大阪市教委 「真の絶対評価」に向けた方針を発表

2015年4月6日 月曜日

2016年度の大阪府公立高入試では、「入試機会の実質の一本化」に加えて「評定が相対評価から絶対評価に移行」という、大きな変更が待ち構えています。

当ブログではちょうど一年前にこちらのエントリー「大阪府中学内申 「絶対評価」を最短で2016年度入試より導入」でご紹介を致しました通り、すでに先行して絶対評価へと移行した都道府県で「内申のインフレ」が起こり、各地で泣きをみた受験生が多数出たことをお伝えしています。

大阪府では慎重に準備が進められていますものの、そのような他県での前例を見ていることもあって「絶対評価への不信感」があるのは事実です。

他県での前例を見ている限り、「絶対評価」を出来るだけ公平・公正なものとするための「指針」が必要だと思われることから、特に大阪市教育委員会は大阪府教育委員会に対し「府内統一ルール」を設けるようにお願いをし続けていましたが、大阪府からは今の所具体的な案が出ていないのが現実です。

そんな状況の下、大阪市教委は「独自の方針」を打ち出し、先ごろ公開をされました。

以下、大阪市教委が発表された文書内にある「独自の方針」と、それを基にして作成された表を以下にご紹介します(画像をクリックすると拡大します)。

1.大阪市においては、中学校間で共通の評価尺度を備えた真の絶対評価を導入するため、第3学年の5教科(国語・数学・社会・理科・英語)について、全ての大阪市立中学校が参加するテスト(以下、「大阪市統一テスト」という。)を2学期に実施することとする。大阪市統一テストの結果は、下記2の通り、各中学校における5段階評価の評点の分布に反映するとともに、下記3の通り、個々の生徒の評定にも活用することとする。また、大阪市統一テストは、次の2つの目的にも活用するものとする。
①生徒が自らの学力を把握し、目標を持ち、学力向上への意欲を高める。
②学校が生徒一人ひとりの学力を的確に把握し、学習指導の改善及び進路指導に活用する。

2.生徒一人ひとりの良さを積極的に評価することにより、各中学校における5段階評価の評点の分布は、以下の通りとする。
(1)評点「5」は、31%の割合を目途とするものとする。ただし、上記1の大阪市統一テストの結果、全市の得点分布において上位31%に入る生徒の割合が31%を超える学校にあっては、当該割合を目途とするものとする。
(2)評点「4」は、38%の割合を目途とするものとする。ただし、上記1の大阪市統一テストの結果、全市の得点分布において上位69%(31%+38%)に入る生徒の割合が69%を超える学校にあっては、当該割合から評点「5」を与える生徒の割合を減じた割合を目途とするものとする。
(3)評点「3」は、24%以内の割合にとどめるものとする。
(4)評点「2」は、7%(ただし、評点「1」を使用する場合は、評点「1」を与える生徒の割合を7%から減じた割合)以内の割合にとどめるものとする。
(5)評点「1」は、使用の必要性を慎重に精査し、3%以内の割合にとどめるものとする。

3.上記1の大阪市統一テストの結果、全市の得点分布において上位7%に入る生徒には、必ず評点「5」を与えるものとする。同様に、全市の得点分布において上位31%に入る生徒には、必ず評点「4」以上を与えるものとする。さらに、全市の得点分布において上位69%に入る生徒には、必ず評点「3」以上を与えるものとする。

4.評定「5」の生徒のうち、特に到達度の高い者7%の割合(ただし、上記1の大阪市統一テストの結果、全市の得点分布において上位7%に入る生徒の割合が7%を超える学校にあっては、当該割合)を目途として、特筆すべき点として文章化し、評定「5」の中でも特に到達度が高い旨を記載するものとする。

5.評定は、「知識・理解」「技能」及び「思考・判断・表現」等の学力を客観的に評定するものとし、「関心・意欲・態度」の評価は、別途、特筆すべき点を文章化して記載するものとする。

上記1~5が大阪市教委が示した方針となります。この度の方針の発表とともに、大阪市ではこの件に関する「Q&A」もリリースされています。このQ&A集は結構「突っ込んだこと」まで記載されており、表現が正しくないかもしれませんが、読んでいて「面白い」ものとなっています。是非ともご一読頂きたいと思います。

以下のリンクから文書をご覧になれます。

http://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000304684.html

また、今回の大阪市教委のこの動きを受けて、大阪府教委でも今後新たな動きが出てくる予感がします。発表になり次第、当ブログでご紹介致します。

 

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