクラスの「マンモス高校」であることに変わりはありません。

元々男子校だった浪速高が共学化されて久しいですが、今年度の女子入学者数は理数科11名・Ⅰ類25名・Ⅱ類80名・Ⅲ類97名・合計213名となっており、30%弱の女子占有率となっています(内部進学23名を含まず)。

内部進学、という表現が出てきましたので、今春併設中学から内部進学をされた生徒がどのコースへ上がったのか?についてご紹介します。今春内部進学を迎えた93名のコース別内訳は、理数科3名・Ⅰ類7名・Ⅱ類44名・Ⅲ類39名となっています。

2013年度入試における大きな変更点としては「Webでの合格発表が廃止」となる点が挙げられますが、その他に大きな変更点は無く、例年通りの入試が展開される予定となっています。

中学入試と同様に、試験当日1科目でも0点があると不合格になってしまいますので、ご注意ください。

浪速中高の説明会のご紹介でした。

帝塚山中高 大学合格実績が上昇

2012年9月11日 火曜日

帝塚山中高の塾対象説明会に行ってまいりました。

まずは2012年度入試結果です。

中学入試における今春の日程別実志願者数は以下の通りとなっています。

1次:301名(昨年273名)  2次A:842名(昨年727名)  2次B:411名(昨年384名)

コース別の入学者数は以下の通りとなりました。

男子S理35名(昨年45名) 男子英数96名(84名) 女子英数85名(昨年75名)
特進Ⅱ97名(昨年74名) 特進Ⅰ75名(昨年100名)

また、コース別の主な併願校についてもご紹介いたします。こちらは、アンケートで20名以上の記入があった学校としてご紹介いただいたところになります。

男子英数:東大寺学園・西大和学園・大阪星光学院・清風・大阪桐蔭・洛星・奈良学園・高槻・洛南・清風南海・明星
女子英数:四天王寺・清風南海・大谷・洛南・大阪桐蔭・奈良学園・神戸女学院・大教大池田・金蘭千里・奈良女子大附・京都女子
女子特進:大谷・奈良学園・四天王寺・奈良女子大附・大阪桐蔭・近大附属・大阪女学院

高校入試結果です。

男子英数206名(昨年166名)・女子5科631名(昨年562名)という受験者数で、入学者数は以下の通りとなりました。

男子英数17名(昨年10名)・女子英数9名(昨年7名)
女子特進Ⅱ9名(昨年6名)・女子特進Ⅰ8名(昨年8名)

出願者における府県別の構成比率は以下の通りとなっています。私立無償化政策が手厚い大阪府と京都府の構成比率が下がっているのが特徴ですが、特に大阪府にその傾向が顕著に見られます。

奈良県 70.9%(昨年59.2%) 大阪府18.5%(昨年26.9%) 京都府8.0%(昨年10.4%)
兵庫県1.3%(昨年0.8%) その他1.3%(昨年2.7%)

大学合格実績についてご紹介します。

全体の合格実績の中で、難関国公立大の実績を中心にご紹介しますと、東京大3・京都大10・大阪大10・神戸大17・国公立大医学部医学科22(防衛医大2含む)という実績になっています。特に国公立大医学部医学科については前年比147%の伸びで過去最高の数、奈良県で3位・近畿で14位という好結果となっています。

コース別に実績をご紹介します。

男子英数コースからは東京大2(浪人1)・京都大3(浪人2)・大阪大6(浪人1)・神戸大6(浪人1)・国公立大医学部医学科9(浪人6)、国公立大合計は60(浪人28)となりました。

女子英数コースからは東京大1(浪人1)・京都大7(浪人0)・大阪大3(浪人0)・神戸大8(浪人2)・国公立大医学部医学科13(浪人9)、国公立大合計は56(浪人14)となっています。女子英数コースからの大学合格実績で特筆すべきは、学年40位以下の生徒から京都大・神戸大・滋賀医科大といった所にも合格しており、「上位生だけが良い所に通っている訳ではない」ことを証明しています。

女子特進コースからの大学合格実績は、大阪大1・神戸大3を筆頭に国公立大43名で昨年よりも上昇、現役合格率は今春86%となりました。

今春卒業生は「中学入試において奈良県各校が近畿地区統一解禁日に合流した初年度の入学生」の卒業年であり、募集面でかなり苦労した年の入学者です。にもかかわらず大きく実績を伸ばしている点が特筆点です。大変なご苦労の末に実績を向上されたようなので、今回の卒業生を送り出すまでにかなりのノウハウを蓄積されたものと思われます。

ちなみに、来春は男子S理系1期生が卒業する年となっており、今春以上の実績が期待できるとのお話がありましたので、こちらも大変楽しみです。

2013年度入試情報です。

中学入試では、以下のような変更点があります。

①女子英数スーパー選抜クラス(1クラス)を中1から募集開始。
  ⇒ 従来は入学後に編成していたものを入試段階から分けて募集する形になる
②女子特進コースⅡクラスと同Ⅰクラスを1つにまとめて女子特進コース(3クラス)として募集。
③入試科目・配点・問題を全コース・クラス統一。算数は男女英数型をベースに出題。

なお、入試科目は3科4科選択制で、3科は算国理の1.2倍の450点満点で算出。4科は4科合計と算国理の1.2倍で高い方の得点で判定してもらえます。

入試日程については今春から変更はありません。

高校入試ですが、内部進学を含めて女子特進Ⅰは3クラス・他3つのコースは各2クラスの募集となります。外部からは各コースとも約15名を入学者として迎え入れる予定とされておられます。

今春の大学合格実績の上昇が呼び水となって、受験者が増えることが予想されます。帝塚山中高を志望される受験生は注意が必要かと思われます。

2012年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率④

2012年9月10日 月曜日

2012年度滋賀県公立高入試問題各教科の小問別正答率をご紹介し、「過去問対策する上でのポイント」「試験を受けるにあたって注意すべき点」についてご紹介していますこのシリーズ、今回で4回目となります。

これまでは、国語・数学・社会についてご紹介をしています。以下のエントリーをまだお読みでない方はこちらも合わせてお読みください。

2012年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率①
2012年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率②
2012年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率③

4回目となる今回ですが、理科についてのご紹介となります。小問別正答率は以下の表の通りになっています。

滋賀県公立高入試 正答率 理科

2012年度 理科の平均点は100点満点で41.4点(昨年46.0点)でした。

滋賀県教育委員会が発表している解答の分析の一部を以下にご紹介します。

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大問1では、光合成が葉緑体で行われていることや、光合成に光が必要であることを実験結果を比較して見いだすことなど、光合成に関する基本的な事項を問う問題については比較的正答率が高い。一方、光合成と呼吸における気体の出入りを実験の結果と関連付けて考察する問題では正答率が低く、今後さらに基礎的・基本的な知識を活用して考察する力の育成が望まれる。

大問2では、化学電池におけるエネルギーの変換や原子がイオンになるしくみについて問う問題では正答率が高く、化学電池の電極で起こる化学変化についての基礎的な事項はおおむね理解できているといえる。一方、中和反応における酸やアルカリの性質とイオンとの関係を実験の結果と関連付けて考察する問題では比較的正答率が低く、今後は複数の実験結果を関連付けて科学的に考察する力の育成が求められる。

大問3では、実験操作の意味や温度上昇から熱量を求める問題、太陽エネルギーの量と南中高度の関係について考察する問題において正答率が低い。今後は、実験操作の意味をしっかりと捉えさせたうえで実験を行うことや、観測結果から得られたグラフや調べたデータを活用して考察する力の育成が求められる。

大問4では、電流が磁界の変化によって生じることや、電流と電圧、抵抗の関係を問う問題については比較的正答率が高い。このことから、電流と電圧についての基礎的な事項を理解することは、おおむね達成できていると考えられる。一方、実験結果から豆電球の明るさと電力の関係を考察することや、電力と運動エネルギーの関係を実験結果と関連付けて考察し説明することなどの問題については正答率が低く、今後は実験結果を分析し、的確に表現する力の育成が求められる。

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毎年の傾向ではありますが、他教科同様、基礎的・基本的な事を出題する問題がある一方で、自然現象などについて科学的な見方や考え方が出来るかどうかや、身のまわりの物や現象を調べたり実験を通して理解したり、といったことが出来ているかどうかについてもしっかりと見られています。

「全体として、個々の基礎的・基本的な事柄や概念についてはおおむね理解できているといえる。しかし、事物・現象を科学的に考察し認識する力、および考察や認識を的確に表現する力はやや弱いと考えられる。今後も自然や日常生活に見られる事物・現象に進んで関わり、基礎的・基本的な知識をもとに目的意識をもって科学的に探究し、考察したことを的確に表現する活動を通して、科学的な思考力や判断力、表現力を育成することが求められる。」という滋賀県教育委員会の指摘の通り、基礎・基本的な事を問われるような、いわゆる「知識問題」の正答率が高い一方で、そういった知識を使いながら科学的な考えや判断をすることが問われている問題の正答率が低い、という傾向です。

普段の生活で見られる物や現象を意識して観察したり知識を得たりする、という学習が今後の対策においてポイントとなるのではないでしょうか。また、こういった身近な物や現象を題材として扱った練習問題を数多くこなすことも良い対策となるでしょう。

次回はこのシリーズの最後となる英語についてです。

2012年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率③

2012年9月7日 金曜日

2012年度滋賀県公立高入試問題各教科の小問別正答率をご紹介し、「過去問対策する上でのポイント」「試験を受けるにあたって注意すべき点」についてご紹介していますこのシリーズ、今回で3回目となります。

これまでは、国語と数学についてご紹介をしています。以下のエントリーをまだお読みでない方はこちらも合わせてお読みください。

2012年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率①
2012年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率②

3回目となる今回ですが、社会についてのご紹介となります。小問別正答率は以下の表の通りになっています。

滋賀県公立高入試 正答率 社会①

滋賀県公立高入試 正答率 社会②

2012年度 社会の平均点は100点満点で46.7点(昨年52.7点)でした。

滋賀県教育委員会が発表している解答の分析の一部を以下にご紹介します。

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大問1は、略地図や資料をもとに、気候や、緯度と経度などの理解をみるとともに、日本の各地方の産業や世界の国々の貿易の特色について、考察し判断する力や適切に表現する力をみる問題であった。日本の各地方の産業について表やグラフ、地図から読み取る問題では正答率が50%以上であり、日本についての基礎的・基本的な事項の理解はおおむねできているといえる。しかし、緯度と経度、世界の国々の貿易の特色を世界地図や表から読み
取る問題では正答率が低く、今後は世界についての基礎的・基本的な知識を身につけ、世界地図や資料を適切に読み取り、表現する力を育てていく必要がある。

大問2は、表や資料、略地図をもとに、歴史の大きな流れや各時代の特色についての理解をみるとともに、わが国の文字や情報伝達の歴史について、考察し判断する力や適切に表現する力をみる問題であった。各時代の特色についての理解をみる問題については正答率が高く、基礎的・基本的な事項の理解はおおむねできているといえる。しかし、歴史の流れについて考察して判断し、説明する問題では正答率が低く、歴史の大きな流れを理解し、適切に表現する力を育てていく必要がある。

大問3は、図や資料をもとに、政治のしくみや日本国憲法などについての理解をみるとともに、経済と生活の関わりや福祉について、考察し判断する力や表現する力をみる問題であった。日本国憲法や経済と生活の関わりについての理解をみる問題では正答率が高いが、厚生労働省や国政調査権を答えさせる問題の正答率が低く、公民分野における基礎的・基本的事項の理解にはやや偏りがあることがうかがわれる。また、滋賀県の条例をもとに福祉について説明させる問題では正答率が低く、今後は、地域の課題について日頃から関心をもち、自らの生活との関連を考えさせるとともに、適切に表現する力を身につけられるような指導が望まれる。

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地理・歴史・公民の3分野からバランスよく出題されており、各種の資料を活用して考察させたり判断させたり、表現する力をみる内容が目立つ出題となっています。また、問題量も適切な量となっており、極端に難しいあるいは簡単な作りになっていない良問です。

滋賀県教育委員会からは「全体的に、地理、歴史、公民の各分野における基礎的・基本的事項についてはおおむね理解できている。しかし、資料からさまざまな情報を読み取り、適切に表現する力を身につけさせることが必要であり、基礎的・基本的な知識・技能を活用し、社会的事象を多面的・多角的に思考・判断して、表現する力を育成する指導が望まれる。」という指摘も出ています。

知識的な問題の正答率は全般的に高いのですが、資料を読み取って適切に表現する力を試される問題では正答率が低い、というのが特徴です。

残り半年の間は、資料からいろいろな情報を読み取る力と、読み取った情報を自分の言葉で上手く表現する力、この2つをしっかりと身につけるように対策を進めて欲しいと思います。もちろん、基礎・基本となる各分野の知識も身につけながら。

次回は理科についてご紹介します。

報徳学園中高 リーダーを育てる男子校

2012年9月6日 木曜日

報徳学園中高の塾対象説明会に行ってまいりました。

報徳学園中高

まずは大学合格実績からご紹介いたします。

今春は373名が卒業され、うち国公立大42名(防衛大1次合格15名は除く)、関関同立115名という合格者数の結果となりました。

国公立大は現役26名で現役率61.9%(昨年69.0%)で、京都大・大阪大・神戸大に合格者を出す、という結果になりました。

関関同立は昨年98名から持ち直してはいるものの、2年前の140名が近年の合格者数のピークなので全盛期と比較すると少し足りない、というのが率直な感想です。大学個々の合格者数を見てみますと、関西大が昨年40名⇒今年65名と増加している一方、関西学院大の合格者数が昨年29名⇒今年16名と約半分にまで減少しているのが気になるところです。

産近甲龍では近畿大18・龍谷大12・京都産業大11・甲南大5という結果になっていることも合わせてご紹介しておきます。

さて、教育内容についてです。

中学にはⅡ進とⅠ進の2コースあります。

Ⅱ進は「週38時間授業」「中学内容は2年間で終了」「高3の1年間は大学受験準備」「土曜は学習Dayと称して4時間ぶっ通しで同じ科目を学習(英数国で実施)」「早朝テストと連動したパワーアップ補習」といった徹底的な学習指導が特徴です。

Ⅰ進は「月水木はクラブの代わりにステップアップ補習が必修」「学力に応じた授業レベルを自由選択可能な習熟度別授業(英数国、レベルは3段階、高1まで実施)」といった点が特徴となっています。

Ⅰ進からⅡ進には中2・3進級時に転コース可能ですが、Ⅱ⇒Ⅰへ下がることは認められていないそうです。

Ⅰ進は中3から「Ⅰ進選抜」と通常の「Ⅰ進」の2つに分けられ、前者は難関国公立大を目指す内容にシフトするようですから、Ⅱ進へ上がることが出来なくても難易度の高い大学を狙うのに充分な授業を「Ⅰ進選抜」で受けることが可能となっています。

高校は「選抜特進」「特進」「進学」の3コース制です。

選抜特進ではきめ細かな指導と生徒の志望にあう納得の進学指導が特徴で、国公立大への現役合格を目指すコースです。月~木は17時半まで放課後補習が実施、指定校推薦は使用不可、クラブ活動も若干の制限があるようなので注意が必要でしょう。土曜日の授業もあるようです。

特進は早い段階から進路説明会・大学見学会・勉強合宿などで進学意欲を高め、国公立・難関私大を目標とするコースです。水・木の7限目を放課後補習の時間とし、指定校推薦枠使用可能、クラブの制限は選抜特進よりも緩やかである、という所なので、選抜特進を受験出来るような力を持っている受験生でクラブ活動や指定校推薦枠のことを考えてあってもあえてこの特進にチャレンジする方もいるのではないでしょうか。土曜授業は選抜特進と同じく実施されています。

進学コースは授業第一主義、勉強とクラブの両立、学習習慣の確立と進路実現で現役進学を目指すコースです。放課後補習や土曜授業が無い分、クラブ活動に打ち込めるというのが他のコースとの最も大きな違いです。指定校推薦枠はもちろん使用可能です。

各コースから上位のコースへ向けたコース変更は2年進級時に可能となっています。進学⇒選抜特進へのコース替えも例年数名いるようです。

2012年度入試結果です。
中学入試結果ですが、今年の受験者数等は以下の通りとなっています。

Ⅱ進:受験者数99名(昨年122名)⇒合格者数33名(昨年53名)⇒入学者数15名(昨年36名)
Ⅰ進:受験者数148名(昨年161名)⇒合格者数173名⇒入学者数125名(昨年129名)
(Ⅰ進合格・入学者数は回し含む)

受験者数・入学者数ともに減少していますが、特にⅡ進の入学者数が半減以下になっているのは6年後の大学合格実績に大きな影響を与えるはずなので、痛いところです。

また、数字には表れていませんが、初日での受験⇒入学が大半を占めているそうです。

今春より設けられた特待生制度についてですが、3名に特待生の権利を与えたものの全員が他校を選択された結果、実際には特待生としての入学者は0名となったそうです。来年度入試においても3名程度の特待生を考えているそうです。

高校入試結果については1点だけ特筆点があります。今春より特進と選抜特進の問題を同一のものにしていた関係で、特進の合格最低点を専併ともに約15点下げている、ということです。

2013年度入試に向けてです。

中学入試ですが、入試日は昨年と同じ位置取りとされています。

兵庫県で今年から実施解禁となっているプレテストですが、報徳学園中は今年から実施されることを正式表明されています。11/17に実施されることになっています。

中学入試の問題の出題内容についてですが、Ⅰ進とⅡ進の共通問題が50%、残り50%はそれぞれのコースで問題が異なるものになるようです。ご注意ください。

最後、高校入試についてです。

専願者を対象として最大30点の加点がされる「I方式」というものがあります。どういった資格が加点に結びつくのか?などなど、詳細については学校の先生に確認してください。

なお、学校成績が評定5である子、模試偏差値が65以上の子の場合、特待生での合格の可能性が高くなります。こちらもご興味がある方は報徳学園高の先生に一度お尋ねになってみてください。

「リーダーを育てる男子校」というスローガンの下、学習指導を中心にして堅実に取り組まれている報徳学園中高の様子でした。

京都産業大学附属中高 移転で見込まれる受験者数の増加

2012年9月5日 水曜日

京都産業大学附属中高の塾対象説明会の様子をご紹介します。

京都産業大学附属中高

今年度より新校地(京都市中京区中堂寺)へ移転しており、塾対象説明会の場所も新たにこの場所で実施となりました。

京都産業大学附属中高は今年度で開校6年目をお迎えになられており、いよいよ中学1期生が高3となり中高一貫教育の真価が問われる時がやってきています。

また、今春卒業生は京都成安中の最後の入学者が卒業を迎えた、という節目を迎えています。

まずは大学合格実績についてです。

今春は296名が卒業され、特進から73名、進学コース内の文理コースから26名、同コース内KSUコースから197名、という構成となっています。

国公立大57名合格(浪人3名含む)⇒49名入学、大阪大の受験者が多かったようだがあまり通らなかったそうです。

関関同立104名合格(浪人5名含む)⇒12名入学、昨年は176名合格だったので大幅減。特に関西大が昨年60名⇒今年19名と大きく後退しているのが特徴です。

京都産業大へは内部進学で183名が合格。内訳は180名がKSUコースから、特進から1名、文理から2名も。それに加えて外部受験経由では37名が合格しています。京都産業大への合計の入学者数は185名となったそうです。

京都産業大への内部進学についてですが、高3の9月にKSUだけでなく文理や特進も含めて全コース対象で希望を募るようです。内申基準を設けていない一方で「希望すれば他大学受験は不可」となる点注意が必要です。学部・学科の希望はKSUコース生が優先で、成績上位者から選んでいくことになることになっています。ちなみに、人気の学部は理系の各学部と外国語学部だそうです。

特進コースでは75%(昨年73%)、文理コースからは35%がそれぞれ国公立大or関関同立に合格した、という統計もご紹介いただいています。

2012年度入試結果です。

まずは中学入試結果から。開校から3年間は70名の募集、それ以降は90名の募集で展開されておられます。

今春受験者数は567名、これまで一番少なかった受験者数である2年前の439名から回復傾向にあります。日程別に受験・合格者数を見ますと・・・

A日程:87名受験、56名合格
B日程:319名受験、187名合格
C日程:161名受験、71名合格

となっています。特にC日程受験者の中には洛南高等学校附属中の併願者が2名居た模様です。

最終的に今春入学者数は100名となりました。男子が多い傾向で、あまりこれが続くようであれば男女別募集に踏み切る可能性もある、とのお話がありました。今後の動向を見守りたいと思います。

さて、その100名の入学者中、8名が全額特待生、3名が半額特待生、1/3特待生が5名、合計16名が特待生として入学されています。2割弱が何らかの特待生として迎えられているわけですから、結構高い比率ではないでしょうか。

高校入試結果です。

今春は専願285名(昨年332名)、併願694名(昨年657名)、合計979名(昨年989名)の受験者数を集められました。移転をアナウンスした昨年度入試で受験者数が前年から大きく増えていますが、その傾向が今年も続いた形となっています。

ただ、受験者数が増えた分、残念ながら専願で53名・併願で32名が不合格になっています。

今春入試における特待生の当日得点ラインは以下の通り。

全額免除 専願約73% 併願約76%
半額免除 専願約71% 併願約74%
1/3免除 専願約68% 併願約70%

2013年度入試に向けてですが、中高ともに特に変更点はありません。ただ、特に高校入試に関しては合格に必要なレベルが少々上がっている気がしますので、その点はご注意いただきたいと思います。校地移転によりアクセス面が大きく改善されただけでなく、新校舎で学習・生活できる点が人気を呼ぶことが十二分に考えられますから、昨年・今年以上の難易度になることも想定した学習を進めてほしいところです。

摂南大 2つの学部・学科で定員増へ

2012年9月4日 火曜日

8月26日(日)に寝屋川キャンパスで開催された、摂南大のオープンキャンパスにお邪魔してきました。

摂南大

今年2012年度の総志願者数は18,450名で、昨年から326名増加しています。また、過去6年分の志願者数をご紹介いただきましたが、下記の通り5年連続の増加となっています。特に看護学部だけで1,316名もの志願者数を集めたのが最大の特徴です。

2007年度 8,881名 ⇒ 2008年度 12,691名 ⇒ 2009年度 13,083名
⇒2010年度 15,377名 ⇒ 2011年度 18,024名 ⇒ 2012年度 18,450名

また、一般及びセンター利用入試のみの志願者数は12,248名となり、関西地区では関関同立・産近甲龍に次ぐ9番目の志願者数となりました。ちなみに、10位以下の大学は佛教大(12,012名)・大阪工業大(11,272名)・武庫川女子大(10583名)と続きます。ご参考までにご紹介します。

さて、2013年度入試の変更点を以下にまとめます。

①募集定員が増える。経済学部で200名⇒220名へ、理工学部生命科学科が60名⇒80名へ。
②今春新設された看護学部で公募推薦入試(A日程)とセンター利用方式が新導入。特に公募推薦は英語+数学ⅠAor生物Ⅰの2科で受験可能。
③一般入試(C日程・センター利用方式)に特別奨学金制度を新設。成績上位者について、募集定員と同数の47名を特別奨学生に認定し、各学部とも年間授業料相当額を特別奨学金として給付。

①の定員増についてですが、今春は看護学部が新設されて定員が増えたにもかかわらずその他学部の募集定員は一切変わっておらず、看護学部分の定員100名が純増する形となりました。来春に向けても他学部の定員変更が無いので、またしても40名分が純増することになります。定員が増えるということは、合格の可能性も高くなることですから、大歓迎です。

最後に、入試問題の特徴を簡単にご紹介しておきたいと思います。

公募推薦と一般入試の両方に共通することですが、過去に出題されたものとよく似た傾向の問題が出題されることが多く、過去問演習の量で差がつくと思われます。

難易度的には基本的なレベルの出題が多数を占め、広い範囲からバランス良く出題されているのが特徴。教科書を中心にして基礎学力を身に付け、大学が発行している入試問題集の「問題分析&学習アドバイス」に従って対策すれば点数増加の近道となるでしょう。

摂南大のオープンキャンパスで聞いてきた、様々な入試情報でした。

2012年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率②

2012年9月3日 月曜日

2012年度滋賀県公立高入試問題各教科の小問別正答率をご紹介し、「過去問対策する上でのポイント」「試験を受けるにあたって注意すべき点」についてご紹介していますこのシリーズ、今回で2回目となります。

初回はこちらのエントリー「2012年度滋賀県公立高入試 教科別平均点と小問別正答率①」で、国語についてご紹介をしています。

2回目となる今回ですが、数学についてのご紹介となります。小問別正答率は以下の表の通りになっています。

滋賀県公立高 数学

2012年度 数学の平均点は100点満点で43.2点(昨年45.0点)でした。

滋賀県教育委員会が発表している解答の分析の一部を以下にご紹介します。

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大問1の数と式の計算、方程式、関数の基礎的・基本的な問題については正答率が比較的高く、よく理解できていた。サッカー場でゴールに向かってシュートを打つことを素材とした問題は、弦の垂直二等分線と円周角の定理の逆を利用して等しい角度となる点を作図する内容であったが、正答率が低かった。作図の方法を図形の対称性に着目して、見通しをもって作図をする力の育成が求められる。

大問2のガス会社の料金表をもとに、使用量と料金について、関数関係を見いだす問題の正答率は高かったが、グラフや式に表して考察する力や数学的に処理する力をみる問題は正答率が低かった。日常生活における事象について、与えられた条件を的確にとらえ、グラフに表す力、事象を数理的に考察する力の育成が望まれる。

大問3の折り紙を折ってできた八角形をもとに、三角形の合同や相似条件、三平方の定理などを用いて、平面図形の性質について、考察する力や数学的に処理する力をみる内容であったが、正八角形の一辺の長さ、相似の証明や条件を満たす図形の求積の問題は正答率が低かった。与えられた図形の性質について直観的にとらえたり、見通しをもって論理的に思考し、根拠を明確にして推論の過程を的確に表現する力の育成が求められる。

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問題全般についてですが、数と式の計算に代表されるような基礎的・基本的な問題だけでなく、思考力をみる応用問題まで出題されています。出題分野についても関数、方程式、図形、確率等ほぼ全分野の出題が見られますので、非常にバランスがよくとれた問題になっています。また、身近な題材から数学的な思考力を問うような工夫が多くみられるのも特徴です。

一方で、全体的に説明の文章が多く(長く)、内容を把握するのが難しいと感じた受験生も多くいたのではないかと考えます。読解力の差が数学の出来にも影響を与えたかもしれませんね。

また、滋賀県教育委員会からは全体の講評に「数や式の計算、方程式、関数、図形の計量等の基礎的・基本的な事項や概念についてはおおむね理解できているといえる。今後は、断片的な理解や知識の習得にとどまることなく、課題解決の過程で、数学の各領域の内容を関連付けて活用する力を高めるとともに、言葉、数、式、図、表、グラフを用いて考えたり、説明したりするなどの学習活動を積極的に取り入れながら、数学的な思考力・判断力・表現力を育成することが望まれる。」と記載しています。

いろいろな考え方を用いて解く必要がある図形の問題に代表されるような、数学的な思考力・判断力・表現力が必要な問題になると正答率が低くなっている、ということです。この部分の力をつけることが、今後他の受験生と大きく差をつけるポイントになるでしょう。残りの半年ではここを意識して対策を進めましょ う。

次回は社会についてご紹介いたします。