大阪府中学内申 「絶対評価」を最短で2016年度入試より導入

2013年4月15日 月曜日

2013年3月末に、大阪府の中学校で「絶対評価」が導入される具体的な年度(予定)が明らかになりました。

以下、この件に関して報じた新聞記事を引用します。

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中学内申「絶対評価」導入へ、最短で28年度入試から 大阪府教委(2013年3月28日 産経新聞)

大阪府教育委員会議が28日、府庁で開かれ、全国で唯一、相対評価方式を採用している中学校の内申書の成績評価について、最短で平成28年度の高校入試から絶対評価方式に切り替える方針が決定された。府教委は25年度中に内申書の様式や取り扱いを検討し、評価基準に関する参考資料の作成や研修準備を始める。

早ければ、4月に中学に入学する新1年生の高校入試から絶対評価が適用される。導入時期を28年度以降とした理由について、府教委は入試を控えた中学生に与える影響と、評価を付ける教職員の研修期間を考慮したとしている。

相対評価方式は、内申点を付ける際、一定の割合を割り振る仕組み。府の場合は10段階で、成績上位3%の生徒が最高評価の「10」を得るが、下位3%の生徒が必ず「1」を受ける。仮に同じ学校に通う同級生の学力が高ければ高い内申点は取りづらいのが欠点だ。

一方、絶対評価は周囲の生徒の成績に影響されないのが利点。ただ、府教委の調査では、点数が上位に偏って生徒間の差がつかず、結果としてテストの成績で合否を判断せざるを得なくなる傾向があるという。

文部科学省の通知を受け、大阪を除く46都道府県は18年度までに相対から絶対評価に切り替えており、松井一郎府知事や橋下徹大阪市長も絶対評価への変更を求めていた。

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ということで、早ければ今春中学校に入学した方たちが高校入試を迎える際には「絶対評価」によって内申書の成績評価が行われることになります。

ここ近年10年ほどの間に、全国の都道府県は相次いで相対評価から絶対評価へと切り替えてきています。大阪府は全国で最も遅い切り替え、となります。

絶対評価になることで気をつけなければいけないこともあります。先に絶対評価へ切り替えた都道府県の1つ、愛知県では、絶対評価導入によって「内申点のインフレ化が進み、学力を過信した受験生が上位の進学校に殺到」するという状況になり、導入初年度には中学浪人まで出てしまった、という事実もあるようです。

そういった前例を見た後で絶対評価に切り替えることになった兵庫県では、学校や地域で評価にばらつきが出ないことを目的として、切り替え初年度に向けて教科ごとに評価基準を作り県内の全中学校に配ったようです。

このように、絶対評価への切り替えは相当な事前準備が必要になりますし、それでもやはり愛知県のように大きな混乱が起こることが予想されます。絶対評価への切り替えに向けて、大阪府では今後もいろいろと検討が行われることと思います。今後もこの件については多くの情報が出てくると思われますので、こちらのブログでもご紹介をしていく予定です。

東京女子大 キャリア・イングリッシュ課程

2013年4月12日 金曜日

2013年3月29日(金)に開催されました、東京女子大のオープンキャンパスにお邪魔してきました。

初代学長はかの有名な新渡戸稲造で、学内には登録有形文化財が多数あり、長年に渡り著名な研究者・小説家などを輩出している、というのが東京女子大の特徴です。特に、同大出身のアナウンサーが多い気がします。

東京女子大は「リベラルアーツ教育」を柱としており、学部は「現代教養学部」1つ、その中に4学科・12専攻が置かれています。以下、各学科の特徴と、各学科に置かれている専攻の構成です。

人文学科
哲学・文学・史学を学び、豊かな人間性を持ち新しい知性と文化を担う
哲学専攻・日本文学専攻・英語文学文化専攻・史学専攻

国際社会学科
社会科学的手法を用いて、今日の社会を世界視野でとらえ地域社会・国際社会で活躍する人になる
国際関係専攻・経済学専攻・社会学専攻

人間科学科
ことば、こころ、コミュニケーションを学び、人間・社会・世界を科学的に探究し、人間のあり方を考える
心理学専攻・コミュニケーション専攻・言語科学専攻

数理科学科
数学、情報学、自然科学の専門知識を学び、幅広いニーズに応える人を目指す
数学専攻・情報理学専攻

特に最後にご紹介した数理科学科ですが、私立女子大の数理科学系学科としては最も長い歴史を持つそうです。

図書館にもいろいろと工夫がなされています。東京女子大の図書館にはグループで議論や学習等が出来る「グループ閲覧室」、飲食可能な空間である「リフレッシュルーム」、企画発表やその準備に使用する「プレゼンテーションルーム」が設けられているようです。

東京女子大が最も「ウリ」とされている教育内容が「キャリア・イングリッシュ課程」ではないでしょうか。

東京女子大が特に充実・力を入れているのが英語教育で、中でも特筆すべき取り組みが「キャリア・イングリッシュ課程」です。これは、1年次の希望者の中から60名を選抜、2~4年次の3年間で各自の専門分野の学習と並行して「英語で自己を発信する力」「行動的な英語力」を育成するものとなっています。

この60名に選抜されるための要件としては「1年次の英語6科目6単位を含む30単位以上を取得」「プレイスメントテスト・面接を通過する」ことが挙げられ、この課程を修了するには42単位の取得と実技(プレゼン)の通過が必要となっています。

この課程を修了した卒業生をこれまで5回輩出しておられるそうですが、「(外資・公的な所も含めて)銀行が多い」「総合職での採用が多い」「就職先決定時期が他の学生よりも早い」といった就職面での特徴があることから、優秀な学生の育成に成功していると思われます。

なお、残念ながらこの課程生とはなれなくても、「キャリア・イングリッシュ・アイランド」という部屋があり、そこでは全学生が自由に参加できる英語やキャリアのための啓発活動等には参加が可能となっています。

2013年度入試結果を最後に簡単にご紹介します。

今年度入試より2/3・4に入試日を前倒しされておられますが、それがどの程度影響したのかはわかりませんが、志願者数が一般入試で663名増、12個の専攻のうち9専攻で志願者が増加、という結果になりました。

ちなみに、今春の一般入試で全専攻中最も高い合格最低点なのが心理学専攻(258/400)で、次いで社会学専攻(257/400)・国際関係専攻(252/400)が続きます。

名門女子大である東京女子大の様子をご紹介しました。

四天王寺中高 中高ともにコース新設

2013年4月11日 木曜日

四天王寺中高が、中高それぞれにコースを新設されることが明らかになりましたので、お伝え致します。

まずは、中学校の情報です。

中学はこれまで「英数Ⅱ」「英数Ⅰ」の2コース制で運営をされてこられましたが、それらに加えて「医志」なるコースを新設し、3コース体制とされます(画像をクリックするとPDF文書が開きます)。

【新設コース名】医志
【募集定員】35名×1クラス
【コース詳細】人を救う心の教育を大切に実践し、医学・薬学などの医療関係への進学を志す
【その他ポイント】医志コース志願者は英数Ⅱ・英数Ⅰへの回し合格あり、中2・3生進級時に英数Ⅰ・英数Ⅱから医志へ若干名の変更が可能

なお、今回のコース新設に伴い、英数Ⅱの募集定員が135名から90名に減ることになります(英数Ⅰの定員には変更がありません)。

続いて高校の新コースに関してです。

高校は「英数」「スポーツ・芸術」に加えて、今回新たに「理数」コースが新設され、こちらも3コース体制となります(画像をクリックするとPDF文書が開きます)。

【新設コース名】理数
【募集定員】約30名(1クラス)
【コース詳細】医歯薬・理系の最難関国公立大を目指す
【その他ポイント】理数コース志願者は英数コースへの回し合格あり、高2進級時に目標に応じてコース変更が可能(英数から理数への変更も可)

こちらも中学同様、新コースの設置に伴って既存の英数コースで募集定員が従来の約120名から約90名へと減少になります。ご注意ください。

そして、高校では2014年度入試より5教科入試から3教科(英数国)入試一本へと変更になることも決定しています。公立トップ10の文理学科を意識しているのでしょうか。

中高ともに「医歯薬系への進学」を大きく前面に打ち出した新コース、大変注目が集まります。

大阪女学院中 2013年春のオープンキャンパス

2013年4月10日 水曜日

大阪女学院中が、毎年恒例の春のオープンキャンパスを開催されます。詳しくは以下の通りとなります(画像をクリックするとPDF文書が開きます)。

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大阪女学院中 春のオープンキャンパス

日時:
①2013年5月11日(土)9:30~11:00
②2013年6月8日(土)9:30~11:00
③2013年6月8日(土)13:00~14:30
場所:大阪女学院中
対象:小5・6年生女子
内容:授業体験(生徒)、説明会(保護者)

※参加申し込みはホームページにて
※万全を期すため日時・詳細は学校HP等で必ずご確認ください

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大阪女学院中高に関して、当ブログではこちらのエントリー「大阪女学院中高 広く受験生を集めていた頃と比べて」で詳しくご紹介していますので、参考になさって下さい。

京都産業大 卒業生に社長が多い大学

2013年4月9日 火曜日

京都産業大が2013年3月20日(水祝)に実施されましたオープンキャンパスにお邪魔してきました。

まずは、京都産業大の入試全般及びそれについての最新情報について簡単にご説明をします。

2013年度入試は、総募集定員2,760名に対して総合格者数は10,879名となっています。ちなみに、2013年度入試における各入試制度別の募集定員比率は以下の通りとなっています。

推薦入試(指定校・スポーツ等含む) 約44%
一般入試前期 約45%
一般入試後期 約5%
センター試験利用入試前期・後期 約6%

京都産業大では2013年度入試より、インターネットで出願すれば1出願ごとの検定料が5,000円割引となる「ネット割」を新導入されており、これまでは10%にも満たなかったインターネット出願が今春ではトータルで7割程度になったそうです。

公募推薦入試において学校の成績(調査書)を80点満点として点数化する「総合評価型」ですが、評定平均値3.8以上になると高い合格率になっている様子です。

最新の情報です。2014年度入試に向けて現在この「調査書80点」の部分を見直しているようで、変更が生じる可能性が高いです。高校3年生の皆さんは、6月に発行・配布となる入試要項に注意しましょう。

続いては一般入試に関する話題です。一般入試には前期と後期の2種類ありますが、一般前期では特待生制度(正式名称 入学試験成績優秀者学費減免)があり、2013年度入試では77名が対象となったそうです。いわゆる特待生での大学進学を目指している方は、京都産業大に関しては一般前期でそのチャンスがありますので、一度確認してみてください(2014年度入試では詳細が変更になる場合がありますのでご注意ください)。

京都産業大と言えば「就職に強い」という評価が昔から高いことで有名ですが、その就職関連の話題をいくつかご紹介します。

アサヒグループホールディングス、ヤマトホールディングスの社長は京都産業大ご出身であることを筆頭に、京都府内企業の社長の出身校では同志社大・立命館大に次いで第3位、全国規模での同様の調査においても26位と、出身者に社長が多い大学となっています。開学して間もなく50年ということで、他の大学に比べて「歴史・伝統がある」というわけでもなく、日本大や近畿大のように学生数が多い大学でもない京都産業大ではありますものの、これだけ社会の第一線で活躍されている方がおられる、ということは驚きに値します。

さて、今就職活動を行っている4回生の皆さんについてです。2010年度に設置された総合生命学部の1期生が現在4回生となっており、今就職活動の真っ最中だそうです。就職実績が注目されるところです。来年春のご報告に期待しましょう。

同志社系列4中高合同説明会 当日の様子

2013年4月8日 月曜日

こちらのエントリー「同志社系列4中高合同説明会 2013年度は3月に西宮で開催」でご紹介をしました、同志社系列4中高合同説明会の様子をご紹介します。

会場は阪急西宮北口駅すぐにある、西宮プレラホールでした。

当日は上の画像にあるとおりの順番で発表が行われました。1校大体30分の発表時間でした。

各校が発表された内容のうちで、特に特徴的なものについて以下にご紹介いたします。

同志社国際中高
・1980年に高等学校、1988年に中学校が開校と、同志社系列中高の中では最も後発
・在籍生の割合としては帰国生が2/3、一般生が1/3
・帰国生に対する英語の授業は一般生のそれとは異なり、Sa・Sbクラスという習熟度の高いクラスを編成
・約90%が推薦制度で同志社大・同志社女子大に進学、希望者は100%内部進学を果たしている
・残りの10%は海外や国内の他大学を受験、現役での大学進学率は毎年99%

同志社香里中高
・2010年度より週6日(32時間)を開始
・長きに渡って行われていた校舎・設備のリニューアルも2013年3月をもってすべてが終了
・学内にプールがあるのは、系列4中高の中で同志社香里中高だけ
・約95%が推薦制度で同志社大・同志社女子大に進学

同志社女子中高
・系列4中高で唯一「コース制」を導入している
・LAは系列大への内部進学を基本としつつ他大学受験可能、WRは他大学(理系)への進学を目指す
・コース変更は中3・高1それぞれへの進級時に可能
・中学3年間は基礎学力の定着を目指すためLA・WRを混成するが、WRのみ土曜も「特別授業」として5時間あり
・高校に上がるとコース別にカリキュラムを分ける
・約90%が推薦制度で同志社大・同志社女子大に進学、同志社大への内部進学がほとんどで、同志社女子大へは内部進学者全体のうち5%程度
・97~8%が現役で大学へ進学する(浪人は毎年10名程度)

同志社中高
・生徒は自分の「クラス」にじっとしているのではなく、すべての教科で複数設けられている「教科専門教室」にその都度移動する「教科センター方式」を採用
・学園祭の日程を分けるなど、あえて中高を分けて運営しており、中高6年間で「最上級生」を2度経験させている
・約85%が推薦制度で同志社大・同志社女子大に進学と系列4校の中で最も割合が低いだけでなく、2013年度実績では同志社女子大への進学者はゼロ
・他大学のうち、国公立大には今春京都大3を含む24名が合格

開成教育グループにお通いの皆さんには、更にお耳に入れておきたい情報がございます。

(さらに…)

女子の憧れ キャビンアテンダント採用数ランキング07~11

2013年4月5日 金曜日

女子の憧れ キャビンアテンダント採用数ランキング」でご紹介したランキングですが、年間を通してアクセスが多い記事となっています。

今回のエントリーは、そのデータに最新の採用数を加算した、07~11年の合算での採用数ランキングをご紹介します(画像をクリックすると拡大します)。

並んでいる大学名を見ていますと、首都圏の大学に偏っているということも無く、トップ5以内に近畿地区の大学が3つランクインしているなど、近畿地区の大学も数多く顔を出しています。

また、ランクインしている大学の顔ぶれを見てみると、早稲田大や関関同立といった難易度の高い大学はもちろんのこと、日本女子大・フェリス女学院大・同志社女子大といった女子大も大健闘しています。

ただ、やはり関西外国語大と青山学院大、この2校の実績がダントツで高いのは前回ご紹介した傾向通りです。

こちらのエントリー「関西外国語大 各科目の出題傾向・対策法」では、関西外国語大が新たに設置をされた最新設備「エアライン演習室」の様子を簡単にご紹介しました。先日も、教科書の学習だけではわかりにくい「緊急時の対応」も含めた授業がこの演習室で実施されたようで、緊急脱出時の乗客の誘導、客室に持ち込まれた不審物の捜索、といった実技を交えた具体的な講義が行われたようです。

こういった実際の航空機の内部を再現した演習室で実に具体的な内容を訓練されている学生と、そうではない学生とでは採用試験時に大きな差が出るのは当然でしょう。

関西外国語大のキャビンアテンダント採用数1位、まだまだ続きです。

大阪薬科大 調査書の扱いが変更になる予定

2013年4月4日 木曜日

大阪薬科大が2013年3月23日(土)に実施されましたオープンキャンパスにお邪魔してきました。

大阪薬科大を一言でご紹介しますと、創立110年もの歴史の中で長く薬学教育を行ってきた実績があり、信頼のおける薬剤師を育成し、医療機関や行政機関や製薬会社などで活躍する人材を輩出してきている、そんな大学です。

6年制となる薬学科(定員270名)と4年制の薬科学科(定員30名)の2学科構成となっていますが、入試段階では6年制・4年制を選ばずに入学でき、4回生進級時に選択が可能となっており、入学段階でのミスマッチが防げることになっています。これは私立大学薬学部では唯一大阪薬科大が持つシステムで、他大学に無い特徴の1つです。ちなみに、大阪薬科大の競合校である京都薬科大と神戸薬科大は6年制のみの設置であり、近畿大や武庫川女子大でも6年・4年併設ではあるものの、入試段階でどちらか一方の学科を選ぶ必要があります。

なお、6年制・4年制の選択は本人の意思を最大限に尊重されており、学科ごとの定員を極端に超過(あるいは定員割れ)してもかまわない、とおっしゃっておられました。

昨年の薬剤師国家試験は全国的に6年制課程生第1期生が受験を迎えていますが、大阪薬科大では98.2%の合格率(全国平均95.3%)になったそうです。

入試関連の話題に移ります。

大阪薬科大では入試を多様化することでより多くの受験機会を提供されておられます。選考に関しては学科試験中心の選抜方法だけでなく、評定平均値を取り入れる形態が多くなっている、というのが大きな特徴です。

各入試形態での募集定員は次の通りとなっています(2013年度入試ベース)。

指定校推薦40名 公募制推薦80名 一般入試Ⅰ70名 一般入試Ⅱ80名
センター利用20名 後期センター利用10名

上記の入試形態のうち、公募推薦・一般Ⅰ・後期センター利用においては調査書が点数化されることになっていますが、2014年度入試に向けて調査書の配点等については見直す方向で現在検討が行われているそうです。続報を待ちたいと思います。

高2生からの「新課程」に対応した入試に関する情報や、大阪薬科大の就職状況や他大学と異なる大きな特徴点についての情報も聞いてきています。

(さらに…)

2月時点就職内定率 文系<理系 男子<女子

2013年4月3日 水曜日

文部科学省および厚生労働省はこの程、大学・短大等の就職内定状況を発表しました。今回のエントリーは、2月時点の大学卒業者の就職内定率データと状況をご紹介いたします。

下のグラフをご覧ください(画像をクリックすると拡大します)。

今回発表されたのは2013年3月卒業予定で就職を希望している大学生の就職内定率です。

2013年2月1日現在で81.7%、昨年同期比1.2ポイント増となり、「就職氷河期」と言われた2000年の81.6%すら下回る年度がここ最近続いていたのですが、ようやくその水準にまで回復してきました。2年連続のポイントアップというのも好材料です。企業が新規採用に積極的になってきたことを示しているのではないでしょうか。

厚労省の推計値によると、大学の2013年3月新卒予定者数は55万5千人。この内、今回のこの調査時点での大学就職希望者数は41万7千人となっています。

この大学就職希望者数というのが調査を重ねる度に減ってきているのですが、その減り幅が昨年度よりも緩やかになっています。以下、今年度数度に渡って調査された際の大学就職希望者数です。参考までに、昨年度の値と比較しながら見てみましょう。

10月1日調査時点 42万5千人(昨年同期 42万5千人)
12月1日調査時点 42万3千人(昨年同期 41万6千人)
2月1日調査時点 41万7千人(昨年同期 40万6千人)
10月から2月の差 8千人(昨年同期 1万9千人)

10月から2月の間に実に約2万人も減っていた昨年度に比べ、今年度は8千人の減少に留まっています。昨年度は新卒予定者の中で就職を諦めたり、大学院や専門学校などへ進学するなどの進路変更をした、という方が多く出ていた反面、今年度は就職にまっすぐ向かった学生が多く出ていることが推測されます。

今回はグラフでのご紹介はしていませんが、文系・理系別の就職内定率も明らかになっています。

文系80.4%(昨年同期+1.0ポイント)
理系87.5%(昨年同期+1.9ポイント)

ということで、これまでも理系が有利だった所に加え、更にまた差が広がる形で文系を突き放しています。「理系強し」の傾向はまだまだ続きそうです。

また、今回特筆すべき点としては、男女の就職内定率に大きな変化が出ている所にあります。以下の数値は、男子・女子に分けて集計した就職内定率状況です。

男子全体81.3%(昨年同期+0.6ポイント)
女子全体82.0%(昨年同期+1.7ポイント)

男子の伸び幅よりも女子の伸び幅が上回り、現時点で男子よりも女子の就職内定率が高く出ています。この傾向は国公立大・私立大に分けて見たときも全く同様に出ています。

国公立大 男子85.8% 女子87.1%
私立大 男子80.0% 女子80.3%

読売新聞の報道によりますと、この時期の調査では調査開始以来初めて女子が男子を上回った、とのことです。

今回の統計の対象となっている学年は、2009年4月に大学に入学した方が中心となっています。その方たちが大学入学直前となる2008年9月15日には、アメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻し、これが世界的金融危機・世界同時不況の大きな引き金となったことは記憶に新しいところです。

その後長きに渡って続く不況の「足音」が聞こえ始めていた頃に学部選びをした、ということになりますが、景気悪化が本格化したのが秋以降だったこともあって、受験生の志望はある程度固まっていたこともあり、最終的な志願動向に大きな変化は生じなかったのがこの学年の特徴ですが、その後の学年に関しては実学・資格系学部の人気が高くなっています。次年度以降の就職内定率にも注目です。

さて、この年の入学者の間では、入試段階では特に理学系・農学系が人気でした。そのこともあって、これらの系統を中心にして理系は全般的に人気、優秀な学生が多数入学していたことが予想されます。

加えて、この理系人気を後押ししているのが女子の存在だったと考えられます。今でこそ理系女子を指す「リケジョ」なる言葉がそこそこ浸透してきていますが、4~5年前は理系を目指す女子がまだまだ今よりも少なかったと思います。そんな中で理系学部に進んだ女子学生が、今春に就職において良い結果を出しているのではないでしょうか。

4月時点の就職内定状況についてもこちらで追ってご紹介する予定です。

同志社女子大 全日空就職者の全員がCAで(11年度卒業生)

2013年4月2日 火曜日

2013年3月24日(日)に行われた、同志社女子大のオープンキャンパスに行ってきました。

当日は今出川キャンパスと京田辺キャンパスの両方で開催されていましたが、今出川キャンパスの方にお邪魔をしてきています。なお、この日は京田辺・今出川両キャンパスあわせて980名が参加されたそうです。昨年同時期のオープンキャンパスでは京田辺・今出川両キャンパス合計で874名だったそうですから、昨年から1割強の参加者数増加となります。

今回は就職関連のお話を中心にご紹介します。と言っても、2013年3月卒業生のデータはまだ集計中とのことで、2012年3月卒業生のものを代わりにご紹介いただいています。

2012年3月卒業生の就職率は「94.2%」であったそうです。私立女子学生就職率91.7%、全国私立大の就職率92.9%、全国の国公・私立大就職率93.6%というデータが厚生労働省などから公表されていますので、それらと比較すると高い値であることがわかります。

同年度には5737件の求人が同志社女子大に送られてきたそうで、1名に対して4~5件の求人があったことになります。これは昨年比47%増となっているそうで、企業の採用意欲が高まっていることを示しているのでないかと思われます。

細かい数値のご紹介は割愛しますが、2011年度実績から2012年度実績で変化があった点は「医療福祉」と「小売」の占有率が高まったところにあるそうです。これは、薬学部6年制化1期生が2012年度に就職を迎え、病院に加えて、「小売」にカテゴライズされる薬局やドラッグストアへの就職が増えたためだそうです。

「採用人数の多い(複数名採用する)企業」として非常に多くの企業がご紹介されたのですが、そのうち、2011年度生は13名が採用されたという全日本空輸(株)に関してはその13名全員がキャビンアテンダントでの採用だった、という驚きの事実もお教え頂きました。

同志社女子大とANAグループのシンクタンクである株式会社ANA総合研究所は2007年に連携協力に関する包括協定を締結しておられます。ANAグループ各社のご協力で、ANAグループ各社の企業概要説明やホスピタリティに関する講義を受け、マナー講座などの実践を行い、実際の職場見学(宿泊を伴う)を通して、ホスピタリティに関する活きた知識を体験学習するという「ANAエアライン・ホテル体験とホスピタリティスキルセミナー」というものも開催されているようです。

こういった実地での学習に加えて、CAでの採用を目指す「エアライン業界対策講座」も学内で開講されている、というのもまた魅力です。

その他、民間企業就職者の過半数以上となる56.6%が大手企業(従業員500名以上)へ就職されていることもあり、同志社女子大学生の就職満足度は「98.2%」という、大変高い満足率になっているそうです。

CAを目指す皆さんだけでなく、大手企業への就職に関しても道を開いてくれる同志社女子大の就職状況です。