2015年3月卒就職率 文系も大幅上昇も依然続く女子の善戦

2015年6月23日 火曜日

この度、2015年4月卒業生の最終就職率が明らかになりましたので、ご紹介を致します。以下、文部科学省および厚生労働省発表の資料を基に作成・分析を進めます。早速下のグラフをご覧ください(画像をクリックすると拡大します)。

大学全体の就職率(赤い折れ線グラフ)は96.7%で、昨年94.4%から2.3ポイント上昇。4年連続の上昇となっています。しかも、今年の上昇値である「2.3ポイント」は、2011年⇒2012年の2.6ポイントに次ぐ高値となっています。

一時の悲惨な状況から脱し、企業の採用状況が年々良くなってきていることがわかります。

国公立大・私立大別の就職率を見てみますと、オレンジの棒グラフである国公立大が97.7%(昨年から1.0ポイント上昇)・私立大は96.3%(昨年から2.6ポイント上昇)となりました。国公立大と私立大の「差」が、昨年は3.0ポイント差だったところが今年は1.4ポイントにまで縮まっています。元々の就職率が高いこともあって、全体の就職率の上がり幅と比べて国公立大就職率の上がり幅が少なくなっていますが、反対に私立大の増加が大きくなっています。

続いて、文系・理系に分けて就職率をご紹介します(こちらも画像をクリックすると拡大します)。

左側に文系、右側に理系、それぞれ国公立大・私立大別に過去6年分の就職率をご紹介しています。一目でお分かりいただけるのが、文系就職率の急激な上昇です。特に国公立大文系のここ2年での就職率上昇が著しいのと、私立大文系が前年から2.9ポイントもの増加となっています。

2013年までは国公立大・私立大とも理系の就職率が文系を凌駕していましたが、2014年で国公立大文系が前年から1.6ポイントアップと大きな伸びとなり、国公立理系を上回りました。

景気が回復し企業の採用状況が好転してきていることから、これまで採用が控えられてきた文系学生にもここ2年で需要が発生し、就職率の回復につながっています。

文系・理系、国公立大・私立大の組み合わせで就職率が高い方から順にご紹介しますと・・・

1位 国公立大文系 98.3%(昨年96.9%)
2位 私立大理系 97.9%(昨年96.5%)
3位 国公立大理系 96.2%(昨年96.1%)
4位 私立大文系 96.1%(昨年93.2%)

となります。1位の国公立大文系と4位の私立大文系は2.2ポイント差となっていますが、昨年は3.7ポイント差でしたから、その差が縮まっています。それだけ、私立大文系も就職率が好転していることになります。

最後に、男女別の就職状況を検証してみます(同じく画像をクリックすると拡大します)。

2012年度では、全体・国公立大・私立大の全てにおいて「男子>女子」の就職率でした。しかし、2013年春卒業者のデータでは女子の値が急上昇し、反対に、就職率が好転しているにもかかわらず、男子は全体・国公立大・私立大の3つすべてで値を下げました。2014年のデータでも「男子<女子」の就職率は昨年から覆ることがなく、全体・国公立大・私立大の全てにおいて女子の率が男子を上回りました。

2015年では、男子の就職率が大幅に上昇し、これまで差をつけられる一方だった女子との就職率の差が若干縮まっています。それでも、全体・国公立・私立の3つすべてにおいてまだ女子の方が(かろうじてではありますが)就職率が高い傾向です。

男子・女子、国公立・私立の組み合わせで就職率が高い方から順にご紹介しますと・・・

1位 国公立大女子 98.3%(昨年97.4%)
2位 国公立大男子 97.1%(昨年95.9%)
3位 私立大女子 96.4%(昨年94.4%)
4位 私立大男子 96.3%(昨年93.1%)

という具合になります。国公立大女子と私立大男子では昨年は実に4.3ポイントもの差がありましたが、今年は縮まって2.0ポイントとなっています。

このように、就職率自体は改善の傾向にありますが、近年は新卒採用に関して「新しい動き」が出てきています。

グローバルに事業を展開する企業を中心として昨今は「留学生の採用」や「海外での採用」に乗り出す企業が多くでているなど、就職戦線にも大きな変化が訪れつつある、というのがそれです。

一部の企業の採用方針としては「必ずしも日本人でなくてはダメ」ということではなくなりつつある、ということで、これからは留学生や海外の学生とも採用枠を争う時代がくる、というわけです。

提出書類は英語で記載することが求められたり、面接やグループディスカッションが英語で行われたりと、就職試験が様変わりすることが近い将来考えられます。就職活動はまだまだ先、という学年の皆さんも、これから先に訪れるであろう「グローバル規模での就職活動・就職試験」に備え、自己の研鑚に努めましょう。

 

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