大阪府教委 内申決定統一ルールに「学力テスト」を活用①

2015年4月14日 火曜日

こちらのエントリー「大阪市教委 「真の絶対評価」に向けた方針を発表」でご紹介をしましたとおり、大阪市では「絶対評価」を出来るだけ公平・公正なものとするための「独自の方針」を打ち出し、先ごろ公開をされました。

大阪市のこの動きを受け、大阪府では「府内統一ルール」を近々示すとの見解を示していましたが、4/10金の大阪府教育委員会議にて正式にルールが決定し、発表されました。


大阪府教委、中3内申点に学テ活用を決定 全国初
(2015年4月10日(金)日本経済新聞)

大阪府教育委員会は10日、教育委員会議を開き、国が実施している全国学力・学習状況調査(全国学力テスト=学テ)の結果を、府内公立中学3年生の内申点の基準作成に活用することを正式に決めた。内申点は公立高校入試の合否判定に用いられており、学テ結果が間接的ながら、来春から入試に影響することになる。府教委によると、内申点への活用は全国初とみられる。

文部科学省は学習成果を把握して指導に役立てる学テの趣旨を踏まえると、内申点への反映は疑問だとしている。今年の実施日は21日に迫っており、現場の教員らからは「あまりにも早急な判断だ」と批判も出ている。

内申点について府教委はこれまで、生徒の成績を他の生徒と比較して決める「相対評価」(10段階)を全国で唯一採用していたが、今年度から生徒個人の達成度に応じて決める5段階の「絶対評価」に切り替える。

絶対評価では同じ学力の生徒でも学校によって内申点に高低が生じ、評価のばらつきが生じるおそれがある。このため府教委は「学校間の公平性を担保する仕組み」(担当者)として学テの活用を決めた。

具体的には学校ごとの学テの平均正答率と、府全体の平均正答率を比較。成績が良かった学校は在籍生徒の内申点平均を府平均より引き上げる一方、振るわなかった学校は引き下げる。各校は定められた内申点平均に収まるように、個々の生徒の内申点をつける。

これに対し文科省は「学テは数学と国語(年によっては理科も実施)が対象で、教科数が少なく、生活や学習態度を見るものでもないので、内申点への反映が適切かどうかは検討が必要」(学力調査室)と指摘する。

学テの実施要領は「全国的な学力の把握」や「児童生徒への指導の充実に役立てる」などと定めており、内申点への活用は想定していない。府教委は「内申点をつけるという評価行為も(実施要領が定める)『指導』に当たる」と説明するが、同省は府教委から詳しく聞き取る考えだ。


今回の発表された内容に関して、特徴点や問題点を以下にまとめてみますと・・・

特徴点
・1月に実施される「チャレンジテスト」の結果を基にして「府全体の評定平均」を定める
・「全国学力・学習状況調査結果」の平均正答率を活用し、大阪府全体の平均と各中学の平均の「比」を計算し、各中学校の「評定平均の目安」を定める
・その「評定平均の目安」の±0.30以内を「評定平均の範囲」とし、学校全体の平均がその範囲に収まるように各中学校で評定を確定する

問題点
・「全国学力・学習状況調査結果」の本来の趣旨から逸脱しているのでは、という声が(特に文科省から)ある
・「全国学力・学習状況調査」は国語・数学(に加えて今年は理科も実施)という特定教科のみの実施であり、それが9教科の内申決定に使用されて適当なのかどうか?
・決定が急で、生徒・保護者に周知徹底が出来ていない

というところでしょうか。

特に「全国学力・学習状況調査の活用」は全国に例がないだけでなく、文科省からは「活用方法が想定しているものから外れている」との指摘が出ており、全ての方面で問題がクリアになっているとは言えない中身である、という点にまた不安を覚えます。

そんな決定内容ではありますが、次回のエントリーで詳しくご紹介をしたいと思います。